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オモイデレシピ  作者: 澤中雅
レシピ6 ココロノリョウリ
82/365

プロローグ イコクノチデ

レシピ6開始です!

アクセスありがとうございます!



 日本からのフライト約一二時間。


『やれやれ、ようやく到着か』


 正午前、フランスはシャルル・ド・ゴール国際空港に降り立つ優介は長旅の疲れを解すように肩を回す。


『どう、ユウスケ。フランスのご感想は?』


 母国の空気を吸い、上機嫌にカナンは笑顔を向けるが


『少なくとも日本じゃないな』

『他にないのっ?』


 相変わらずなマイペースに思わず突っこんだ。


『まあまあカナン。優介さんもお疲れなんですよ』

『別に疲れてねぇ』

『そうでしたか。失礼しました』


 そんな変わらない優介にソフィは可笑しくて笑みを浮かべた。


『ですがお腹は空いてますよね。取りあえずどこかでお食事などいかがですか?』

『賛成! 機内食って味気ないから口直しがしたいわ。ソフィ、この近くに美味しいフランス料理を出すお店ってある?』

『はい。そこで食事をしながらお屋敷からの迎えを待ちましょう』

『屋敷? なぜそんなところから迎えが来る』


 優介が首を傾げれば二人はキョトンとなり


『もちろん帰宅する為ですが……』

『ついでにユウスケも特別に招待してあげる。今日はワタシの家でゆっくり休んで明日、理事長に挨拶しましょう』

『必要ない』


 得意げなカナンに優介はキッパリ否定。


『必要ないってまさかホテルに泊まるつもり? そんなのお金がもったいないわ』

『ご遠慮なさらず。旦那様と奥様、屋敷の者一同みな優介さんを歓迎していますから』

『それとソフィのご両親もね。未来の息子に会うの楽しみに――』

『カナン! だからそう言うことを――』

『……理事長にアポを取れ』


 賑やかな二人に優介はため息を吐きつつ命令。


『『……は?』』


『俺はここへ修行に来た。ならば時間が惜しい、さっさと理事長に会わせろ』

『無茶言わないでよ!』


 余りの態度にカナンが反論するが優介は平然と返す。


『最初に無茶を言ったのは向こうの方だ。なら俺の無茶も聞き届けさせろ』


 その傍若無人な発言にカナンとソフィは開いた口がふさがらない。


 日本でもフランスでも、優介は相変わらず優介だった。


 

 

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