驚天動地ー脱皮ー
この季節、君を間近に『厳』という言葉を思い出すよ。肌覆う厳格さと『岩』の重みを表すイメージに。
金。分厚い瘡蓋が断層を削ぐようにベリベリ剥がされゆくだけでも目を見張ったが、内奥から金色が姿を現した瞬間思わずゾッと驚愕したものさ。
何を恐れている、玉葱のように金と岩肌とが層なしてその鋭い斧で断ち切れば年輪状の断面が現れるだ? 理にかなわないよ、金の肌は数日と保たず岩肌は日を追って太りゆく、仕舞いに突然ポロッと取れるがオチさ。
去年の分がこの瓶に? トンだ蒐集癖だ、まるで金の砂。
何をしてる!
大変だ、赤い血が……いや、金の液だ! 瓶から消え、金の血液と結ばれ瞬く間に腕の貌! 落とされた腕は岩となり朽ちてしまった!