表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
113/402

103話 依頼人と受付嬢

傭兵ギルドの一週間


週初めの日 1日

依頼人との面会


傭兵ギルドの外には、依頼受付日と看板が立てられる。

基本的には、この依頼受付日に各地から依頼人が来るが、常連であればその他の日でも融通を効かすようだ。


翌日 2日

傭兵募集


傭兵ギルドの外には、仕事ありの看板が立てられる。

依頼がない場合は、休日の看板だ。


依頼の種類は、指名依頼、現地集合、ギルド集合の3つ。


翌日 3日

休日


自由行動である。


翌日 4日

依頼人との面会


翌日5日

傭兵募集


……

………


そのサイクルの一週間を何度か繰り返して、私は仕事を覚えていった。


ルルとフィーナは、綺麗とは程遠い格好の傭兵達が残す、汚れと格闘中だ。

朝と晩に掃除をし、営業中はマキナから仕事を見ていろと、立たされている。


二人とも、事務の仕事は向かないようだが…。


私はというと、


「いらっしゃいませー」


アリスちゃんとして、身につけた特技を思い出し、絶賛接客中であった。


今日は依頼人との面会日。

マキナから、やってみろと言われ、受付嬢の仕事を監視の元、任されているのである。


「あ、ああ、宜しく頼むよ」


上質な服に身を包んだ男は、呆気にとられたように答えた。


傭兵ギルドの受付嬢とは、マキナのように無愛想な方が良いのだろうか?


「所属国家をお聞きしても、宜しいですか?」


この何週間かで、見て学んだ一言目だ。


過去にトラブルがあった国家、また現在派遣先の攻撃対象となっている国家であれば、依頼を断る。


男から都市国家を聞き、ステータスで所属を確認すると、無駄に記憶力の良い頭で、地図とブラックリストを照合する。


問題ないという結論をマキナに伝えると、彼女はうなづいた。

受付嬢として、第一関門は合格なのだろう。


まあ、事前に全てのパターンを、問答形式でテストされたわけだが…。


次の関門に入る為、男に笑顔を向ける。


「依頼形式をお聞きしても、宜しいですか?」

「100人程欲しい。報酬は一人銀貨10枚だ」

「現地集合でしょうか?ここに集合でしょうか?」

「現地集合で、期限は来月の1日までで頼む」


100人とは、それなりの数である。

さて、ここで確認する事は、


「質を問うのでしたら、銀貨30枚が宜しいかと思います。また、それとは別に依頼料として、傭兵ギルドに金貨3枚となります」

「銀貨25枚で頼む」

「頼まれるのは傭兵達なので、私からはなんともお答えしようがございません」


それもそうだがと男は言い、金貨3枚をカウンターへ置く。


「身分照合の銀章も、お忘れなく」


現地に行った傭兵が、報酬を貰う為の札のようなものである。

依頼人に用意してもらうのが通例であり、男は大きな袋を従者の騎士に運ばせ、立ち去って行った。


「いかがでしたでしょうか?」

「合格だ。銀貨20枚は、安い買い物だったようだな」


珍しくマキナから、笑みが溢れる。


「一つ聞くが、依頼料は金貨1枚のはずだが?」

「募集人数も多く、お金を持っていそうだったのでつい」


調子に乗ってしまったと、反省する。


「欲深い事は人族の美点でもあり、欠点でもあるな。次はないぞ?」


いつもどおりの冷淡な表情で、忠告するエルフの受付嬢。


私、魔族なんですけどね、とは口に出せなく何度もうなづいた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ