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ノーマネー・ノーライフ  作者: ごまだんご
2章 新たな仲間と安住?の都市
26/66

同郷者との出会い

宜しくお願いします。



「いやぁ、まさか異世界に転生してから有名人に会えるなんて思っていませんでした。」


 執務室といった感じの部屋の中で、ソファのような柔らかい椅子に腰かけたユキナリは、対面に座っている女性に笑顔で話しかけた。


「いえいえそんな。私の方も同郷のかたと出会えて嬉しく思いますわ。」


 女性が微笑んで返答すると、護衛の為に出入り口に立っている屈強な男達がだらしのない顔になる。まぁ、職務中としてはどうかとも思うが、男としては理解できる。目の前にいる女性は美女、いや絶世の美女と言っていいほどの美しい女性なのだから。


「むぅ、ご主人様ったら…………。」


 俺の護衛の為に付いてきたものの、椅子に座れない為背後にて警戒していたシャナからボソリと何か聞こえた。いやいや別に見とれている訳じゃないよ、美少女のシャナや、外見的には美幼女のミールの魅力とはまた違ったお色気タイプの美人だから、ちょっと目がいっちゃっただけだって。


「うふふ、仲がよろしいのですね。」


 シャナとのやり取りを気付かれていた。恥ずかしい。


「うふふ、それではそろそろ本題に入りましょうか?この都市で商売をやりたいとのことですが?」


 先ほどまでのほがらかな笑みがなりを潜め、相手の本質を見極めるような支配者の目となった女性。美しいロングの金髪に、頭部にはピコピコと動く狐のような三角形の獣耳。そしてお尻のあたりから生えている九本のフサフサの尻尾。【九尾族】、または【フォックステイル族】と呼ばれる策謀、知能の長けた部族の女性の本性が現れた。


「そうなんですよ、住居と店舗のほうはもうすぐ完成しますので、都市での最大の実力者であるあなたの許可を頂ければスムーズに営業できると思いまして。許可してはいただけないでしょうか?妲己さん。それとも玉藻の前さんのほうがいいですか?」


 対するユキナリも人当りの笑顔を浮かべてはいるが、目だけは笑っておらず女性との睨み合いにも一歩も引いていなかった。


「うふふ、こちらの世界では【ユウガオ】と名乗っていますので、どうぞそう呼んでくださいな。まずは詳細をお聞きしましょうか。」


「ええ、勿論です。我々が始める商売は…………。」


 この後は、ユキナリの怒涛の説得ラッシュがしばらく続くので、少し時間を巻き戻してみましょう。ユキナリ一行が自由都市フリーランドに到着した時のことを。









「意外とあっさり入れましたね。」


 領地全てが1つの都市として扱われているフリーランドには城壁や入場門などの街と外を区切る壁がない。他国との国境に砦と防御壁がある位なので、一度国境を超えると行動を止める機関が存在しないのだ。


 ユキナリ達は、オーバレイド王国との国境から入国したのだが、砦に詰めていた【ワーベア族】の男から、都市での目的などを2、3個質問されただけであっさり通してくれた。防衛は大丈夫なのか?この自由都市は?


 砦を抜けたユキナリ達だが、目の前に広がるのは鉱山と数件の家々。丘の上から見えた中心街はもっと先にあるようだった。


「フリーランドでは、領地全てが都市なのです。中心の工房などが多い地域で暮らす職人さんもいますし、西の牧草地帯で飼育や農業をやっている人や、ここみたいな鉱山地帯で住み込みで発掘作業をする人もいます。みなさん、自分にあった地域に住んで生活と仕事を両立しているのです。」


 ミールの説明に素晴らしい合理性を感じる。仕事場までの移動距離が短ければ、それだけ仕事に使える時間は増えるし効率的だ。現代日本でも見習ってくれればいいものを。


「ご主人様、我等はどのような仕事をなさいますか?それによって住む場所も変わってくると思うのですが?」


 うーん、そうだな。正直【無限黄金郷】があるから働かなくても大丈夫なんだけど、俺はまったりとした生活をこの世界でしていきたいから自由都市に来たんだし、周りから注目集めたくないし、なんか仕事しないといけないんだよなぁ。


「取りあえず中心街に行ってみようか。まずはこの街の細かいルールを知らないと働くのも難しいし。」


 俺は資金、シャナは武力、ミールは生産と出来ることは多いし、何か独自性の高い仕事ってないかなぁ?


 一同はフリーランドの中心街へと歩を進めた。






 ユキナリ達が素通りした鉱山地帯。体力や力に優れたマッチョマン達が働く地域である。


「おう、お疲れ。流石は力持ちの種族だ。邪魔な大岩をあんなに楽々運んでくれて助かったよ。」


「よければこのままうちで働かねぇかい?給料は安いが飯と寝床は用意できるぜ!」


 屈強な男達から声を掛けられている大柄な褐色の肌の男は首を横に振ると、お辞儀をしてから、手伝いの報酬の入った革袋を背負って鉱山を出て行った。


「あーあ、スカウト失敗か。戦力として申し分ないんだけどな。」


「仕方ないだろう。あいつは西の農業地区のエースだからな。向こうだって手放さないさ。」


 男達は、大柄な男が出て行った先を見ながらため息を漏らすのであった。





ご覧いただきまして有難うございます。



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