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オモイデレシピ  作者: 澤中雅
レシピ2 ハジマリレシピ
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エピローグ ハジマリレシピ

アクセスありがとうございます!



 日課の料理修行を終えた優介は後片付けを済ませて冷蔵庫からミネラルウォーターを取り出し一息吐く。

 後はお風呂に入り休むだけ、なのだが居間の襖を開けて縁に腰を下ろす。

 二ヶ月前と変わらず自分以外に誰も居ない店内、しかし寂しさは薄れている。

 日々平穏の再開が広まるなり島の住民がボランティアで店内の傷んでいる部分を修繕してくれた。

 多くの住民がわざわざ激励に来てくれた。

 始めなければなにも変わらないと一人で始めた無謀な挑戦は、気づけば多くの支持を受けて明日本当に始まりを迎える。


「ユースケ」

「優介さま」


 何となくこの二ヶ月を振り返っていると廊下側の襖が開き、恋と愛が姿を現す。

 同居人の愛は当然として恋は再開準備に集中するため三日前から泊まり込んでいるので二人ともパジャマ姿。


「まだ起きてたのか。さっさと寝ろ」


 明日の始まりに向けて休むよう伝えていたのにと振り返りもせず優介はため息一つ。


「そうなんだけど……なんだか眠れなくて」

「なのでホットミルクをと台所へ向かおうとしたのですが……明かりが見えたので」


 どうやら二人とも明日の始まりを前に寝付けなく、同じタイミングで同じ考えに行き着いたらしく。

 普段は言い争わない日がないほどの犬猿の仲、しかし息ぴったりなのが開店前から恋愛コンビとして二枚看板娘と呼ばれている由縁か。


「仕方ねぇ……少し待て」

 とにかく主力となる二人が寝不足なのは困ると優介は冷蔵庫から牛乳を取り出して鍋に注ぎ、砂糖とハーブを少々加えてゆっくりとかき混ぜながら温めていく。

 甘い香りに釣られるよう二人は先ほど優介が座っていた縁に腰を下ろし。


「ほらよ」

「ありがと」

「ありがとうございます」


 マグカップに完成したホットハーブミルクを注いで渡すと、なぜか一人分空けて座っている恋と愛の間に優介は再び腰を下ろした。


「ん~美味しい!」

「適度な甘みにハーブの優しい香りが素敵で……美味しいです」

「そりゃどうも」


 やはり同時に一口飲み、笑顔を向ける二人に優介は素っ気なく返す。


「飲んだらさっさと寝ろ。明日は忙しいんだ」

「はい。優介さまの温かな優しさでぐっすりと眠れそうです」

「ていうか、ユースケも早く寝なさいよ」

「へいへい」


 その後は特に会話もなく、三人で店内を眺めていた。

 今はまだ三人のみの店内。

 しかし必ずこの光景を変えてみせる。

 笑いの絶えない温かな光景に。


 一人ではなく三人で。



 日々平穏。

 四季美島にある小さな定食屋は美味しい料理と楽しい時間、そして温かな思い出を提供する不思議なお店。

 初代が亡くなり一度は終わったこの場所は。


 三人の決断により明日、再び始まる。


これにてレシピ2も完結!

次回からレシピ3「カタリベオハギ」の更新を始めます。

これまでと違い中編の内容が一本とオマケの内容が一本のみですが、よろしくお願いします!

少しでも面白そう、続きが気になると思われたらブックマークへの登録、評価の☆を★へお願いします!

また感想もぜひ!

読んでいただき、ありがとうございました!

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