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93話 領主様と変人エルフ

「やあやあ、いらっしゃい。待ってましたよ」


ボロい一軒屋の扉を開けると、満面の笑みで男が出迎えた。

エメラルドグリーンの髪に、彫りの深い女顔。

美形と表現するに相応しい顔には、長い耳が伸びている。


エルフだ。


歓迎するエルフと、怪しい人物を見る私達の落差に微妙な空気を感じながら、


「待ってましたとは?」

「いやー、みんな同じ疑問を口にするねぇ。たまには違う反応も楽しみたいものだよ」


右手で額を抑えながら、悩むエルフ。

なるほど、変人のようだ。


「りょうしゅさま?」

「おや、これはこれは可愛らしい我が眷属ではありませんか。そう僕こそ、この街の領主である!」


フィーナの言葉に反応したエルフは、額を抑えていた手を降ろすと、優雅に一礼した。


「ルルは立ち去る事を、提案します」

「同感だな」


ジト目で、エルフを観察するルルに同意する。


「ああ、その反応は新しくていいよ。うん、いいね」


一人で楽しむ変人エルフを置いて、立ち去ろうとすると、


「ああ、待ってくれたまえ。ちゃんと話すから。もう少しこの出会いを楽しもうじゃないか」

「…待ってたとは?」

「うん、そこだね。この街は僕の魔法で囲ってあるのさ。だから、腕輪をしていない者はすぐにわかるんだよ」


エルフはそう言うと、この街の地図が描かれた魔道具を取り出す。

地図の上には、赤い点が3つ輝いていた。


「…領域」


くーちゃんの言葉を思い出し、呟く。


「ほぅ、領域を知っているなら話しが早いね。僕の魔道具で、この街を囲っているのさ」


魔道具で囲うと聞いて、アルマ王国を思い出す。

奴隷紋は、魔道具で囲ったサーチ魔法の応用だった。


「領域の中の腕輪に、魔法を仕込んでるのか」


推論を口にすると、変人エルフは驚いた顔で、


「すぐに気づくとは、君は魔導師かい?エルフでもないのに珍しいねぇ。いや、久々に面白い子がきたなぁ」


瞳を大きく開けると、整った顔に似合わず私の手を握り、子供のようにブンブンと振りはしゃぐ。

ルルとフィーナは、蚊帳の外だ。


「それで、どんな魔法を仕込んでるのですか?」

「ああ、聞いてくれよ、僕の苦労話をさ」


また額を抑えながら領主様は、昔話を始めた。


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