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87話 幸せの定義

「転生ですか」


理解できぬであろうがと、クロードの口から語られた話は私には理解できた。


ルルは…魂が抜けた顔をしてますね。


「それで力を使うのは、フィーナの魂の器に問題ないのです?」

「儂はお主が言う魔素を使っておるからの。あのような失敗は二度と繰り返さぬ」


何かを決意した表情で呟いた。


「くーちゃんは、どんな魔族ですか?」

「…くーちゃんと呼ぶでない」


いや、自分でくーちゃん、くーちゃんと思い出話を語るから、気に入っていたのかと思ったのだが…。


「くーちゃん、可愛い呼び方だとルルは思います」

「そうじゃろう。是非、お主も儂の事をくーちゃんと呼ぶがよいぞ」

「…おい」


ルルの手を両手で握るくーちゃんの肩に手をかける。

なんでしょうかね、この扱いの差は…。


「一つ重要な事を教えてやろう。儂はどんなに綺麗な顔をしてようとも、男は嫌いじゃ」


触るでないと、手を払われた。


払われた手と、ルルに過剰なスキンシップを取ろうとするくーちゃんを見る。


普通に見れば、銀髪の美少女と可愛らしい獣人が仲良く手を握り合っているのだが、


こいつ…。


「そうじゃ、先程の話であったが、儂は魔眼族じゃ。お主は真祖と言っておったな」

「ああ」

「聞いた事のない種族じゃ。どのような種族なのじゃ?」


どのようなと問いかけられ、始まりの間を思い出す。


あそこはナビゲーションもなければ、Q&Aもない不親切な設計だった。

まるで、管理人がいないかのような空間。


数字の説明もなければ、種族も一覧から選んだだけで説明文さえなかった。


「…わからない」

「ふむ。まあ、珍しい事でもないが、魔族とは人と理の異なる種族よ。獣人とハーフエルフは、人とそう違わぬ」


意味深な言葉で、悲しげに告げる。


「だからのぅ、儂はフィーナに幸せに生きて欲しいのじゃ」

「幸せですか…」


ルルが、何か思い当たるように反応する。


「そうじゃ。見よ、この棺桶とも区別がつかぬものを」


くーちゃんは、俺の作品に指を指す。


「これが、フィーナの寝床であってよいのか?否、フィーナには、もっと文明的な王侯貴族の暮らしをさせるべきである」

「王侯貴族は別にして、文明的な暮らしは賛成ですね」

「ルルは満足してます」


ルルはあの集落で、暮らしてましたからね。

私はマリオンの屋敷が、少し恋しくなります。


「では、人里を目指しましょうか。盗賊の話だと北に伸びた森の中に、大きな傭兵の街があるというのを、聞いた覚えがあります」

「決まりじゃな」

「人里ですか…」


ルルの表情が曇る。


「獣人の傭兵もいると、聞きましたよ」

「ルルも大いに賛成します!」

「決まりですね」


そして、私達は旅支度を整える。


「儂はまた眠るのじゃ」

「魔法を教える約束、忘れないでくださいね」

「もちろんである。魔物の集落か、滅ぼしてよい人里を見つけたら、教えるのじゃ。魔導の真髄を見せてくれよう」


レベルアップもしたいしのぅと言い残し、くーちゃんは目を閉じた。


いや、私が一番教わりたいのは、回復魔法なのですけどね…。


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