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112話 外伝 第七王子

第七王子の貴族館


王女殿下に晩餐会の招待状を送った返事が、予想外の返答方法で、カレンに報告された。


「殿下、王女殿下の晩餐会の招待ですが」

「いつも通り参加だろうな?」


早く会いたいものだと、第七王子は上機嫌で確認するが、


「メイドに国に帰ると告げて、1人旅立ったようですわ」

「…なんだと?」

「殿下?これで、諦めがつきましたよね?」


カレンは、嫌そうな表情を隠さず確認するが、


「老将軍を呼べ」

「殿下、バカとは承知しておりますが、バカな事はおよしなさい」

「吾輩が、これだけ好意を示したのだぞ?おまえの策略で、なんともならなかったのか?」


子供のように駄々をこねる第七王子に、カレンは呆れて、


「殿下、戦は正を以って相対し、奇を以って臨めと言います。殿下の正、いわば第一印象は最悪ですわ」

「ぐぬぬ」

「またこれを逆転する奇は、持ち合わせていません。勝てぬ戦は、撤退する事を進言しますよ」


追い討ちをかけるように、トドメを刺したのだが、


「もうよい、老将軍を呼べ」

「私は、知りませんからね」


カレンは、諦めたように衛兵を見る。


衛兵が外に駆け出してから、数分後、甲冑に身を包んだ老人が現れる。


「ぼっちゃん、お呼びですか?」

「じい、人狩りを頼みたい。ただし、傷は絶対につけるなよ」


人狩りという言葉に、老将軍はカレンに目を向ける。


「殿下のお気に入りの王女が、一人で帰国してしまったようですわ」

「お主でも予想外の事は、起きるのじゃな」


老将軍は、豪快に笑った。


「一人で、ここから帰国の旅路に出る理由を、見落としていたようですね」

「して、予測進路は?」


暗にどの方面に向かうのかと、カレンに問いかける。


「この辺りの地理感覚もない人間が、飛び出したのですよ?本人だって正しい方角に進めるか、わからないのに、予測しようがありませんわ」

「ぼっちゃん、これは難しそうですな」


お手上げとばかりに告げるのだが、


「全軍の展開を許可する。全方角に、捜索隊を出せ」

「殿下、ただでさえ殿下は微妙な立場なのに、首都近辺で全軍展開はやると思いましたが、まずいですよ」


カレンは忠告するが、


「王宮との交渉は、カレンに任せるぞ。老将軍は、全軍を指揮せよ」


カレンの嫌な予想どおりにバカな事が、全力で進展するのであった。


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