神々の悪戯 2
宜しくお願いします
ユウガオにしてみれば、自身の経験から考え出された最も確実だと思われる結論だったのだが、数々の男を手の平で転がしてきたビッチのユウガオの自論を、男性経験のないアルテミスはどう思ったのか?
やりすぎてしまったと後から後悔するほど信じ込んでしまったのだ。
とはいえ、基本的に真面目なアルテミスはまずはお仕事としてユキナリを最悪な環境から救う為に匿う事にした。そこで彼女は悩んだ。中学生の少年を匿う事への理由ときっかけである。社会から見殺しにされている少年なのだから無理矢理掻っ攫っても問題はないかもしれないが、幾星霜という年月を生きてきた中での初めての春である。出来れば両者WINWINの関係が望ましい。
との考えから、アルテミスが作った設定が、
名前:猪狩 アルナ
年齢:31歳
職業:デザイン会社のOL
好きな物:年下の少年
趣味:美少年鑑賞
というショタコンのお姉さんであったのだ。
因みにユキナリ少年にアル姉さんを紹介した少女は、アルテミスによって手駒として動いており、現在は北海道の富豪の幼女となって幸せに暮らしていたりする。
そうしてユキナリとの愛の同居が始まり、3年間の愛と欲望の爛れた日々が過ぎて行った。この期間で完全にユキナリにべた惚れになってしまった彼女は、一時的な避難先のつもりであった同居生活を続けて一生面倒を見るつもりになっていた。
しかしここで、彼女が作った設定が足を引っ張ることになった。
18歳になったユキナリは背も高くなり、顔も大人っぽくなっていき、ますます彼女好みに育っていったのは良かったのだが、この頃から彼の態度が何処か遠慮しているように感じられるようになった。彼は変わらず優しいのだが、ふと寂しそうな悩んだ顔を見せるのだ。
その関係の終わりは唐突に訪れた。ユキナリがアルテミスの元を離れて独り立ちすると宣言したのだ。身体が大きくなってショタ好きのアル姉さんの好みから外れてしまった自分がこのまま厄介になっているのは心苦しいと決心したのであった。
自ら作った設定のせいとはいえ、決心の固かったユキナリを引き留める事はできず、泣く泣く送り出すのであった。
それから9年後の再会であった。ユキナリは空白の時間を埋めるように彼女と別れてからの生活、転生した事、シャナやミールら大切な仲間ができたことなどを嬉しそうに語った。
昔と変わらない笑顔で話すユキナリにニッコリとほほ笑んで聴いているアルテミス。内心はキュンキュンときめいているのだが顔に出すようなへまはしなかった。
話しが盛り上がってしまい飲み物が無くなってしまったので、ウェイトレスさん(天界で働いている天使の女性であった。)を呼んで注文をする。ユキナリはアイスコーヒー、アルテミスは果汁100%リンゴジュースを注文した。
「ワシは生ビールジョッキで宜しくたのむぞい。」
いつの間にか4人掛けの席のユキナリの隣に座っていた最高神がちゃっかり注文を入れていた。
「すまんかったね、ユキナリ君。アリエントの次元を管理している若造を問いただしたら嘘の報告をしていたと白状しおったわい。」
運ばれてきた生ジョッキを一気にあおると最高神が頭を下げた。
「それでどうじゃろうか?次に転生する先は別の次元にしてみんか?【ゼファーニア】や【鋼迅】なんかはオススメらしいぞ、管理組合の肝いりじゃから安心じゃよ。」
どうやら配下の怠慢の責任を感じて、最高神自ら安全な世界を調べてきてくれたようである。有難い話しであったがユキナリは別の世界に行くつもりはなかった。
短い間でかなりの悲惨な目にあったアリエントの世界であったが、そこで知り合った大切な仲間。シャナにミール、ついでにテツ君との友情も深めていきたいしな。
「だから俺はまたアリエントに戻りたいです。置いてけぼりにしてしまったシャナ達が心配なのでスグに戻してもらえませんか?」
熱い気持ちを込めた言葉をぶつけて、最高神と睨み合うように見つめ合う。
ユキナリの熱意が伝わったのか、最高神は残っていたビールを飲み干すと「ふぅ。」と一息着いて、こう言い放った。
「無理じゃ!」
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