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28-1話 幕間 私の物語

幼い頃、書店で見かけた少女。

その時は、私の物語の始まりとは、思わなかったわ。


私は、物語が好きでしたの。

その中でも、守護騎士物語が特にですね。


本に囲まれて、好きなように生きたかったわ。

でも、私は王家の義務と誇りを選びましたわ。


ふふ、これも物語の影響なのでしょうね。

女王陛下…物語の王女様と同じ道を選んだの。


やがて、夫が出来て、子供が産まれ…。

あの子には小さな頃から、物語を読み聞かせたわ。

もちろん守護騎士物語は何回も、何十回もよ。


そんな平凡な毎日…だけど…。

あの子が6歳の時、教育の為に訪れた育成場。


王族は物心つく頃から、ここでレベルアップをするの。

当たり前の事、平凡な毎日…。


だけど、


緋色の光が灯る。

暴走する魔力。

変わる景色と、倒れるあの子。


——女王陛下、これは…


集まる宮廷魔導師達。


——秘術を行使するしか方法は…


誰も使う必要もなかった秘術。

それでも、受け継がれてきた秘術。


膨大な魔力を必要とした秘術は、宮廷魔導師と騎士団を招集してなんとか成功したわ。


それでも、あの子には魔力をコントロールできるようになってもらわないといけないの。

それまでは我慢と、自分に言い聞かせる。


そんなある日、娘が言ったわ。


——12ってなに?


そして、7歳になった頃、


——11ってなに?


嫌な予感がした私は、キヌスへ向かったわ。

大魔導師と自称するエルフがいるキヌスへね。


結論は最悪。

私は王家の義務と誇りより、娘を選んだわ。


私に国王の資格はもうないのですよ。

国民より子供を選んだ私にはね。


光を探す日々の始まりだわ。

だけど、娘の口から告げられるのは、止まらない刻。


そして、私は間違いを犯したの。

あの子に…娘に…真実を告げてしまったの。


子供の頃の私なら、真実に直面しても諦めない。

そんな勘違いから…。


でも、さすが私の娘だわ。

時間はかかったけれど、娘は立ち上がったわ。


娘とキヌスに向かう。

エルフが告げた解決方法は、更に残酷だった。


心が折れそうな時は、守護騎士様の像を見上げるの。

あの希望の光が、降り注ぎますようにって祈るの。


失われた王家の秘術。

物語の中にしか存在しないなんて言う者もいるわ。


でも、歴史を調べた私にはわかるわ。

確かに存在したの。


だから、守護騎士様もきっと…。


私は、いつからか守護騎士様を探し始めたわ。


私の奇行を、人々は微笑ましく身守る。

王女と道化師の物語に、重ねる者もいたわね。


守護騎士様を見つけて、救われるかなんてわからないわ。


でもね、守護騎士様は私の英雄なのよ。

私達の希望の光なのよ。


そう思わなきゃ、やってられないのよ。


そして、私は移民街の酒場に足を運んだわ。


——妖精の詩ですか?


人族の黒髪の美少女。

そんな漠然とした依頼を聞いて、頭を悩ます店主に私が伝えたイメージ。


——あなたの本物を見抜く目を信じてます


もうこの場所しか残っていないの。


私の物語が動いた瞬間だったわ。


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