ある日の出来事
まだ、前回のと同じ…
今日は日曜日だ。俺の学校は土曜日も授業があるので休みは日曜日だけ。せっかくなのでソファーに座ってのんびりとテレビのニュースを見ている。
「次のニュースです。歴代最年少でのノーベル化学賞受賞の決まっている霧島優希氏(16)が、ノーベル賞の受賞式には、研究のきっかけと理論の基をくれた、某小説投稿サイトで、3年前に書かれた【アニメの中の能力をこの世界で作るには】の作者である、“SUZUMIYA”という人を連れて行くと発表し、メディアを騒がしています。また、『もし、その人がこのニュースを見たならば、研究所に電話をして欲しい。』とも、述べています。」
同学年か、凄い人もいたものだ。確か、そのサイト俺もやってたなぁ……って、待て!【アニメの中の能力をこの世界で作るには】って、俺が書いたやつじゃないか。“SUZUMIYA”ってのも、俺のニックネームだ。ちょっと待て、もしかして……前に来たサイトからのメールって確か……やっぱり。コメントの通知だ。で、内容は……
《ニックネーム:霧島。コメント:作者のSUZUMIYAさん、今度私の研究所に電話下さい。》
はいっ。俺のことでした。マジかよ。
俺は、折角そんな凄い人が電話を待っていてくださっているようなので、電話をしてみることにした。
ノーベル賞の受賞式にも、行ってみたかったしね。
「えーと、電話番号は……あった、あった。」
黄色い本便利です。では、早速。
045-***-○○○
「こんにちは。霧島研究所の霧島優希です。どちら様でしょうか?」
「こんにちは、霧島優希さん。私、涼宮和樹と申します。【アニメの中の能力をこの世界で作るには】の作者です。お電話をお掛けするのが遅くなり、誠に申し訳ございません。二週間も前にコメントしてくださっていたのに。」
「“SUZUMIYA”さんですか!?やっと、こうして話すことが出来て嬉しいです。」
少しは疑えよ!いや、本物だけどさ……
「いえ。こちらこそ、光栄です。」
「この度はおかげさまでノーベル賞を取ることができました。ありがとうございます。」
「そんな、私は何もしてませんよ。霧島さんの実力ですよ。」
「そんなことないですよ。涼宮さんいてのことです。今度、会ってお話ししたいのですが。」
「よろしいのですか?」
「勿論です。では、いつが空いてますか?出来れば日曜日の方がこちらとしては嬉しいのですが。」
「大丈夫ですよ。では、何方へ向かえばよろしいでしょうか。」
そもそも俺に用事なんて特にない。大体の場合暇人だ。
「私の研究所などどうでしょう。日曜日も開いてますので。」
「大丈夫ですよ。というか、是非そこでお願いします。」
ノーベル賞受賞者(予定)の人の研究所を見る機会なんてそうそうあるもんじゃない。しかも、ノーベル賞受賞者(予定)と一緒に回れるなんて。これは行かない手はないだろう。
「では、その日は10時から空いてますが何時からにしますか。」
「何時からでも良いですよ。」
「では、10時からにしましょう。」
「分かりました。宜しくお願いします。」
「此方こそ、宜しくお願いします。」
この後すぐ、俺達は電話を切った。このときの俺は、この出会いが何を意味するのか、想像もしていなかった。