終焉の世界での始まり04
夜の闇の中、一つの巨大なビルの屋上に一人の少女が立っていた。
ビルの屋上から見た景色は、宝石のように散りばめられた光が、夜の闇の中に広がりそれは美しく輝きを放っていた。
少女はそれを見て、美しいとも、綺麗だ、との感情を表情に表す事はなく、手元のスマートフォンを指で操作し、ある相手へと通話を掛ける。
プルルルッと何度目かのコールで相手へと繋がる。
「もしもし…私です。申し訳ありません。彩和月拓哉を仕留め損ねました…。」
申し訳なさそうな声音で告げる少女に、電話の向こう側の声…若い男の声音は冷静な口調だった。
『まぁ…良い。最初は小手調べのつもりだったからな…。やはり予想通り神宮時アリスが出て来たか………』
「はい。主様の見立てたとおりでございました。ですが、この私が主様の期待に添えるように必ずや…彩和月拓哉共々神宮時アリス、二人纏めて始末致します。」
『そう簡単にいかない相手だぞ……何せ神宮時アリスはお前と同様に《代表候補者》付きの魔術師だからな』
『だが、お前の働きには期待している。何せお前はこの私の優秀な魔術師だからな』
「はい。必ずや主様の為にも、この身を以て勝利を捧げる事をお約束致します。」
『頼んだぞ』
「はい。」
そうして男との会話は途絶え、電話を終えた少女は制服のスカートのポケットへとスマートフォンをしまう。
少女は歩を少し進め、止まる。
一メートル先には足場もなく、ましてやフェンスすらも存在していない。そこから見下ろすと、光輝く東京の夜景が広がるばかりだ。
少女は視線を真っ直ぐに無限に広がり、光輝く街並みへと移した。
…酷く歪んだ世界……。
…下らない世界……。
少女はそう心の底から感じる。
見た目は、こんなにも美しい景色なのにそれはまるで何かの形で無理矢理にでも、取り付けられたような歪な形をしているのだと、心底そう感じさせてしまう…――――。
その時、風が吹き少女の黒く艶のある長い髪と、制服のスカートの裾が翻る。
少女は風に靡く髪をそっと手で押さえた。
その制服の裾口からは銀色のブレスレットが微かに夜闇の中でキラリと光輝いて見えた。
そして少女は虚しさを滲ませながら小さく呟く。
「拓哉君……もうすぐお別れだね…。」
その声に迷いはない。
あるのはただ自分の主人の命令を忠実に守るかのような意思だけ。
少女は……結城亜理砂は景色に視線を浮かべたまま、唇の端に微かな笑みを浮かべた。
改めてましてせあらです。
今回初めて小説家になろう様で投稿させて頂きました。普段はpixiv様の方で小説を書かせて頂いておりますが一次創作メインでの小説、また当方はライトノベル作家を目指しておりまして、Webでの掲載での作品に対しての感想が欲しく連載を始めさせて頂きました。
まだこちらのサイトを始めたばかりで不馴れな部分などがありますが、どうか宜しくお願い致します。
今回作品につきまして世界観を重点的に書かせて貰いました。
初の異能バトルは初めての試みでもありますが、最後まで書き上げたい、盛り上げて行きたいと思っておりますので宜しくお願いします。
次回からは本格的に拓哉、アリス、亜利砂が動き出す展開になります。
次回もお付き合い願えたら嬉しく思います。
そして最後にwhite・アウトの挿絵を描いて頂きましたイラスト担当の冬原かなぎ様本当に本当に有難うございました。
迫力あるバトルシーンでの挿絵と夜景での亜利砂のシーンでの挿絵本気で素晴らしく、感動致しました!本当に有難うございます!
またwhite・アウトはpixiv様の方でも同時に掲載をしておりますので、こちらの方は表紙付きのイラストも含めて楽しめるようになっております。
内容は一緒なのですが。もし宜しかったらこちらの方も宜しくお願い致します。