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trick&fake   作者: ラミー
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First

「ルイ…起きて。黎人から呼び出し」

「ふぁぁ…」

寝返りを打って起きたかと思えば、また寝る。

「もー、置いてくよ」

「やだ、起きる」

やっと体を起こした。

「はい、えらい。」


スウェットから服を着替えながら、会話をする。

「今回誰がターゲット見つけたの?」

「黎人だよ。」

黎人は、常に冷静沈着。よく言えば落ち着いていて、悪く言うと冷血人間と言える。

「何か仕事場所とか詳細書いてた?」

「9時にヴォルフスガルデン集合。詳細はそこで。だってさ。」

それ以外に何もない、無駄を省いたメールだった。黎人のことだから、素晴らしく文字だらけの資料を作っているんだろう。…読むのがめんどくさい。

「今日は何が食べられるかな~?」

ヴォルフスガルデンは、メンバー、夕憧のカフェだ。

持っていると言っても、経営も従業員も夕憧が1人でしてるし、俺ら以外はヴォルフスガルデンに立ち入り禁止。

最近流行りの、隠れ家的カフェ。(と言うより、俺らの隠れカフェだ。)

「あ、圭、タクシー来たよ。」

電話で呼んでおいたタクシーが家の前に着たらしい。

玄関に置いてあるいつものバッグを持って、家を出る。

起床後10分での出発。素晴らしい。


タクシーに乗り込んで運転手にヴォルフスガルデンのあるビルの名前を告げる。乗り込んだあとは、2人揃って無言。こっちの仕事の話を他人に聞かれたりなんかしたら、俺たちは終わりだ。俺は音楽を聴いてぼーっとしてるけど、ルイは多分夕憧が作る料理でも考えてるんだろう。ヘッドホンから流れる音楽が5回ほど変わったあたりで、ビルに着いた。


ビルに入って目の前にあるエスカレーターをスルーして奥の何の表記もない扉を開け、更に番号ロックがかかったエレベーターに乗り地下に降りる。そして今度は指紋認証の扉を開けると、ヴォルフスガルデンに入れる。これでもかというくらいに厳重だ。

「おはよー」

「よっ」

「2人とも、おはよう」

まだ夕憧と黎人以外きていないらしい。

黎人はテーブルでパソコンをいじってるし、夕憧はその黎人に珈琲を出して、自分は紅茶を飲んでる。

「紅茶はアールグレイ、でも別でバニラの香りがするね」

「ルイ、わかる?」

「うん、夕憧何作ったの?」

「アップルパイに乗せるバニラアイス。さっき作ったとこだからか今日は食べられないけど、明日以降なら食べれるよ。時間に余裕できたら食べにくる?」

「うん、来れたら…」

仕事によっては、明日ヴォルフスガルデンに来れる余裕があるかどうかわからない。仕事はできるだけ早く終わらせた方が良い。

「ルイ、圭、朝ごはん食べてきた?」

「ううん、食べてない」

「何か作るよ、何食べたい?」

「俺は大丈夫」

「圭、朝ごはんは食べないといけないよ」

「そういってくれるのは嬉しいけど、朝は食欲がないんだ」

「…わかった。ルイは?」

「夕憧に任せる!」

「OK、じゃあ作ってくるね」

気遣い完璧、料理も得意、色が白くて細くて目が大きくて、世の中に夕憧以上に女子力が高い人間はいないと思う。…ちなみに、朝ごはんを食べないと太るみたいなことが世間では言われてるみたいだけど、それは嘘だ。俺は、その辺の女子と比べても細い部類に入る人間だ。

「れーいとっ、仕事内容何?」

俺らが来てもパソコンから顔を上げない黎人に声をかける。

「夕憧が戻ってきたら話す」

「相変わらずそっけないな~」

真面目すぎて面白くない。でもこの黎人に話しかけても何もないから、またヘッドホンを耳につけて、ポケットからガムを出した。

「圭、無理に朝食を食べろなんて言わないけど、ガム食べるくらいならこれ飲んで」

差し出されたのは、おそらく今夕憧が作ったであろう野菜ジュース。

「ありがと。じゃあ飲ませてもらうよ」


「…」

俺と夕憧のやりとりをよそに、黎人の呆れたような視線の先にいるルイは、小さめのパンを10個ほどと、大量の温野菜、ベーコン、ウインナー、目玉焼きと朝からすごい量を食べてる。

「なぁ、宏太と勇輝は?」

黎人が示した9時は、ちょうど今回った。

「勇輝はバイト、宏太は学校だ」


調理に使った分の食器の洗い物を終えた夕憧が席に着くと、黎人が話し始めた。

「今回のターゲットは、日本有数の名家、青野家が所有するディミティーという名前のスターサファイア、サイズは230ct.。接触するのは一人息子のの青野聡一郎25歳」

「本人との接触は夕憧のみ。仕事はもう夕憧と勇輝が進め出してる。」

そう話しながら黎人が配った資料には、青野家の詳細、青野聡一郎のプロフィール、ディミティーの歴史…見出しを読むだけで疲れてくる。俺は活字を読まない。学校の教科書ですらまともに目を通したことはない。

「圭、1ページ目はいいとして、内容が書いてる2ページ目からは読め。」

黎人に怒られて、俺は資料に目を通す。勇輝の事前調査によると、ディミティーのある部屋は青野家の中でも青野家の跡取り以外入室禁止らしい。夕憧が、皐月優愛(サツキユウア)って名前…キャバ嬢みたい。とか思ったら夕憧はあのない胸でキャバ嬢に化けたらしい。


で、今日夜、夕憧が青野と都内のホテルのレストランバーでデート。夕憧が服に盗聴器を付けて、青野からディミティーの話を引き出し、それを聞いた俺らはそのまま盗りに行く。うーん、黎人にしては単純な作戦だけど、まぁ成功率は高そう。

「圭、3ページ目も」

資料をテーブルに置こうとした俺の手を黎人の声が阻む。

「はーい」

3ページ目には夕憧以外の役割分担がかいてあった。俺は、ディミティーのおいてある部屋のロック解除らしい。ルイはいつも通りターゲット確保だ。明日、勇輝はバイトがあるから不参加。というより、勇輝の主な担当はターゲット周辺の事前調査だ。

まぁ、仕事はそんなに面白そうな内容ではないけど、俺は面白くないなんて理由で仕事を断るような非常識な人間ではない。


「…ってことはさ、明日は夜だけの仕事?」

「明日は金曜日だ。俺は大学がある。宏太は学校だしお前は仕事だろ?」

何かあった時に疑われやすくなるから、こっちの仕事をするときは、いつも学校やそれぞれの表面上の仕事を欠席したりはしない。


「俺からは以上。何かあるか?」

「いや、特に」

「じゃあ、解散。じゃあ、よろしく頼んだ」

「「OK」」


もうルイもこの仕事に慣れたようだ。

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