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65話 ゴブリンと獣人 後編

茶髪に犬耳を生やした、小柄な少女。

ルルと名乗った。


奴隷紋を見て、俺が人間だと理解したらしく、


「ルルを助けていただき、感謝です」


頭を下げてきた。

その頭部が気になったので、


「…獣人?」

「はい。ルルは獣人です」


嫌な事を聞いたのか、少女の目が曇る。


「アルマ王国では、見た事がなかったから」

「やっぱり、その奴隷紋はアルマ王国の逃亡奴隷なんですね!?」

「ここはアルマ王国では、ないんだよね?」


確認してみると、


「うーん、ルルにはわからないけど、南から来る人が名乗ってるのです」


ほら、この人も、とルルは、ゴブリンに引きづられていた遺体の右手に指を指す。


男の右手には、赤い奴隷紋が刻まれていた。

他にも逃亡奴隷の証が刻まれた者、そうでない者がいた。


「仲間の遺体は、どうする?」

「…仲間ですか…そうですね」


焼くか埋めるかと、埋葬を聞くと、ルルは微妙な顔をした。


「このままで、良いです」

「わかった。じゃあ、ルル達の町まで案内してもらいたいんだけど…」


迷子だからさと、困った顔で伝える。


「もちろんです!だけど、女の子には、あんまりオススメできない場所ですよ」


特にこんな可愛い顔は絶対ダメです!と、彼女は言った。


出会う人、皆に誤解を与えてきた外見にいい加減慣れたが、確かにゴシック調のメイド服にロングヘアの黒髪。


そして、この顔で誤解を与えないのは、無理があるかもしれない。


男の遺体の服を触る。

ザラザラした、最悪の肌触りだ。

ルルの着ている服も、あまり変わらないだろう。


肌にしっとりと馴染むメイド服から、当分卒業できないなと思う。


ただ、ルルには着慣れているのか、遺品の服を脱がすと、ゴブリンの生活用水で洗い、破かれた服の上から着込んでいた。


……

………


ルルと共に獣道を進む。

男の遺体から拝借した新しい相棒が、大活躍中だ。


向かうのはルルの村というか、


「盗賊の集落です」


ルルが、女の子にはオススメしない場所というわけだ。


「俺が、ゴブリンの集落を問題にしなかったのは、わかるだろ?」


惨劇を思い出したようで、顔つきが変わった彼女はうなづき、二人で盗賊の集落に向かっている。


「ルル達は、なぜゴブリン達に?」

「あの男達は、動物を狩る食料係なのです。ルルは荷物持ちで…」


種族の特性で、小柄でも力は人族よりあるらしい。

それでも、ゴブリン数匹に押さえつけられるのでは、俺からしたら、誤差でしかないが。


微妙な表情が伝わったのか、


「あれは、進化したホブゴブリンなのですよ!」


普通のゴブリンは、もやしのように細いらしい。

大型はホブゴブリンリーダーと呼ばれる魔物で、あの集団に出会った事が、運の尽き。


そうでなければ、この場所で暮らす男達が簡単に全滅などしないと言うのであった。


ホブゴブリンというのは、図鑑には載ってなかったな。

図鑑に新しい1ページをつけ加えれる。


俺は、全然違う事を考えていた。


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