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83話 くーちゃん

クロードと名乗った銀髪の美少女が、手を掲げる。

六芒星の瞳が光を増すと同時に、私の身体は弾かれた。


ピンポイントで爆撃されたような衝撃と共に、右に弾き飛ばされる。


そして、また爆撃されたように左に弾き飛ばされ、最後に地面に叩きつけられるような爆発が身体を襲った。


あまりの詠唱の速さと、この銀髪のハーフエルフは何者だという疑問から、防戦一方になる。


そして、地面に叩きつけられた私に手を向けると、


「潰れろ、下郎が」


彼女は手のひらを握った。

連動したように土壁が、私を包む。


…カチリ…


「儂に触れた事を後悔して眠れ、下賤の者よ」

「少し後悔してますよ?」


その言葉に、何事もなかったかのように埃を払い答える。


魔力を込めた目で、ハーフエルフを見る。

彼女も私と同じように魔素を操るのか、瞳に大気中の魔素が集まっていた。


「…下賤の者と思いきや、同族だったとはな」


俺の赤い瞳を見て、言う。


「同族?あなたも真祖でしょうか?」

「真祖とは聞かぬ種族だが、我らは魔族として一括りにされているじゃろう?」

「それは、初めて聞きましたよ」


瞳の色が変わるのが、魔族の特徴なのだろうか?

そういえば、エリー様はこの瞳を見て驚いていたな。


「まあ、よい。死ね」


一瞬の和やかな雰囲気から、繰り出される言葉と雷鳴。

鼓膜が破けるような轟音と共に、巨大な光が私をすり抜けた。


…そう、すり抜けた。


私は余裕を持って笑う。


「…馬鹿な」


六芒星の光が増し、魔素に包まれる。


私の身体の周りを、無数の光の矢が囲う。

そして、突き刺す。


爆発、氷漬け、重力魔法。

全て私の身体をすり抜けた。


「魔導を極めし者とは、さすがですね。多彩だ」

「魔導の道を歩む者に訂正しよう、同族よ」

「ちなみに回復魔法も使えるのでしょうか?」


これだけ多彩な魔法使いは、いるのだろうか?

違う意味でも、この少女が欲しくなった。


「首さえ刎ねられなければ、問題ない」

「そうですか」


私は右手に魔素を集める。


そして、銀髪の美少女の右腕が飛んだ。

激痛に顔を歪めながら、驚きの表情でこちらを見ている。


「問題ないのですよね」

「ああ…儂の知らぬ魔法を、2つも使いよるとは…」


彼女は魔素を右手に集め、魔法のように復元した。

だが、その顔に、もはや勝ち誇ったような自信はない。


「さて、交渉ですが、私はあなたから魔法を教わりたい」

「儂が断れば?」

「残念ですが、次は首を狙います。人が来る前にお願いしますよ」


これだけ派手に暴れたのだ。

遠くから人の気配を感じる。


「交渉と言ったな。儂の条件を言ってもよいか?」

「もちろんです」

「この娘を傷つけるな、犯すな、そして守れ」


六芒星の瞳に光が灯る。


「わかりました。交渉は合意で、宜しいですね?」

「うむ。儂は暫く眠る。ゆめゆめ忘れるでないぞ」

「眠る?」


そして、六芒星の瞳の光が薄れ出した時、


「それともう一つ。…お主ら囲まれておるぞ」


まあ、お主には問題ないじゃろうがと言い、銀髪のハーフエルフは倒れた。


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