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46話 傭兵と税金 修正

城塞都市ガレオン


三重の城壁に囲まれた、最前線の都市。


外周城壁を抜けると、傭兵団が陣地を築いていた。

彼等は貴重な戦力であり、通常、真っ先に敵と交戦する位置に配置されるらしい。


実績のある傭兵団や傭兵に対しては、前払金が支払われるが、それ以外にはないそうだ。


基本的に傭兵の報酬とは戦地調達、即ち略奪である。

制圧した町や村で金品や人を奪い、商人や奴隷商人に売る。

村の規模でも、それなりの金になるが、町の規模になれば、それこそ一攫千金、都市ともなれば計り知れない利益になる。


傭兵団の陣地周りには、その為に交易をする商人の施設がたくさんあり、商人からは施設使用料と通行税が取れると、マリオンは楽しそうに教えてくれた。


「税金とは、どのような種類があるのです?」


交易都市では、エリー様の代わりに税金の支払いもしたので、三つは知っている。


——人頭税

住民税と呼ばれるもので、一人一人にかかる税金だ。

奴隷もカウントされていた。

都市や町や村など、規模や領主によって金額は違うらしい。


——施設使用料

市民には公衆浴場、井戸、土地の使用料が課せられていた。

商売をしていると加算され、農地もこれに当たる。

農地のみ作物で納める事を、認められていた。


——通行税

これは元行商人の雑貨屋さんに聞いたが、都市や町によっては荷物を検品され、入る時と出る時に税金を取られる事があるそうだ。


一律の税金を入る時に取る都市もあれば、一部の商品のみ税金が必要な都市、まったく通行税がかからない都市など様々で、駆け出しの行商人はまずこれに悩まされると、愚痴を聞いた。


そんな説明をすると、


「基本的にはその3つよ。領主は街が発展するように、税金を決めるの」


人頭税が高ければ、子供は増えず、街から人が消える。

だからといって低くすれば、領主の収益、騎士や兵士達の給与に関わる。

それは即ち、都市の質の低下に繋がる。

 

市民が稼げる裕福な都市を目指すか、他で税収を得て低い人頭税にするか。


施設使用料も同じである。

安ければ、施設の維持費が出ない。

また高ければ商売をする者が減り、物流が貧しくなる。

儲かっている商売から、適切に徴収するのが大事だとマリオンは言った。


そのうち誰かが、元の世界のように帳簿を商売の義務にして、税務署に提出する効率的な徴収システムを、考え出すかもしれないな。


通行税も物流に関わるから、難しいと彼女は言った。

城壁都市ガレオンでは、行商人に入場税と一つの特産品にのみ、通行税を掛けているらしい。


「あともう一つ、直接収入ではないけど、賦役…労働税ね」


人頭税が払えない者や、貧しい町や村では、領主の直営施設で無給の労働をこなすらしい。


領主とは物凄く大変なものではないかと、馬車の外を行き交う兵士達を見て思う。

建物の数を見ても、百か千の単位で、ここには兵士がいる。


「市民がいないのに、こんなに兵士を養えるなんて、儲かっているのですね?」

「無理に決まってるわ。最前線なのだから、ここは別よ、別」


ノース侯爵領全体の収益で、雇用しているに決まっているわ、と彼女は笑うのだった。


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