表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

58/127

24話『02の試験』

 02――改め、オズと再会した翌日の朝。

 俺たちはオズと共にギルドへ向かい、彼女の第二種免許の取得に付き合った。


「それじゃあ皆、行ってくるね」


「頑張ってください!」


 オズが魔法力試験を受けるために、ギルドの奥にある会場へと向かう。

 冒険者の仲間ができたことに喜びを感じているのだろう。ミゼが活を入れるように大きな声で送り出す。


「結果が気になるわね。トゥエイトが実力を保証するって言うんだから、ただ者じゃないんでしょうけど」


「……さて、どうだろうな」


 妙な期待を抱くエリシアに、俺は曖昧に返した。

 恐らく彼女の期待には応えられるだろう。先日の作戦会議で、オズにはある程度の実力を示すようにと伝えている。


 暫く待っていると、魔法力試験の会場の方でザワザワとした騒ぎが聞こえた。

 ギルドの職員たちがざわめく中、オズはしれっとした顔で会場から出てくる。

 やがて職員から試験結果の記された用紙を受け取り、それを俺たちの元まで届けに来た。


「魔法力試験の結果出たよー。はいこれ」


 そう言って、オズが見せたのは――。




***********

●オズ


  魔法出力:A

 魔法即応力:C

 魔法持続力:A

 魔法制御力:E

***********




「……嘘」


「……マジでか」


 エリシアとグランが、目を見開いて驚愕した。

 ランクの偏り方は、グランの上位互換と言ってもいい。しかし騎士団の団長、副団長クラスを示すAランクが二つもあるとは……どうりで職員たちが騒ぐわけだ。


「あ、あの。すみません、オズ様」


 ギルドの受付嬢が、オズに声を掛ける。


「ん? なーに?」


「その……失礼ですが、過去に特殊な役職に就いていた方でしょうか?」


「特殊な役職?」


「例えば、騎士団の責任者だったり、他のギルドで上位ランカーだったり……」


「ううん、そういうのは特にないよ」


「そ、そうですか」


 受付嬢が狼狽しながらも下がる。

 それだけオズの能力が異質なのだろう。

 だが、当の本人は注目されている自覚がないのか、


「それじゃ、もうひとつの試験に行ってきまーす」


 気の抜けた声と共に、オズは基礎戦闘力の試験会場へと向かった。


「あの、トゥエイトさん。オズさんって、何者なんですか?」


 ミゼの問いに、俺は少し間を置いてから答える。


「元同僚だ。ただ、職場でも魔法の天才と呼ばれていたな」


「天才って言ったって限度があるんじゃねぇか……? あんだけ魔法力が高けりゃあ、有名になっていてもおかしくねぇぞ」


「俺も職場以外ではオズのことをよく知らないが……まあ、年齢が年齢だからな。大方、周りに止められたとかで大戦にも参加しなかったんだろう。……それに天才というなら、この歳でAランクを取っているグランも同じだ」


 嘘を交えながらグランの質問に答える。

 オズの正体について三人が色々と頭を捻らせていると――ドン! と大きな音がすると共に、激しい地響きがした。


「な、なに、今の音!?」


「すげぇ揺れたぞ!?」


 エリシアとグランが驚愕する。

 音と振動は、基礎戦闘力の試験会場から響いていた。


 ギルド内が騒然とする中、オズが会場から帰ってくる。


「あはは、ごめん。ちょっとやり過ぎちゃったかも」


 後ろ髪を掻きながらオズは言う。

 大体、何をしたのか想像がついた俺は、溜息を零した。


 やがてオズの試験結果が発表される。

 当然、合格だった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ