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オモイデレシピ  作者: 澤中雅
レシピ1 サンニンレシピ
1/365

プロローグ 日々平穏

新作投稿始めました!

問題ないとは思いますがR15は念のためです。

アクセスありがとうございます!

 ()()()(じま)――東海道の北に位置する石垣島の角の部分を取ったような島は名の通り春は桜、夏は海、秋は紅葉、冬は雪と四季の自然を存分に楽しめる一部のマニアに有名な観光地。

 だが二七年前より本州とを繋ぐ巨大な橋が完成するや観光地として成功を収め、近年では自然を好む者の移住も増えて人口も増大した。

 本土を繋ぐ橋は島の南側にあり、北側と西側が観光エリア、東側が住居エリア、南側が商業エリアと大きく四つの区域に分類されている。

 その島のほぼ中心に位置する(なでし)()(がく)(えん)は四季美島の権力者が経営する学び舎であり、西に小中等部、東に高等部の校舎と敷地は大きく二分割されている。島唯一の学び舎ということで島の子供達はまずここへ通っていた。

 入学式が行なわれて間もない四月、三クラス編成の高等部一年一組では四時間目の数学の授業が行われ、数学教師が計算問題を蕃昌していた。


「ではここの問題を――」

「先生」


 言い当てる前に窓際一番後ろの席に座る男子生徒が立ち上がれば、教師は『ああ』と腕時計を確認した。


「すまんな。もうこんな時間か」

「恋、行くぞ」


 鞄も持たず立ち上がると廊下側一番後ろの席に座る女子生徒に声をかける。


「りょーかい」


 恋と呼ばれた少女も当然のように教科書やノートを片付けて席を立った。


「頑張ってね!」

「晩飯の仕込みもちゃんとしとけよ!」

「では失礼しまーす」


 途端にクラスメートから声をかけられ授業は一時中断する中、無言で廊下へ出る優介に続いて恋は一礼して出て行く。授業開始から一〇分しか経っていないのに堂々とエスケープする二人に教師は何も言わない。

 授業中ということで会話もなく校門前に到着すると既に待ち人が立っていた。


「待たせたか、愛」

「いえ、私も今来たところです」


 待ち人、愛が優雅に一礼すると三人で学園を後にした。



 向かう先は学園から徒歩五分の定食屋『日々平穏』。



 (わし)(ざわ)(ゆう)(すけ)を店主に、(みや)()(れん)(かみ)(じよう)(あい)を従業員として雇う三人が切り盛りしている店だ。

 三人は定休日の水曜日を除いた平日、四時間目開始一〇分後の一一時四〇分から五時間目開始一〇分の一三時二〇分までの一時間四〇分、特例として学園を抜ける許可を得ていた。理由は一二時から一時間、昼営業する為。


「俺は着替えてくる。恋は店内の掃除、愛は厨房の準備をしとけ」


 店内裏口、玄関から入り恋と愛は制服の上にエプロンをつけて一階の店内へ、優介は階段を上がり住居となっている二階へ向かう。


「起きろ(こう)()

『――ん~起きてるよ~』


 通りすがら階段から左手前のドアに声をかけると間延びした声が返ってくる。

 続いて斜め奥の自室で制服から白の調理服に着替えて一階へ戻ると恋と愛によって既に開店準備は整っていた。


「恋、そろそろ開けるぞ」

「りょーかい」


 恋が出入り口にかかっていた『閉店中』の札をひっくり返し『開店中』にすると、既に店先で待っていた何人かが待ってましたと言わんばかりに店内へなだれ込む。


「優ちゃんカツ丼ね」

「俺は日替わり」


 メニューも見ずに注文しながら席に座る客に恋と愛がお冷を運び、優介がガスコンロの火をつけた。


「んじゃ、今日も稼ぐぞ」


 学生三人の従業員でなりたつ定食屋『日々平穏』の一日が始まった。


まだプロローグのみですが、今後ともよろしくお願いします!

読んでくださりありがとうございました!

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