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ノーマネー・ノーライフ  作者: ごまだんご
3章 新たな力と幼い?天才達
58/66

美人秘書は男の夢です。

宜しくお願いします


 (やっちまったー!?)


 予想だにしていなかったであろうユキナリからの否定の言葉に、ユキナリ以外の全員が目を丸くしてしまっていた。


 日本で数々のバイト経験を持つユキナリは、コンビニやスーパーといった接客業の経験も豊富である。中には分を弁えない輩という者と関わる事も多い大変な仕事である。

 ユキナリの私的な考えではあるが、接客業経験者におけるアホな客に対応する際の心情は二通りに分かれると思っている。


 1つは、お客様は神様です!とかいう従業員を卑下した時代遅れの思想にのったお客第一の者。クレーム等の問題が発生し辛く出世コースではあるが、同僚や部下からは嫌われるタイプである。


 二つ目は、表向きは笑顔で対応しているが、口調や声に嫌悪感を隠し切れない自分に素直なタイプである。熟練者にもなると不快感がモロに顔に出るのでとても分かりやすいのだ。


 さて、当のユキナリはどちらのタイプだったのか?勿論、率直に態度に表す後者である。しかもかなりの熟練者でもあった。


 日本であれば、その圧倒的な仕事量と成績によってちょっとやそっとのクレームでは、ユキナリをクビにしたときの方が損害が大きくなってしまうので、クレーマーの方が会社から怒られるという珍しい立場にいたユキナリであったからこそできた芸当であった。


 とはいえ、異世界という後ろ盾の少ない状況で始めた商売である。軌道に乗るまでは素を抑えて対応しようと思っていたのだが、よりによって最初にやって来た客があまりにもアホであった為についつい素が出てしまった為の言動であったのだ。


 しかし、一度出てしまった素を瞬時に軌道修正出来る程器用な性格ではないユキナリは、もうこの乗りで行くしかないと、直進を選択するのであった。


 まずは、予想だにしなかった暴言に呆けているパリック国一団になぜ投資を認められないのか?という所を足早に説明した。


 ・投資は募金や寄付ではないのだから、ちゃんとした理由が必要になる。

 ・理由とは、ユキナリや仲間達にとって益を与える事のできる物である。

 ・仮に、パリックの主張する技術がユキナリに利益を生むのならば投資の可能性はある。

 ・現在の秘密の部分が多い書類では投資をする事はできない。

 ・お金を貸し出す【融資】であれば対応できる。


 という内容を説明したのだが、はたして目の前の大将軍は理解できているのだろうか?仮にも大将軍なのだから大丈夫だよな?


 ユキナリが不安に思っていると、背後に控えていた兵士の内の最前列に控えていた1人が、大将軍に何かを耳打ちしている。分厚い鎧で体型が分かりづらいが、どうやら女性のようだ。察するにおバカ?な大将軍の知識面をフォローする秘書のような女性なのだろう。


 秘書……。良い響きだな。室内なのだからヘルムを外して素顔を見せてくれても良いと思うんだけどな。これは俺の勘でしかないけど、あの秘書さんは絶対美人だな!そうに違いない!


 俺も店を大きくできたら秘書欲しいなぁ……。それでオフィスラブとか憧れちゃう所もあるな。だって男の子だもん。


 でもなぁ。現在のメンツで秘書が出来そうなのって……。


 チラッと後方を見るユキナリ。そこには他国の重鎮に対してズバズバと切り込んでいくユキナリに驚いた顔のタンポポの姿があった。


 このちびっ娘しかいないんだよなぁ。外見的にはシャナが相応しいんだけど、あの娘も結構脳筋だから厳しいし、ミールはこっちもお守をしないといけないから負担が減らないしな。はぁ、ナイスバディの色気のある秘書が欲しい……。


 もう一度タンポポを見てため息を吐いたユキナリに、詳細は分からないが何だか馬鹿にされた気がしたタンポポの目が鋭くなったのを前に向き直ったユキナリは気づかなかった。


 そうこうしているうちに秘書からの説明を理解したのか(長いな……)振り返ったキャノーラ大将軍が口を開いた。


そうですね(・・・・・・)、こちらも秘密を抱えたままというのもフェアではありませんわね(・・・・・・)。それでは投資は諦めますので、融資というもののお話しを伺ってもよろしいでしょうか(・・・・・・)?」


 一字一句秘書から言われた事をそのまま喋りやがった。やっぱアホだ、この男。




ご覧いただきまして有難うございます。


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