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ノーマネー・ノーライフ  作者: ごまだんご
2章 新たな仲間と安住?の都市
21/66

疾風姫

宜しくお願いします。

少しだけグロいシーンがあります



 ほいっと。


 いざ、魔剣を握ったユキナリと、襲いかかる8人の盗賊の戦いの火蓋が切って落とされ、盗賊の中で1番小柄な男がユキナリに近づいてショートソードを振り下ろそうとした時だった。


 ユキナリが握っていた魔剣、風薙ぎの剣を投げたのだ。盗賊に向かって、それはもう思いっきり。


 ショートソードを振りかぶっていた小柄な盗賊は突如飛んできた鋭利な刃物に驚いて尻餅を着いてギリギリ当たらなかった。後続の盗賊達も驚いてはいたが、何とか回避に成功していた。


 一か八かの奇襲が失敗に終わったユキナリは丸腰になってしまった為、1度はビビっていた盗賊達も息を吹き返し、ユキナリに鋭い眼光を向けようとした。あぁん?舐めてんじゃねぇぞ、と。


 しかし、盗賊達が睨んだ先、小柄な盗賊が尻餅を付いているあたりにはユキナリも彼に引っ付いているミールも居らず、姿を消していた。


「くそ、どこに行きやがった。あのガキゃあ」


「ここにいるぞー!」


 盗賊の問いに伏兵のごとく答えた俺がいるのは、盗賊達の真後ろだった。腕の中にはポカンとした表情のミールが抱えられていて、隣には我が軍最強の戦士であるシャナが仁王立ちしている。魔剣を握って。


「我が(あるじ)を愚弄するとは、貴様等死して償え!烈風閃!!」


 シャナがなんか中二くさい技名と共に魔剣を振ると、剣先から竜巻が飛び出し、1番後ろにいた太った盗賊を一瞬でひき肉へと変えた。


「まだまだ!疾風閃!!連撃!!」


 今度はかまいたちのような風の刃が2本飛んでいき、2人の盗賊の上半身と下半身を永遠にお別れさせていた。


 あっという間にシャナによる惨殺劇は終了し、リーダーも盗賊以外の7人は既に息絶えており、残った1人も片足を切断され、治療してあるが逃げられなくしてある。


「くそっ!最初に武器を投げたのは、攻撃の為じゃなくて後ろにいた悪魔に渡す為だったのか……。」


 盗賊が苦々しそうに言うが、正しくその通りだ。まともにやったって俺が勝てるわけがないのだから、最初からシャナに頼るしかないのだ。不味い事に盗賊達が現れた時にシャナは俺から少し離れた所にいたので最初から頼るわけにはいかなかったのだ。盗賊の実力が未知数だった為、最初から攻防に優れた風薙ぎの剣を渡してやりたかったというのもあるが。


 俺のパフォーマンスで盗賊達の意識を俺だけに向けさせたら、攻撃の振りをして魔剣を、奴等の後ろにまわっていたシャナに投げれば俺の役目は終了。投擲された魔剣に驚いている奴等の不意を突いて、闇駆けのスパイクでミールを抱えてグルっと半周まわったら終わりだ。


 後は、シャナが無双してはい終了。って感じだな。


 盗賊を撃退(抹殺)したユキナリ達は、血の匂いが充満してしまっていたキャンプ地から離れて近くの小川へとやってきていた。ミールが、ユキナリ達に会う前に見つけた場所で、水の補給もできるし、そろそろ水浴びもしたいと思っていたので丁度良かったのだ。


 夕方になる頃には、3人は小川のほとりに辿り着き、今日の夜を明かすキャンプ地としたのだった。


 え?行動しているのは3人だけなら、盗賊のリーダーはどうしたのかって?戦闘場所に置いてきたよ。何聞いても「俺は何も知らん」の1点張りだったから時間の無駄だったし。両手を縛って木に吊るして置いてきた。血の匂いが濃厚になっていたから狼なんかの魔物に食われてお終いだろ。自業自得だしな。


 順番に水浴びをして(決して覗いてなんかいないぞ。俺は紳士だしな。)食事をとったら(夕飯はシャナが川で獲った魚を焼いたものと山菜のパスタだ。最近肉ばっかりだったからヘルシーにしたのだが、肉食の2人のは物足りなかったようで、追加で肉を焼くはめになったけど。)日課の【無限黄金郷(エルドラド)】の時間である。


 ただ、今日に限ってはちょっとした問題があった。ミールに教えるかどうかである。


 シャナと違いユキナリの奴隷という訳でもないミールに、機密事項のアーツを教えてしまってもいいのか?シャナと2人で悩んでいたユキナリは、ひょっこりと顔を出したミールの一言に固まってしまった。


「ユキナリさん、【エルドラド】ってどんなアーツですか?」





ご覧いただきまして有難うございます。

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