表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/8

hidden

海は、きれいだ。

全てを飲み込んで、何もないかのようにそこに佇んでいるだけ。本当は生き物も、ゴミもたくさん入っているのに。

私も、そんな風になれたらいい。いつも思う。自分の感情は全部隠して、常に笑顔を浮かべられたらいい。


知っている。自分の親と血がつながっていないこと。太ももの痣は本当の両親がつけたものであること。ずっと虐待されて生きてきたこと。たまたま保護されて今の家に引き取られたこと。

そして、私には双子がいること。

その片割れが今どこにいるのか、私には見当もつかない。一緒に保護された訳ではないので、児童相談所に助けを求めることはできない。ひょっとしたら、そんな環境で育ったのだから、もう殺されているかもしれない。


「でもまだ生きているかもしれないでしょ」


独り言のように言ってみる。


そうかもしれない。だとしたら、会ってみたい。私と似ているのだろうか。それとも全然違う?そもそも、男なのか女なのかもわからない。幼い頃の記憶が全くないからだ。何より、


この世界に一人だけ取り残されたような、

自分の半分がどこかに行ってしまったようなこの気持ちをすっきりさせたいのだ。


そして、その気持ちは。

キミといるとちょっとだけ和らぐから。

キミの笑顔がほんの少しだけ、それを忘れさせてくれるから。

だから、キミといることを選んだ。


「あ~あ、心の整理、ついちゃった」


わかっていた。自分はキミ…溝口くんが好きだから付き合っているわけじゃない。散々悩んだけど、やっぱりそう言うべきだと思う。

嘘をつき続けることは本当につらい。それを相手が心から信じているほど苦しいのだ。だから、たとえこの関係、距離感が壊れてしまうとしてもちゃんと伝えなきゃ。


自分勝手かもしれない。独りよがりかもしれない。でも、思ってしまう。

キミは私の全部を知っても、傷つかないでほしい。その笑顔のままでいてほしい。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ