表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/402

1話 始まりの間 改稿

吐息が白くなるほどに冷え込み、夜空には無数の星々。

そんな満天の星の下、俺は草原を一人歩いていた。


——ここはどこだ?


見上げれば、真紅の半月が浮かび上がり、その光が辺りを淡く照らす。

草木を駆け抜ける一陣の風が吹き抜け、長い髪を優しく揺らす。


現実を確かめるように掲げた手のひらは小さく…まるで子供のようだった。


最初に見た景色は、不思議な空間だった。

夜空を投射したような現実感のない幻想的な光景。


自分の身体は見えず、ただ中央に青白く光る巨大なクリスタルが見えた。


それはゆっくりと鼓動するように、明滅を繰り返している。


——ああ、これは夢だな


それが、この世界への最初の印象だった。


そして、もう一度目覚めた時、見知らぬ草原に横たわっていたのだ。

これが、俺の物語の始まりだとも知らずに…。


近くに流れる小川に、手を浸して水を飲む。

冷たく澄んだ水が喉を潤し、心地よさを感じさせると共に、これがリアルである事を嫌でも実感させた。


ふと、水面を覗き込めば、まだあどけなさを残す、幼い少女の顔が映る。


年齢はおそらく12歳程度に見えるだろう。

肩にかかる程の黒髪と黒い瞳。


そして、息を呑む程に美しかった。


——誰だ?


これが、自分自身なのだと理解するのに少し時間がかかった。

だが、俺はこの容姿に見覚えがある。


それは、あのクリスタルが浮かぶ不思議な空間だ。


あの時、明滅する輝きを見つめていた俺の前に、半透明のモニターのような画面が開いた。


そして、クリスタルに浮かび上がる文字。

俺はその見知らぬ文字の意味を、なぜか理解できていた。


——キャラクター作成


まるで、近未来のゲームのような感覚だった事を覚えている。


そこには、いくつかの項目があった。

性別、年齢、種族。


…そして、最後にステータスポイント。


——ああ、これは夢だな


そこからは早かった。


——性別は男


——年齢は12歳


種族はエルフや獣人等、様々なものがあったが、一つ心惹かれるものがあったので、それを選択する。


そして、外見にはもっとも時間をかけて、理想の美少女を創り上げたのだ。


性別が男だという点が、ポイントだ。


思い返せば、完全に楽しんでいた。

夢だと理解しつつも、ゲームをしているような感覚に陥っていたのだから…。


そして、最後にステータス。


——攻撃

——防御

——知力

——魔力

——速さ


各種に振り分けるような画面だが、ポイントは0となっている。


すると、俺の意志を理解したかのように、クリスタルが怪しく点滅し始めた。

それと同時に、目の前のポイントが19という数字に変わる。


——低いんじゃないか?


またクリスタルが点滅を始め、今度は34と表示された。


最高値はいくつなのだろうかと、好奇心にも似た疑問が湧いてくる。


再びクリスタルは激しく点滅を繰り返し、数値を示してきた。


それは、サイコロのように不規則な変化を続け、100という値に達した所で止まった。


——三桁は初めてだな


俺は試しに数値を振ってみる。

すると、10で止まった。


その瞬間、頭の中に声が響く。


——才能の限界突破ができます


才能?

これは、成長率の値なのだろうか?


ガイドも説明書もない中、感覚的に数値を振り分けてみる。


攻撃30、防御20、知力20、魔力10、速さ20。


果たしてこれがどういう意味を持つのか、この時の俺はまだ知る由もなかった。


だが、後に世界を変えるほどの力を秘めている事を、身をもって知る事になる。


全てはここから始まり、ここで終わるのだ。


——物語の幕が開く


※カクヨム様でも連載中 改稿あり

(先行配信、第二部開始しました)

https://kakuyomu.jp/works/1177354054917336750


お楽しみいただけたら、

ページ下部の【★★★★★】をタップして

評価やブクマ、感想などいただけると嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ