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28話 ステータス オープン! 改稿

錬金術師エリーの店 二階


いつも通り時刻が昼に差し掛かる頃、下着姿のエリー様がベッドから起き上がる。

見慣れた姿なので驚きはしないが、相変わらず刺激が強いのである。


あれから数ヶ月、俺はこうして変わらぬ毎日を過ごしている。


いや、変わった事もあった。

訓練日という休日が一日増えたのだ。


お陰で魔力操作には慣れたし、新しい魔法の構想を練る事も出来た。

魔力量の低さは相変わらずだが…。


そして、カレンダーを見れば14歳を過ぎていた。


「…どうしたの?」


黒い下着で万歳をしながら、エリー様が言う。

考え事をしていたら、彼女を着替えさせる俺の手が止まっていたらしい。


上目使いの視線に笑顔を返すと、急いで服を着せる。


「いえ、魔法の練度に行き詰まってましてね…」


俺の言葉にエリー様は、少し考えると口を開く。

 

「これ以上先に進みたいのなら、賢者の書に触れるしかないわね」

「賢者の書とは?」


上着を羽織り、立ち上がるご主人様を眺めながら尋ねる。

聞いた事のない言葉なのだ。


「王都の塔にある…正式な名前は、なんだったかしら?魔術師達は賢者の書と呼んでいるわ」


だが、なんとも要領を得ない説明である。

まるで、それが何か分からないといった様子だった。


「魔法が、記載されている書物なのでしょうか?」


俺の言葉にエリー様は微笑むと、首を振る。

 

「いいえ、記載されているのは…そうね…」


彼女が右手を差し出しながら呟く。


——ステータスオープン


そんな声と共に現れたのは半透明な画面だ。

俺が囁いても現れなかったものが、空中に浮かび上がっている。


エリー Lv35

アルマ王国 王宮魔導師

攻撃 4-140

防御 5-175

知力 10-350

魔力 10-350

速さ 6-210


スキル

魔法操作Lv10


これが何かを、瞬時に理解出来てしまう。


——左の数値が才能値、右の数値が能力値


胸の鼓動が高まるのを感じる。


——能力値は才能値×レベル


いつか見た始まりの間の光景が脳裏に蘇る。


——スキルレベルの上限は関連する才能値


彼女よりも秀でた数値が、口元を緩ませる。


「…他人に見せる情報は、自分の意図で操作可能よ」


これをどうやったら、手に入れられるのか。


——欲しい…欲しい…


興奮を抑え、ご主人様の言葉を待つ。


「賢者の書に触れれば、誰でもこれが手に入るわ」


俺はどんな表情を浮かべていたのだろう?

エリー様が、とても楽しそう笑っていた。

 

「…俺でも触れられますか?」

 

はやる気持ちを抑えて尋ねる。

これがあれば今、自分がどの程度かわかるのだ。

 

過去と今を数値で比較できる。

それは正しい努力を見つける道であり、もっとも効率的なものなのだ。

 

だが、


「貴族か、特別な事情がないと無理ね」


俺はただの奴隷だ。

彼女の言葉に肩を落とす。


ただそれでも、


「…特別な事情とは?」


期待せずにはいられない。

俺の食いつく様子に、ご主人様は笑みを浮かべると口を開いた。

 

「王宮魔導師の私の紹介かしら?そういえば、優秀な人材を集めてくるように、言われていたわね」


…うん?王宮魔導師?


エリー様は、まるで今思い出したと言わんばかりの顔だ。


「…王宮魔導師?」


そんな俺の反応を見て、彼女は首を傾げると、不思議そうに言う。

 

「…言ってなかったかしら?」

「…ええ」


金周りが良いとは思っていた。

その割に稼ぐ気のない不思議な人だとは思っていた。


ちなみに魔導師とは、熟練の魔術師の総称だ。


そこに王宮とつけば…おそらく国中を見渡してもトップクラスの腕に違いない。


俺は思わず彼女を観察してしまう。


癖毛の目立つ長い黒髪に白い肌。

眠そうな目をしているものの整った顔立ちをしている。

胸こそ控えめだが、腰回りは引き締まっていて美しいラインを描いているのだ。


——ああ、いつもの怠惰なご主人様だな


 

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