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ノーマネー・ノーライフ  作者: ごまだんご
3章 新たな力と幼い?天才達
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神との同居生活 1

宜しくお願いします



 期待させるだけさせといて「無理!」とかほざきやがった最高神を思わず殴ろうとした所をアル姉さんに止められているユキナリ。自分から転生したいか?と聞いてきたのはあんただろうが!と怒りを露わにしている。


 とはいえ、流石に最高神の爺さんは慌てる事もなくどっしりと座ったままであったが……。


 その後、なんとか落ち着いたユキナリ(アル姉さんが頭をゆっくり撫でていくと興奮が収まって行った。少年時代からの刷り込みの効果である。)が最高神に問いただした事で判明した事が。


 ・【アリエント】に戻ることは可能である。

 ・しかし、今すぐには無理である。

 ・別の世界に転生するのならば直ぐに出来るとのこと。

 ・アリエントに再転生する際は、元の死体を再構成して生まれ変わる必要がある。

 ・現在、ユキナリの死体は証拠品として警邏組織によって保管されており、直ぐに転生する事は新たな問題を呼ぶ危険性が高い。

 ・その為、誰の監視も管理もされていない時でないと転生を認める訳にはいかないという事だったのだ。


 確かに、いきなり死体が生き返ったら誰だった驚く。アリエントにはファンタジーよろしく傷や疾病を癒す回復魔法なんかはあるのだが、ザオ○クとかフェニッ○スの羽みたいな所謂死者蘇生的な物は無いらしい。


 死者が蘇るのは、ゾンビやゴーストなんかの魔物としての復活しか無いらしく、しかも彼らは生者から非常に嫌われていた。


 そんな世界で蘇ったユキナリは、ほぼ間違いなく討伐体が組まれ抹殺されてしまうだろう。早くも3度目の人生が終わってしまう危険性が高いのだ。


 理由が分かったところで、新たな問題が発生した。


 確実にユキナリの死体が人目から離れるとすれば、埋葬された後の土の中だ。アリエントでは一部の国を除いて土葬が基本らしい。通常の家庭であれば手続きも含めて5日程で埋葬されるらしいが、事件の被害者として検分されてしまっているユキナリの死体は少なくとも半月、長ければ数か月の間保管されるらしい。


 魔法で腐らないように処理できる異世界ならではの荒業であった。


 つまり少なくとも半月の間は天界で暮らさなければならないという事だった。


 だったら何処に住むのか?家は空いているのか?生活費はどうする?


 ぐるぐる回転する思考にユキナリは目を回すのだった。






 

 結局の所、ユキナリはアルテミスの家に泊まることになった。予想通りの展開だなと思われた方々には申し訳ないが、笑顔で「ユウ君は私と一緒に住みましょうね?」と詰め寄ってくる彼女の勢いに押し込められてしまったユキナリを責めないで頂きたい。笑顔ではあったのだが、その目は鬼気迫る物があったのだから……。


 とはいえ、ユキナリとて昔大変お世話になったアルテミスの事を嫌っている訳はなく、特に異論もなかった。


「それじゃあアル姉さん、短い間ですが宜しくお願いします。」


 天界の洋品店で服や下着なんかの生活用品を買い集めて来た2人が彼女の家に入った後のユキナリのセリフである。神様が住まう天界だというのに喫茶店があったり、居酒屋があったり、スーパーマーケットがあったりと割と庶民的な世界であった。


「いらっしゃい、ユウ君。ゆっくりして行ってね。」


 迎え入れてくれたアル姉さんが嬉しそうに微笑んでくれていた。


「じゃあ5年くらいの間だけど、前みたいに楽しくやろうね?ユウ君。」


 アル姉さんに案内された部屋に買ってきた荷物を置いたユキナリは荷物の整理をし、アルテミスは夕飯の準備の為に台所に向かっていった。妙にルンルン気分で行ってしまったが大丈夫であろうか?


「神様が料理するってのも凄い事だけどな。」


 最後にタオル類をタンスにしまったら、フゥと一息着いた。


 何の因果か2度目の人生終わったと思ったら、懐かしきアル姉さんと再会。あれよあれよという間に姉さんの家に厄介になる事になってしまった。


「9年ぶりなのにアル姉さん変わってなかったなぁ。やっぱ神様だったからなのか、相変わらず可愛らしかったのは嬉しい事だけどさ。そんな姉さんと5年も同居かぁ……。」


 にへらぁと顔が緩むユキナリ。地球での爛れた生活を思い出しているのは明白だろう。


「あれ?5年?」


 ちょっと待て、整理してみよう。俺が転生する為にはアリエントの俺の死体が埋葬されるまで待たなければいけないんだけど、それが半月から数か月程掛かるらしい。その間の下宿先としてアル姉さんの家に厄介になる事になったはずだ。


 詰まり長くても数か月だけの間の話しのはずなのだが、アル姉さんはさっき何て言ってた?5年間とか言ってなかったか?あれ?


 分からない事は分かる人に聞くのが一番だな。


「アル姉さん、ちょっと聞きたいこと…が……。」


「ん?なにかな、ユウ君?」


 台所には、その可愛らしい童顔とは反比例するナイスバディをエプロンに包んだアル姉さんがいた。台所で料理するのにエプロンを着るのはおかしい事ではない。おかしいのはエプロンしか(・・・・・)着ていない事だろう。所謂【裸エプロン】という状態であった。


「な、なに?その恰好……。」


 驚いたユキナリが顔を赤くしながら聞くと。


「ユウ君、嫌い?」


 恥ずかしそうに逆に聞いてくるアル姉さん。隠そうとしているが隠しきれていない胸がチラチラ覗いている。


「大好きです!」


 返事など決まっているよねぇ。







 その後アル姉さんが作ってくれた(直視できないので服は着て貰った。)オムライスを2人で食べている時に、さっきの疑問をぶつけてみた。


「ああその事ね、時間の流れが違うからだよ。アリエントでの1か月は天界での5年くらいだからね。」


 何でも無いことの様にそう言うと、オムライスをパクリと口に入れる姉さん。


 予想外なお言葉に声を失ったユキナリであった。




ご覧いただきまして有難うございます。

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