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22話 隊商宿 改稿

——隊商宿


その歴史は古く、多くの隊商宿が都市と同時期に建設されていた。


都市の前身である村を、開拓民が切り開く。

そこに人が集まれば、囲いを作り町となった。


自然と集まる行商人達。

町は彼らの交易路に組み込まれると、自然と寝泊まりする場所を求められる。


そして、治安維持の観点から囲いの外に行商人の為の宿が、建ち始めたのである。

やがて囲いは内周城壁となり、更に外側に外周城壁が建てられる。

その結果が、今の場所というわけだ。


カウンターに腰掛ける俺の手には、銅貨二枚と交換した葡萄酒。

そのおまけとして酒場のマスターが、隊商宿の歴史を語ってくれたのだ。


銅貨二枚で知識が得られ、甘い葡萄酒を楽しめるのだから、安いものだ。


…未成年で飲酒?

幸いな事に、この国にはそう言う類いの法律はないらしい。

…そもそも、どうやって年齢を証明するんだ?


俺は酒場から繋がる廊下を見渡した。

廊下の途中には、二階の宿泊施設に上がる階段があるらしい。

突き当たりは、倉庫に続いているようで扉が見える。


グラスを傾けて喉を潤すと、店内を見渡す。

天気が良いせいか、みんな外で飲んでいるようだった。

窓から差し込む光が眩しい。


ふと店内の壁を見れば、奥に掲示板が設置されているようだった。

そこには何枚もの紙が貼り出されているのが見える。


「…あれは、なんでしょうか?」


グラスを拭くマスターに声をかけると、空になった葡萄酒と共に銅貨を二枚置く。

それを受け取った彼は、視線を俺の指差した方へ向けると口を開いた。


「ああ、ここは冒険者ギルドも兼ねているからな。あれは依頼表だ」


…客であるうちは、色々と教えてくれるのだ。


「冒険者ギルド…」


新たに注がれた葡萄酒を片手に、席を立つ。


——夢の続きが、そこにあるのかもしれないのだ


そんな期待を込めながら、掲示板に近づくと内容を眺める事にした。


…ドラゴン退治なんて依頼あるのかな?


それは願望だ。


「……」


だが、俺の期待は裏切られる事になる。

ドラゴン退治がなかったからではない。

駆け出しの冒険者が挑む、薬草取りはあったのだ。


ただ…


「…はは…なんだよ、これ」


思い描いていた冒険者ギルドとは…冒険者とは…かけ離れていたのだ。


 

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