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95話 1枚の価値

「ええ、とても面白い話でしたよ」


完全に睡魔に負けた二人の代わりに答える。


「そうだろ?そうだろー」

「それで、その腕輪はいくらなのです?」

「一つ銅貨1枚さ」


…ん?


「安すぎません?」


小さな魔石がはめこまれた変哲のない腕輪とは言え、安すぎるだろう。


「ああ、みんながそう言うんだよね。僕はタダでもいいんだけど、お金は取れって言われるし…」

「その腕輪、自分で作っているのです?」

「いや?銅貨5枚で作ってもらってるよ。最後の仕上げは僕がするけどね」


魔法を込めるのさと、変人エルフはポーズを取った。


「税収があるのですね。赤字で売ってもいいなんて」

「ははは、みんなに言われるけど、税収とか僕わからなくてねぇ」

「…お金どうしてるんです?」


部屋の中を見ても、あまり贅沢な暮らしをしてるとは思えない。

むしろ、浮浪者の家と言われても、納得してしまう。


「僕が困ってると、街のみんなが恵んでくれるのさ。領主って素晴らしいよね?」


この変人エルフは、どうやらダメな人らしい。


「それで、いいのです?」

「僕は領主だからね、それで十分だよね?ああ、君達との楽しい出会いを、フォルトナ神に感謝しよう」

「…よくわかりませんが、腕輪を3つ買いますよ」


私は銀貨1枚を机に置いて、腕輪を取る。


「おつりなんて、持ってないよ」

「領主様に恵んでいるのですよ。面白い話も聞けましたしね」


性格は置いておいて、恩を売っておいても悪くない相手だと思う。

何よりこの銀貨、盗賊の仕事で奪ったものなのだ。

その価値は軽い。


「おぉ、素晴らしい出会いに感謝を。これで、当分は美味しいものが食べれそうだよ」


銀貨を片手に握り、変人エルフは感極まっていた。


「それで、領主様にお願いなのですが、住む家と仕事が欲しいのです」

「そういうの僕にはわからないから、向かいのギルドに行くといいさ」


…この領主使えねー。


銀貨1枚の価値に疑問を抱きながら、二人を起こしてボロ屋を出た。


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