閑話:女帝からは逃れられない
もうすぐだ、もうすぐで国境に着く
私は恋人のアリッサとともに国境近くまで馬車を走らせた
【マルス・インジェント】
「アリッサ、もうそろそろ国境だ!」
【アリッサ・クローリー】
「楽しみですね!マルス様!」
私たちは女帝からの魔の手から、やっと逃れられるという安心感に満ちていた
キキッー!ヒヒーン!
すると馬車が急に止まった
【マルス・インジェント】
「どうした、国境には到達していないだろうが!」
【御者】
「殿下、前方より兵が近づいてきます!」
御者の報告に、私は一抹の不安を覚えた
【国境警備隊長】
「御無礼致します。私は国境警備の隊長であります。畏れながら御馬車に御座すはマルス・インジェント皇太子殿下とお見受けいたします」
【アリッサ・クローリー】
「マルス様・・・」
もう知られていたか、仕方がない
【マルス・インジェント】
「静かにしていろ」
私は国境警備隊長の応答に答えた
【マルス・インジェント】
「大儀である、我々はセルベックス帝国に遊学するところだ、道を開けろ!」
【国境警備隊長】
【畏れながら、我々は皇帝陛下の命にて国境は閉鎖しておりますゆえ何人たりとも通ることはできません】
【マルス・インジェント】
「何っ!?」
もうすでに手が伸びていたのか
【国境警備隊長】
「皇帝陛下より、直ちに城へ帰国するよう命も承っております、警備の者も付けますゆえ、どうか御帰国のほど、何卒!」
私は結局、女帝の魔の手から逃れられないのか
その後、私たちは城に到着しアリッサと離ればなれになり、処刑台にのぼる気分で女帝の下へ向かった