表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
139/402

129話 我思うが故に…

…そなた…何者なのだ?


震えた声の王女殿下の言葉を聞き、私は立ち止まる。


ルルはいつもの調子で、私をバケモノだと言った。

否定はしない。


少なくとも、人とは違う魔族らしいですからね。


ただ、何者かと問われた時に、私は返す言葉が思いつかなかった。

私はただ、精一杯生きてきただけなのだ。


「さて、何者なんでしょうね?」


両手をわかりませんとばかりに上げ、


「私が、怖いですか?」


クリスの瞳を、真剣に見つめる。


だが、その瞳に恐怖の色はなく、


「驚いただけだ。この程度の事、受け止められねば、私の主としての器が、疑われよう」

「…私を騎士にしたいって言葉、本気なのですね?」

「私は冗談で、自分の騎士を選びはせぬ」


真剣に見つめ返された王女殿下から、視線を外す。


「騎士って、何の話しでしょうか?」


またルルを仲間外れにしてます?と、野次が飛んできた。


……

….……


騎士団と馬の死体を、土で覆い証拠隠滅を終えると、ラクバールに属さない都市国家の城門をくぐる。


先程の騎士団の魔法が鳴り響いたのか、城門は騒がしかったが、少女だけの一行は、軽い荷物検分で問題なく通り過ごしていた。


「お嬢ちゃん達だけで、東へ行くのかい?大丈夫か?」


心配する兵士に、愛想を振る舞う。


二重城壁の都市国家は、旅人に市街地への入門は許可していなかったが、外周地での移動は自由であった。


交易都市クーヨンを思い起こす、のどかな田園風景を横目に、


「隊商宿を、探しましょうか」

「「隊商宿?」」


クリスとルルの声が重なる。


「呼び名は違うかもしれませんが、旅人の為の宿があると思いますよ」

「お兄ちゃん、物知りなのです」


フィーナが、羨望の目を向ける。

クリスが関心したように、うなずいた。


そして、私は、泊まるのは初めてなんですけどね、とは言い出せず、ルルだけが怪しんだ視線を送っていたのだった。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ