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チート能力者達の異世界ライフ  作者: 星川佑太郎
12/14

協調性がない


---天界---


「皆さん、楽しんでくれてますかねぇ」


一人の女神が呟いた。


「大丈夫ですよ。今回の企画は本当に良いものでした。作り込みも万全ですわ」


すると、別の女神がやってきて楽観的な言葉を吐いた。

その女神に続くようにゾロゾロと様々な女神がやってくる。


ここにいる女神達が異世界に特殊能力者達を送り込んだ張本人である。


「そう言えば、女神サハナは送り出した方々に説明が不十分だったそうですが?」

「多分大丈夫でしょう……、強く生きますよ……」


女神サハナはブツブツと呟きながら視線を下に落とした。


「サハナさん……、折角皆で企画したのですから要所要所でボロが出てしまってはいけませんわ?」

「申し訳ありません」


このサハナという女神が送り出したのが康介と悠里である。

サハナは元来面倒臭がりやで協調性も無い、ものぐさ女神なのだ。

今回もあまりの面倒臭さについ説明を省いてしまったのだ。


しかし、周囲の女神の態度など意に介さずサハナは大欠伸。


「ふぁ〜、眠……」

「あ、サハナさん?」

「寝ます」

「あ、分かりました。それでは……」


サハナは他の女神達から離れ、自作のベッドの中に身を投げ出した。


女神は睡眠など取る必要は無いのだが、サハナは寝るのが割と好きだった。

他の女神との面倒な会話を避けることができるし、イチイチ考え事をしなくても時間が進むしでサハナにとっては良いことばかりだからだ。


「あの方々には頑張ってもらいたいですねー」


布団に寝そべりながらサハナは小さく呟いた。


---異世界---


「金はある、家はある、そして俺たちは強い。つまり勝ち組だな!」


俺は家で小躍りしていた。

やっと家が完成したのだ。


一人に一部屋。更にシャワーなどの水まわりも完備。

そこそこ広いし庭もある。


ここに俺たちの城が完成した!って感じだ。


「やったー!私一番乗り〜!」


出来上がった家の中にダッシュで入っていく悠里。

今だけは悠里の心境も手に取るようにわかる。だってメッチャテンション上がるよな!分かるわ!


「あはは、走らなくても家は逃げないよ?」

「良いから行こうぜ、誠治!一人一部屋だ、折角だし良い部屋欲しいだろ?」

「そうだね、じゃ、行こうか」

「おう!」


しかし、中に入ると一番日当たりの良い部屋は悠里が占領していた。

あまりの手の早さに俺たちは何も言えなかった。


---


俺と誠治の部屋は左右対称になっているだけで特に違いは無かったので適当に決まった。

なんか悠里の部屋だけかなり良い部屋な気がするんだが……そこはスイートルームか?


「世界を救うって何したら良いのかなぁ?」


現在俺たちは昼食を取っている。

そこで今後の相談事だ。


俺たちはこの世界を救うと元の世界に帰れるらしいのだが、そもそも何をしたらこの世界を救ったことになるのやら全くわからん。


「魔王とかいるのかな?」

「それか、大災害が起こるとか」

「いっそ世界が滅ぶんじゃね?」


俺たちは思い思いの案を出したが、一番ありそうなのが「魔王」なんだよな。

大災害だったとしたら俺たちにどうにかできるかは不明だ。

いくら俺の腕力が強くても台風を力でねじ伏せるなんて不可能だ。

だが、相手が魔王なら力でねじ伏せる事も出来るかも知れない。


「魔王って強いかな?」

「それの所為で世界が危機に陥ってるんなら魔王は強いんだろうよ」


魔王か……じゃあ魔王探してみるか……。


一応当面の目標は魔王を見つけることだな。

なんだか謎解きゲーみたいだ。


---


俺たちはまずギルドで情報を募ってみた。


「この世界に魔王っています?」

「はぁ……?」


単刀直入に聞いてみたら受付嬢のお姉さんが「わけがわからないよ」みたいな表情で首を傾げた。


あれ、魔王っていないの?


「あ、魔法王の事ですか?」

「何です?それ」

「魔法を極めたお方の事です。『魔法王』というのは二つ名で実際は王様ではありませんが」


魔法王?何だその胡乱な単語は。

要するに魔法使いの王様って呼ばれるくらいに強い人ってことか?


「その魔法王って悪い奴なのか?」

「とんでもありません!この世界の魔法技術の発展に大いに貢献している偉大な賢人です!」

「あ、そうなんだ……」


その偉大な賢人が世界を滅ぼそうとしてるとかいうストーリーなら手っ取り早くて助かるんだが……。


「なんか手がかりは無いっぽいぞ、誠治」

「みたいだね……。ま、気長に情報収集を続けよう。他の能力者達も情報を集めてるかもしれないから会った時に聞いてもいいしね」

「だな」


あったら話し合い(きょうはく)で解決したらいいしな。


「ねぇねぇ、何の話?」

「お前は話を聞けよ」


俺は取り敢えず悠里の脳天にチョップしておく。


「うぎゅっ」

「で、今日はどうする?クエストいく?」

「いや、別に良くないか?行かなくても。このままダラっと過ごせばいいじゃん。金ならあるんだし」


思考回路が完全に宝くじ当てたニートなんだよなぁ。

でも仕方がないだろ。一生かかっても使い切れない様な金がこの前手に入ったんだから。


「むぅ……、康介!その考えは良くないよ!ダラっとしてたら心もだらけるよ!」

「はいはい、優等生だなお前は。俺は面倒なことは避けたいの。早く家に帰ってネットがしたいの」


無意味なことに時間を使いたくない。


「そうだね……、じゃあさっき出た『魔法王』って人に会ってみないかい?何か良い情報が聞けるかもしれないよ?」


誠治が譲歩とばかりに代案を出す。


「僕達のチート能力があれば余程のことがないと戦闘では負けないと思うし、魔法王さんも話を聞いてくれるかもしれないよ?」

「確かにな……。どうやったら世界を救えるのかがわからない以上、目の前のできることからやっていくか……」


俺と誠治は悠里を放っぽり出して思案顔で顎に手を当てた。


「ねえねえ、クエストしないの?」


しないよ。だから黙ってなさい。


「ねえねえねえねえ、クエスト行こうよー」


行きませんよ、静かにしていなさい。


「ねえねえ!ねえってばぁ!クエスト!」

「うるさいな、ちょっと黙ってろよ」

「っていうと思ったからもうクエスト受けちゃった」

「このバカヤロォォォォォ‼︎」


俺は悠里の服の襟を掴んでガクガクと揺らしながら絶叫した。


何してくれちゃってんの⁉︎もうちょっと協調性とか無いの⁉︎


「ま、まぁまぁ……、女の子にそんなことしちゃダメだよ……」

「もうホントダメだコイツ!人の話聞かねえんだよぉ!」

「良いじゃん、楽しいよ?」

「俺は楽しくねえんだが⁉︎」


何でわざわざ命懸けで狩りに行かなきゃいかんのだ?

しかもいく必要がないというのに。

バカみたいじゃないか。


「で、依頼は……?何々?『パラサイトダンデライオンの討伐』?」


唯一冷静な誠治が依頼内容を読み上げる。

すると、のほほんとした顔の悠里が表情通りにのほほんとしたこと言い出した。


「タンポポでしょ?簡単だよ!多分」

「バカはほっとこう」


コイツ、成績は良いからダンデライオンがタンポポだとは一瞬で分かったらしい。

だが、その前の『パラサイト』ってところに注目して欲しい。頼むから。


「うわぁ……、レートはA+か……。しかも名前の字面的に搦め手で攻めてきそうだね……」

「俺の能力とは多分相性悪いぞ」


俺は右ストレートで真っ直ぐ行ってぶっ飛ばす能力だからな。

当たれば勝てるが、敵の攻撃方法がわからん以上、行ってみないことには対策のしようがない。


「ま、受けちまったもんは仕方がない。行くか」

「だね、ちゃちゃっと帰って来よう」

「頑張ろー!」

「お前はもうちょい悪びれろよ」


『パラサイト』かぁ……。嫌な予感がするなぁ。

ってかタンポポを討伐って時点で嫌な予感しかしねえんだよなぁ。

気がついたら4ヶ月も投稿してなかった。『転生魔王』で手一杯なんです許してください。

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