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エルフの美少女

エルフの少女ミルフィーネとの話になります。

楽しんでいただければ幸いです


 シルキーはあの後もかなり反対したが、俺は一応この子の話を聞く為に拠点にしている宿屋の酒場に案内した。


 この酒場には有料ではあるが内密の話をする為の小部屋があるので今回は其処を利用する。


「この壁の素材はですね、全部宿泊用個室の数倍の防音処理が施されているんですよ~。特別宿泊室は同じ構造ですけどね。焼きあげたレンガひとつひとつに防音や耐震、耐魔法、それに耐衝撃などの呪文を刻んでありますし、その上から魔法抵抗力の高い樹木を加工して壁板に加工してるんです。だからここで何かしても大丈夫ですよ~。あ、ちゃんと後で掃除もしますので。もし何か注文したいときには、そこの魔道具に向かって話しかけてくれれば注文の品を後で部屋にお持ちしますよ」


 とにかく何かすごい手間がかかっているらしく、ほかにも様々な魔道具を使用しているそうで維持費が大変だということだ。


 この部屋を借りる費用は二時間でなんと金貨一枚。


 値段を聞いて俺の部屋にしようとしたが、シルキーが全力で反対した為にやっぱりここを借りる事にしたが、よほどバツが悪かったのかシルキーが半額出すとか言い出した。当然断ったが。


「この子の話を聞くと言い出したのは俺だし、この場所を借りる決定をしたのも俺だ」


「でもでも、私はこの子を師狼(しろう)の部屋に連れ込んでほしくなかったの」


 如何わしい言い方はヤメロ。


 まるで俺がこの子に手を出す前提みたいな言い回しじゃないか。


 大丈夫、理性は保ってる。


 この子が絶世の美少女でしかもロリ巨乳エルフで何かにすがるような切ない顔をされてもって……、やばい、確かにこの状態で部屋にいたら理性が吹っ飛ばされて俺でも手を出しかねない。



◇◇◇



 話をしやすくするための軽食と飲み物が届いた後、ドアの鍵をかけた。


 外部から侵入されることはないだろうが、余計な邪魔が入るのは避けたい。


「それで、話って何かな?」


「はい、まず最初のさっきあなたに愛淫隷属(セクサドール)に使った事を謝らせてください。私はあなたを私の為の性奴隷(おもちゃ)にしてしまうところでした。本当に申し訳ありません……」


 性奴隷(おもちゃ)って、なんだ?


 言葉のニュアンスからなんとなく察せるけど、俺みたいにいろいろ目的がある奴以外は喜んで名乗りを上げるんじゃないかな?


 多分この子があのとんがり帽子をかぶらずに酒場に出ただけで、ここにいる男冒険者は全員一瞬で陥落するぞ。


 女性冒険者も危ないかもしれないが。


「さっきも言ったが、俺には一切それ系の魔法や術は効かないんだ。だからその事を誤る必要はない。まあ、確かに幸運であった事には間違いないだろうけど」


「師狼はほんとにいろいろ不思議な力を持ってるんだね。なんで効かないの?」


「…………企業秘密だ。さすがに詳しくは話したくない」


 宝珠の力といっても、たぶん説明する事も無理だし理解させる事すら難しいだろうしな。


 それに宝珠の力は今の俺には絶対に開放できないし、するつもりもない。


 たとえ世界を救うという使命があってがあってもだ!!



「で、あなたの名前は? まずそこからだと思うんだけど」


 シルキーの態度が冷たい。


 普段近所の子供と気軽に戯れていたりしているが、あっちはアーク教の営業スマイルなのかと思えるほど冷たいぞ。


 まあ、この子の仕出かしたことを考えたら、そりゃ好意は抱けないだろうけど。


「し…失礼しました。私はここからやや西方の森に住むエルフ族のミルフィーネといいます。契約精霊は吸精淫魔(サッキュバス)です」


「ミルフィーネだね、あと契約精霊は言わないといけないのか? エルフたちにとっては割と重要なことだと思うんだけど?」


 どの精霊と契約しているかで使える精霊魔法が決まるのであれば、それは相手に手の内を全部さらすのと変わりはない。


 たとえ瞳の色で見抜かれるのであっても、よく似たほかの精霊と契約しているということにもできる筈だ。まあ、愛淫隷属(セクサドール)という魔法でシルキーにはばれてたみたいだけどね。


「あんな真似をした以上、こちらの情報はすべて掲示すべきだと思いまして。あの……もし気になるのでしたら、胸とかのサイズなんかもお教えしますよ?」


「結構よ!! あなた、やっぱり喧嘩売ってるの!!」


 まあ、どう甘く見積もってもあの身長にもかかわらずバスト八十台後半は確実だろうからな。


 エルフというのであれば年齢も気になるけど、今聞かなければならないことはそこじゃない。


「スリーサイズとかは別に聞かなくていい。それより、どうしてあんな真似をしたのか、その理由を教えてほしいんだが」


「あ……、はい。あの、兄様はエルフや契約精霊の事をどのくらいご存じですか?」


「兄様? 何言ってるの、あなたエルフでしょ? 確実に師狼より年上よね?」


 ミルフィーネの兄様発言に、恐ろしいほど速い速度でシルキーが反論した。


 まあ、紗愛香(さえか)にいつもお兄ちゃん呼びされているから、兄様というのは割と新鮮な響きではあったけど……。


 元の世界でもファンタジー小説とかあったし、そこでもなぜかエルフはみな長寿で耳が長いという特徴がある。だからこの子も見た目以上に高齢でもおかしくはないはずだ。


 そういえばなぜか魔法も割とこっちの世界と元の世界で共通することが多いし、魔法や技が発動するということは知識とか力がどこかで繋がっているのかもしれないな……。


「あの、エルフは人間でいう所の二十歳位の姿に成長するまでは大体人間と同等の時間が必要でわたしはまだ十四歳なんです」


「見たままの子供ってこと?」


「はい。それに、エルフも男性の出生率が低いので周りに男の人が本当にいなくて、こんな素敵な兄様がいたらいいなとずっと思ってたので、つい……」


「なるほど、エルフはやっぱり長生きなのか? あと、契約精霊については俺は全然知らない」


「エルフは二十歳を超えると、その後はほとんど姿が変わらないまま、大体千年ほどは生きます。もちろん、そこまで長生きせずに事故などで命を落とす人も多いです。魔法を使わなければ傷とかの治りも人間よりはかなり遅いですので」


 傷の治りが遅いというのは代謝とかの問題なのか? それとも治癒機能が人間より劣るのか? そのあたりの事情はさすがに分からないが、その分回復系の魔法が重宝されるのだろうな。


「エルフの成長についてはあまり知らなかったから謝るわ。ごめんなさい」


「いえ、エルフも種族によっては成長が遅い場合もあるそうで、特にほかの種族との混血になると、いろいろ変化が起きるみたいです。それで、本題に入りたいのですが、先ほどした事については契約精霊の影響によるものなんです」


「まあ、身体がどのくらい変化したのかは知らないけど、身体以外に影響があっても不思議じゃないな。今の感じから察するに、あの時は湧き上がる欲情に支配されてたっぽいけど」


 ミルフィーネはちょっと驚いている。


 いや、驚くようなことじゃないだろう? 少しくらいは猫をかぶっているのかもしれないが、今の様子を考慮したらあの状態が異常だったってことは容易に予測できる。


 それに、元がどんな姿だったかは知らないが、その体格に対してその胸なんかは明らかにおかしいし、それだけ身体的な変化が訪れるなら、精神的にもかなり変化があると考えるのが普通だ。


「兄様のおっしゃる通りなんです。あと、契約精霊なんですが、あの、実はエルフ以外にはほとんど知られていない秘密の一つで、契約精霊は()()()()()()()()()()()。契約の儀式をするまでに蓄えてきた妖精力(フェアリカル)魔力(マジカル)の量、それに、それまでの経験などが素となって、その人にふさわしい精霊が選ばれます」


「あなたが吸精淫魔(サッキュバス)に選ばれたのは、その、エッチなことに興味があったからなの?」


 ああ、そういう解釈も成り立つのか。


「ち、違います!! 精霊に選ばれる基準とか、その、いろいろ複雑でコンプレックスや願望もその一つですが、性格とかと全く正反対の精霊が選ばれることもあるんです。例えばですが、戦うのが嫌いな人が、戦いを避けて敵を見つけやすい能力を得るために千里眼の梟(ウルラ)に選ばれたり、人見知りが激しくて人と接したり話すのが苦手だったりする人が悪戯淫娘(インプ)に選ばれたりと……」


 ミルフィーネは顔を真っ赤にして精霊との契約に関する説明を始めたが、この子が慌てたり、恥ずかしがったりしてわたわたしてる姿は非常に精神衛生上よろしくない。


 最初にあれだけ嫌悪感をあらわにしていたシルキーでさえその仕草が可愛すぎてたまに見惚れてるし、保護欲に駆られるというかもう全力で守ってやりたくなるというか……。


「もちろん、綺麗になりたい願望が素でとか、ちょっと成長が悪い身体にコンプレックスを抱いて呑化樹(モッコク)に選ばれるエルフが多いのは事実です。ただ吸精淫魔(サッキュバス)みたいな一部の上級精霊に選ばれる事はほんとに稀で、運悪くというか上級精霊に選ばれた人はかなりの確率で上級精霊に精神をのっとられて、魂の奥底に幽閉されたりするんです」


「精霊との契約のデメリットは身体を乗っ取られる事なのか……。そういえば気になっていたんだけど悪戯淫娘(インプ)吸精淫魔(サッキュバス)って精霊なのか? 俺には悪魔とか魔族的なイメージがあるんだけど」


 俺が知っているどの話でも悪戯淫娘(インプ)吸精淫魔(サッキュバス)は悪魔側の存在で、精霊なんて存在ではないはずだ。


「ちょっと師狼、悪戯淫娘(インプ)は恋愛、吸精淫魔(サッキュバス)は豊穣や繁栄を司る精霊よ? 悪魔とかは言いすぎだよ」


「え? こっちの世界だとそうなのか? それはすまなかった」


「こっちの……、せかい? 兄様、それってどういう意味でしょうか?」


 そういえば俺がほかの世界から送り込まれた人間だっていうのは教えてなかったな。


 というか、まだ名前も教えていない気はする。


「俺の名は鏡原(かがみはら)師狼(しろう)。こことは別の世界から魔王討伐の為に女神に送られてきたんだ。まあ、あまり信じられていないみたいだけど」


「私の名はシルキー。師狼の事はいろいろ事情があるみたいで、ほかの人はほとんど信じていないんだけど、間違いなくほかの世界から来てると思うよ、私は」


 おい。


 自分で言った後でなんだが、なんでそこでコイツが安心したようにその事を付け加えるんだ?


 しかも、何か遠慮したような口ぶりで。


「もしかして俺が別の世界から来たっていうのや、魔王討伐の話はもしかしてほとんど信じられていないのか?」


「えっと……、冒険者ギルドの人たちには、最初に出現した時の事は、転送系の魔法で間違えられて送られたんだろうって言われてるね。魔王討伐についても、目標はそれくらい高いほうがいいよな程度の認識で……。もちろん、私は異世界から来たって話も師狼の事も信じてるから、本当だってわかってるんだけどね」


 もしかして冒険者ギルドでも俺の扱いは、どこかから流れてきたちょっと強くて羽振りのいい兄ちゃん程度の認識なのか?


 まあ、転移魔法の存在が分かったのは大きい。


 そのことは後にして、まずはミルフィーネがああした理由をもう少し……。


「話を戻そう。ミルフィーネ、あの時なぜああなったかを話してくれるか?」


「はい、先ほどの話でも言いましたが、上級精霊と契約すると精神をのっとられる事は多いのですが、さっきのがその発作の一つで、上級精霊が私を乗っ取る為の力といいますか、その、他人から魔力(マジカル)(ヴリル)を吸い上げて上級精霊が妖精力(フェアリカル)を高める必要があります。だからその吸精行動に出る時は一時的に吸精淫魔(サッキュバス)に心を乗っ取られるんです」


 つまりあの時この子は吸精淫魔(サッキュバス)に操られてたって事か。


 やばかった。というか、吸精淫魔(サッキュバス)が馬鹿でよかった。


 催淫系の魔法なんて使わずに、何の事情も知らずに普通に口説かれてたら、さすがに俺でも断るのを躊躇するレベルの美少女だし、俺も健全な男子校せいなんだ、むしろ何もしないで抱き着かれてたら高確率で落ちてたぞ?


「それで、もうその発作とかは大丈夫なのか?」


「はい。精神の乗っ取りにはかなり妖精力(フェアリカル)を必要とするらしく、わたしが契約している吸精淫魔(サッキュバス)は、あの時に兄様から確実にわたしと入れ替われるくらいの魔力(マジカル)(ヴリル)が手に入ると確信して全妖精力(フェアリカル)を使ったようで、もう数十年は出てこれないと思います」


「捕らぬ狸の皮算用にもほどがある。まあ、魔力(マジカル)はともかく、俺の保有する(ヴリル)は相当な量になるだろうからな」


「師狼が無事でよかったわ。吸精淫魔(サッキュバス)と契約したあなたも災難だったのね。本当に今まで悪く言いすぎてたわ、ごめんなさい。それで気になったんだけど、今まで一度もああいった発作がなかったの?」


 そこを聞いちゃうか……。


 確かに気にはなるだろけど、この子があんな大きなとんがり帽子かぶって、やぼったい服着てるのは目立たないようにするためだろう。獲物を呼び込まないように……。


「一度だけ……。故郷にいる時、一度だけ親友に愛淫隷属(セクサドール)を使った事があります。私が吸精淫魔(サッキュバス)と契約した後も、今までと変わらずに接してくれたたった一人の友達だったのに。私が心に隙をつくっちゃったから……」


 上級精霊の力がどれくらいかは知らないけど、たぶん容易にはあらがえないほど強いのだろうということは予想できる。


 わずかな時間だけど、この子に接していてわかるのは、かなり自制心が強いだろうということだ。


「その子は大丈夫だったの? その、性奴隷(おもちゃ)にしちゃったんでしょ?」


性奴隷(おもちゃ)は最初に魔力(マジカル)(ヴリル)吸い上げる為の状態で、吸精淫魔(サッキュバス)はある程度魔力(マジカル)(ヴリル)を吸い上げた後は相手が衰弱死しないように、宝石の烙印スティグマ・デ・ゲムマという魔法で、相手を宝石に変えてしまうんです。そうして身体を宝石に変えてから、残された精気とかを残らず吸い上げます。だからその親友も……、アンネちゃんも故郷のあの森の中でいまだに青色の宝石変わっています。たぶん、このままだと永遠に、ずっと……」


 関係者でない以上その事を糾弾するつもりはないが、吸精淫魔(サッキュバス)に操られていたとはいえミルフィーネにも完全に非がない訳じゃない。とはいえ惨いな、その犠牲になったアンネとやらも、操られてその親友を手にかけてしまったミルフィーネも。仲の良い友達だったんだろうに……。


「それが半年前の事です。わたしは故郷の森を飛び出して、近くの森に身を潜めながら街道を移動して、ようやく今日の朝にこの街までたどり着いたのですが、長旅の疲れで少し気が緩んでしまいまして……」


「つい魔法談義をしてる俺たちのところに来た訳か。おそらくあの時すでに無意識のうちに吸精淫魔(サッキュバス)に操られていて、高魔力(マジカル)を持つシルキーや高(ヴリル)を持つ俺に引き寄せられたんだろう」


 格好の餌だろうしな。


 腹をすかせた状態で極上の料理が並んでたら、そりゃ無意識のうちに食いたくなるだろう。


 逆に言えばよくあの状態まで誰も襲わずに済んだな。これだけの美少女なら逆に誰かに襲われる可能性もあっただろうに……。


 ああ、そのためのこの格好をしてたのか。


「その大き目なとんがり帽子とか服はどうしたんだ? 近くの村とかで買ったわけじゃないよな?」


「あ、それは……、家を飛び出す前はもうこの身体でしたので。厳密に言いますと、吸精淫魔(サッキュバス)と契約した後すぐにこんな身体に変わっちゃいましたし、そのうえ桃色の瞳(こんな目)をしていますから。故郷の森を歩いていても胸とか大きいと目立っちゃいますので、できるだけ目立たないようにと……」


 めちゃめちゃ目立ってるけどな。


 それに、その大きなとんがり帽子で目元は隠れてるけど、その巨乳は隠せない……って、そうか!! 男どもはみんなその胸に目が行くだろうから、顔を見られずにすんだのか……。あんな破壊力の高いものがたゆんたゆん揺れてたら、そりゃそっちに目が行く。


「そのお友達は助けられないの? 事情を説明して、元に戻せば故郷の森にいられるんじゃないの?」


「おそらくまだ助けられてはいないと思います。吸精淫魔(サッキュバス)宝石の烙印スティグマ・デ・ゲムマを解呪するにはかなり希少で高位の魔石が必要なのです。この街に来た目的の一つが冒険者になってその高位の魔石を入手することなんですが」


「このあたりにそんな魔石があるって話は聞かないわね。この国にも異世界に通じるダンジョンもいくつかあるんだけど、そこから入手できるアイテムなんかも限られてるし」


 あるのかダンジョン。


 というか、シルキーもしれっとそんな情報を挟まないでほしいな。


「この世界にはダンジョンもあるのか?」


「あるわよ。中の一部がほかの世界と繋がってて、たまにおかしな物が手に入ったりするの。異世界から来た品はダンジョン内の宝箱に入ってることもあるんだけど、見つかるのも数十年に一度とかだから、ほとんど誰も近づかないってのが現状かな。苦労する割に実入りが少ないし。ダンジョンの中には魔物がいるんだけど、なぜかめったにダンジョンから出てこないし実質無害だから放置されてる場合がほとんどだよ」


 異世界に繋がってる?


 それ、ほかの世界に行けたりするって事なのか?


 いや、そんな便利なものがあるなら、あの女神見習いが利用しない訳がない。おそらく自然発生した世界のバグみたいなもんなんだろう。真魔獣(ディボティア)が出てこないんだったら、わざわざ潰す必要もないだろうしな。


「もしかして、たまに魔物討伐とかの依頼が出るのって……」


「確かに極稀だけど、ダンジョンから出てきたってケースもあるよ。北の荒れ地からやってきて森の奥や山の洞窟とか廃村とかに潜んでたり住み着いていた魔物が発見されるケースもあるし、動物が有害な魔石を飲み込んで魔物化することもあるの。この前討伐依頼が発生したロックリザードがその典型で、心臓に飲み込んだ後に同化した珠みたいなものがあったでしょ?」


「あれが魔石だったの? ということはあの珠を何かが呑み込んだらまた同じことになるのか?」


「実害のある魔石は動物とかと同化したら魔力を失って、その魔石は珠になって大体心臓のどこかに一体化してるみたいね。あ、魔石ってのはこの世界の魔力とかいろんな力が石に宿る事で、どこに発生するかはわからないよ。高位の魔石は魔族が持ってたりするそうだけど」


 なんか、いろんな事があるんだ……。


 魔王退治のためにいろいろ訓練はしていたけど、その間に何かほかの情報を集めたりしなかったからな。


「わたしはアンネちゃんを助けたいんです。アンネちゃんを元に戻した後で自分がした事に対する償いをしなければいけないんです」


「俺にしたい話っていうのはさっきの事に対する謝罪と、魔石探しに協力してほしいからか?」


「…………はい。兄様が一緒に戦ってくれたらなって、考えちゃいました。わたし魔法には詳しいんです。まだ冒険者カードは入手できていませんが、故郷で測った時には魔力(マジカル)も七千は超えていましたし、絶対役に立ちます!!」


 その目で下から見上げるのをヤメロ。


 ただでさえ美少女なのに、そんな顔をされたら断られる男がいる訳ないだろ!!


 それに魔力七千って、それ、高すぎないか?


「ダメに決まってるでしょ!! 師狼は私と一緒に魔王討伐に行くのよ、魔石なんて探してる暇なんてないんだから!! それに魔力が高くても、役に立つとは……」


「いや。魔王と戦う場合、高確率でその高位の魔石が手に入るだろう。それに、魔法に詳しいなら教えてもらいたいしな」


「師狼っ!! あなたこの子がちょっと美少女だからって、そんなに勝手に仲間にしようだなんて!!」


「シルキー姉様……、ダメ…………ですか?」


「うっ!! いや、だ……ダメって事はないんだけど……」


 下から見つめてのお願い攻撃。あれ、あんな顔でおねだりされたら、なんでも即OKしたくなると思うんだけど。


 あのお願い攻撃で陥落しないなんてシルキーすげえな。あ、やっぱり視線泳がせてるし、こりゃ落ちたな……。助け舟を出してやるか。


「いくら魔力があっても、こんな子を一人で討伐任務とかに送り込めないだろ? それに、自分の犯した罪を償うために友達を助けたいって心意気もいいと思うんだ」


「そ……、そうね。それじゃあ、これからは仲間よ。よろしくねミルフィーネ」


「ハイ!! お願いします、師狼兄様、シルキー姉様!!」


「よろしくな」


 こうして、新しくエルフの美少女ミルフィーネが仲間に加わった。


 問題はこの子をどうやって冒険者にするかだよな……。


 あれ、年齢制限とかないのかな?



 まあ、明日冒険者ギルドで聞けばいいか。




読んでいただきましてありがとうございます。

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