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113話 外伝 そして、運命は交差する

第一王子との会食を終えた私は、貴族館へと戻ってきた。


この国での援軍は、望めぬか。

唯一の望みの第七王子は…。


出迎えたメイドに外套を預け、自室に続く階段を登る。


そして、自室の扉をくぐり、視界に映るベッドを横目に思慮を巡らす。


第七王子の援軍は、却下だ。

つまらぬ誇りと言われようとも、ソレに成り下がるなら、私は死を選ぼう。


そして、机の上に祖国から持参した地図を広げる。

精密とは言い難い、実に大雑把な地図だ。


父上や宮中伯は、私を逃がそうとしたのであろうか。

それとも、将来の復興の種を残そうとしたのであろうか。


瞳を閉じる。


「いや、そのどちらもであるか」


第七王子を取り込んで、援軍が求められれば最上。

アルマ王国に敗れたとしても、賢者の書を餌に、ラクバールに動機を植え付ける。


ラクバールとて我が国が滅びれば、対岸の火事と眺めてはいられないのだ。


「気に食わぬが、合理的な策であるな」


だが、父上は私の器を見誤っていたようだ。

祖国の危機を外で眺めていられる程、私は温厚ではない。


広げた地図の一点を見つめる。


「…傭兵の街か」


筆頭宮中伯が、戦力にならないと一蹴した街だ。

だが、ここから一人で祖国に戻る護衛としてなら、話しは別であろう。


クローゼットを開ける。

そこには、旅袋が置いてあった。


ラクバールが、援軍を出す気がないと薄々考えていた時に、メイドに用意させたのだ。


少し値が張ったが、方位磁針も入っている。

貴族街とは、便利なものであるな。


「徒歩で、何日の距離であろうな」


地図と方位磁針を確認する。


ラクバールを出るのは、それ程難しくはないだろう。


都市とは外から入る時は厳しいが、中から出る者に対しては大きな荷物を抱えていない限り、無警戒に近いのだ。


「もっとも、私の外見はここでは目立つから、外套を深く被るか」


思えば一人旅などする機会などなかったのだから、少し楽しくなってきた。

誰もいない部屋に、つい語りかけてしまうのだ。


…自由。


なぜか、フレイラの顔を思い出していた。


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