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チート能力者達の異世界ライフ  作者: 星川佑太郎
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勘定が出来ない


◇バイト生活 2日目

俺はすぐに行動を開始した。

この世界の通貨のことなんてこの世界に住んでる人なら誰だって知ってるだろう。

多少不審に思われるかもしれないが親方に教えて貰おう。


「親方、質問があるんですが」

「おおぅ、コースケ!どしたぁ⁉︎なんでも聞けぇ!」


いちいち声がでかいがもう2日目だ、慣れた。昨日一日中このデカイ声を聞き続けたんだからな。


「お金の計算がわからないんです。教えて下さい」

「そりゃあ大変だ!おし!じゃあそこに座れぇ!」


そう言って地べたを指差す。別に勘定が出来ないのは不自然ではないらしい。俺は特に躊躇なく落ち葉の上に座った。汚かったが、服が既に滅茶苦茶汚いので気にしない。ちゃっかり隣には誠治も座る。


「両替が出来ねえと困るからなぁ!俺は頭は良くねえがそれぐらいなら朝飯前よ!」


木の板の上に小銭をばら撒いて親方はレクチャーを開始した。


親方はまず銅貨一枚を手の平に乗せた。


「まずこれが1Bだ。20Bで1Sと交換できる。ここまでは分かるか?」

「はい、簡単ですね」


更に親方は銀貨を一枚手の平に乗せた。


「んで、コレが1Sだ」

「成る程、銅貨20枚と銀貨一枚が同価値という事っすか」

「んで、こっからはお前達には関係無いかも知れねえけどな、銀貨は30Sで金貨1Gになる。こんだけ分かってりゃあ生きていけるだろ!」

「ありがとうごさいました、分かりやすかったです」

「おう!午後からも仕事、頑張れよ!」

「はい!」


取り敢えず、通貨は理解した。あとは文字だな。


この世界の言語は日本語だとばかり思っていた。皆完全に日本語喋ってるし。しかし、文字が違う。俺には全く読めなかった。

俺は木を切る作業をしなごら溜息をついていた。最近溜息が多い気がする。


「はぁ……、どうすっかなー」

「どうかした?藤原くん」

「いや、文字が読めなくてな……流石に憶えねえとなぁ……」

「文字?読めるよ?僕」

「え」

「僕の視覚チートは鑑定系にもボーナスが入るからね、知らない言語でも読めるんだよ」

「ズルいなぁ、オイ!だったら当面は大丈夫そうだけど……まぁ文字は読めねえと不便だし憶えるわ」

「そうだね、あ、親方だ。仕事仕事」

「お、おぅ」


俺たちは一日中仕事に勤しんだ。


---


「ただいま〜!」

「今日も疲れたね……」


俺たちは仕事が終わったら部屋に直帰した。買い出しと料理は部屋で暇している悠里の役目だ。昨日決めた。


「おかえり〜、お疲れ様〜」


奥からパタパタと悠里がやって来た。薄いベージュのエプロンをつけている。一瞬抱き締めそうになる位可愛いかった。めっちゃ嫁にしたい。


「ご飯出来てるよ〜」


帰ったらこんな可愛い幼馴染が飯作って出迎えてくれるなんて……隣にイケメンが居なかったら快哉を叫ぶ所だぞ。


「ありがとう、田中さん。疲れちゃったよ」

「今日も元気に2S、稼いで来たぜ……」


正直、玄関でぶっ倒れたいくらいには疲れているのだが無理してテーブルに向かった。

ちなみにテーブルと言ったがちゃぶ台みたいなもんである。


食卓には豪華な食事が並んでいた。肉とか野菜とか魚とかかなりの量がある。


「どうしたんだよ、コレ」

「買い物してたらね、「お嬢ちゃん可愛いね!」って言っておじさんがタダで残り物をくれたんだ〜」


美少女ってお得な生き物だな。

ありがとよおっさん。あんたのお陰で今日の飯は豪華だぜ。

勿論その日の飯も最高に美味かった。


---


「じゃあ俺たち行ってくるから」

「ああ、留守番は任せてよ」

「ごめんね、皆川くん」

「良いよ良いよ、僕は先に寝とくね?」


飯を食ったら悠里はシャワーを浴びに行く。

この宿には風呂が無い。俺たち男二人は職場に水道があるのでそこで勝手に汗を流して帰ってくるが、悠里は女子なので毎日シャワーを浴びに風呂屋に通うのだ。

一人で行かせるのは不安なので毎回俺が付いて行っている。誠治よりも俺の方が戦闘向けの特殊能力(チートスキル)を持っているからな。


宿から10分ほど歩いた場所に風呂屋がある。

俺は風呂屋に着いたら店の前に置いてある椅子に腰掛けた。俺はここで待機だ。


「じゃあ、20分くらいで出てくるから」

「もうちょいゆっくりしてもいいんだぞ?」

「康介も疲れてるでしょ?そんなにゆっくり出来ないよ〜」

「気ぃ使うなよ」

「あはは、行ってきまーす」

「おぅ」


そう言って悠里は風呂屋に入っていった。


洗濯は宿の裏の水道を借りれるのでタダだが、風呂代、飯代、宿代、この三つで俺の分の給金が吹き飛ぶ。誠治の分は貯金だ。

毎日1Sずつ貯めていけば9日で3人分の契約金が溜まる。もう直ぐだ、もう少しの辛抱だ。

なんてことを考えていたら悠里が出てきた。


「早いな、ちゃんと洗ったのか?」

「別に早く無いよ。ちゃんと念入りに洗いましたよ〜」

「さいですか。じゃぁ、帰るか」

「うん」


俺たちは家路についた。

並んで帰るなんて毎日の事だもいうのに妙に照れ臭かった。何でだ。

て、コイツ風呂上がりじゃねえか!なんか石鹸のいい香りが横からすると思ったら!やべえめっちゃ良い匂いする!

毎日一緒に下校してはいたが、風呂上がりの悠里と外を歩くのは初めての経験だ。ドキドキしてきた。


「ねぇ」

「ん、ど、どうした?」


俺はちょっと動揺して声が震えた。平常心平常心。


「私、やっぱり明日から働くよ!」

「……それはダメだって言っただろ?外で酷い目に遭ったらどうするんだ」

「じゃあ、あの宿で働くんだったらどう?店主さん良い人だよ?良いでしょ?」


……それくらいなら良いかな……。

つて、ダメだ!客にセクハラされたらどうする!悠里にセクハラなんてしてみろ、地の果てまでも追いかけてこの世に生を受けた事を後悔させてやるぞ……。

……でもなぁ、何もさせないって言うのも俺が男女差別してるみたいで嫌だしなぁ……。

そうだな、悠里の事を信じてやらなくてどうするんだ。


「分かったよ、その代わり何か嫌な目に遭ったら俺に言えよ?」


絶対にぶっ飛ばしてやるから。


「分かった!ありがとう康介!」


悠里が俺の腕にキュッと抱きついた。胸がムニュっと当たってめっちゃ柔らかかった。


「ちょ、だ、抱きつくな!歩き辛いわ!」


俺はドキドキを誤魔化すので精一杯だった。


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