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195話 最終回 素晴らしき日々

王都エルム 北区 国王の居城


あれから、数ヶ月が経った。

東はノース侯爵、西は都市国家キヌスと強固な同盟を結んだハーフエルフの国は、今までと変わらぬ平穏に包まれていた。


唯一変わった点は、その噂を聞きつけて、戦乱から逃れた様々な種族が集まってきている点だろう。


市民として受け入れる方針の女王陛下の元、新しい宮中伯達が、忙しそうに王宮を駆け回っている。


もっとも宮廷道化師に昇格した私には、関係のない事で、今日も国王陛下の部屋のソファーで、いつも通り寝転びながら、本を読んでいるのだ。


「…お兄ちゃん、ダメ人間」


国王付きメイドのフィーナが、胸に刺さる言葉を呟きながら、私のカップに紅茶を注ぐ。


「名無しさんは、もともとダメ人間なのです」


ルルは知ってますと言いながら、秘蔵の葡萄酒をラッパ飲みしていた。


「…ルルも同類だろ」

「これは仕事なのです。国王様の専属料理人として、毒味なのです、毒味」


王宮の厨房から職場を移したルルが、私の横で言う。


「クロくん、ボクは悲しいよ…」


国王の近衛兵に転職したアイリスは、扉の近くで、こちらに非難の声を向けた。


「そなた達、騒がしいぞ。私は執務中なのだ」


机に向かう女王陛下が、呆れたように溜息をつく。

いつもの光景だ。


そして、執務に疲れたのか、腕を伸ばして背伸びをするクリス。


だいたいこういう時に言う彼女のセリフは、


「気晴らしに街へ出るとしよう」

「またですか?」


クリスの言葉に、嫌そうな反応を見せるアイリス。


「誰も部屋に入れぬよう仕事を頼むぞ」

「ボクの仕事って、なんかそうじゃない気がする…」


変わらぬクリスの行動に、アイリスは諦めたように呟いた。


「ルルは、お土産を要求します」

「フィーナの分も!」


不真面目さなら私と良い勝負のルルの言葉に、深く考えないフィーナが同調する。


いつもの日常だ。


「ああ、任せるがよい。今日はどこへ行こうか」


机から立ち上がり、庶民の服を取り出す女王陛下。

片方を当たり前のように、私に差し出す。


「今日は、入荷したばかりのこの本を読みたいのですが?」

「この堅牢な王宮の最奥から、そなたがいなくて誰が抜け出せるのだ?」


そして、当たり前のように私の意見は却下された。


クリスは慣れた手つきで着替えて、扉の前に立つ。


「さぁ、私について来るがよい!」


まるで戦場へと駆けるように、彼女は満面の笑みで手を差し伸べた。



——奴隷転生 〜異世界に転生♂したら、美少女♀と間違えられ男の娘として生きています〜——


——To be continued


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