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ノーマネー・ノーライフ  作者: ごまだんご
1章 荒んだ青年と安全?な世界
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ドキュメンタリー

拙い作品ですが、宜しくお願いします。

基本的に主人公視点で進みます。会話少なめなのは仕様です。勢いで書いていますので表現のおかしい部分など出てくるかもしれませんのでご注意下さい。

 最後に思い出される幸せだった光景は6歳のクリスマスだった。


 ケーキを食べて、クリスマスプレゼントに当時人気だった戦隊ヒーローのおもちゃを貰って父親とヒーローごっこをしていた。


 真面目で仕事熱心な父親はあまり遊んでくれる時間はなかったけど、俺の事を愛してくれていたと思う。


 そんな父親が亡くなったのは小学校の入学式を控えた翌年の3月だった。


 父親が務めていた医薬品メーカーの薬が原因での死亡事故が相次いで起こってしまった。直接の原因とは関係なかったのだが、真面目で融通のきかない父親は悪辣な上層部に責任を押し付けられ辞職に追いやられた。


 その日の夜電車に飛び込んで死んでしまった。



 父親が死ぬと、母親は遺産をかっさらって不倫相手の家に逃げてしまった。


 元々冷め切った夫婦間だったらしい。


 俺の不幸な人生の始まりはここからだったのだろう。


 遺産を持っていかれて無一文。煽る事しか弁がないマスコミや、関係ないのに非難する近所の住民のせいで大量殺人犯扱いされた父親の家は住めなくなった。


 親族も遺産もない俺を引き取ってくれるところなんてあるはずもなく、盥回しにされたあげく施設に押し込められた。


 ただ、認可なんかないクソな施設だったから毎日の虐待や重労働でここに預けられている子供は長生きできないであろう地獄だったけどな。


 施設も地獄だったが、学校はもっとひどかった。


 子供っていうのは残酷だ。弱者を無理矢理作り自分は有利に立とうとする。栄養不足で小さかった俺など恰好のイジメの標的だった。


 居場所がなくなった俺は次第に学校へ行かずに図書館に入り浸るようになった。なんといっても無料で本が読めるのだ。


 朝から晩まで図書館に籠り、夜は施設に戻って寝る繰り返し。昼食は食べれないが、2食でも大丈夫な身体になっていたようだ。


 小学校を卒業するころには近くの図書館の蔵書は全て読み終えてしまっていた。




 中学生の時、同い年の男の子が1人死んだ。


 虐待に耐えきれずに自殺したのだ。


 仲の良かった友達の死に、俺は恐怖した。このまま此処にいたら俺も死んでしまうと。もう1人の同い年の少女と一緒に施設を逃げ出した。


 逃げ出すことは出来たが、中学生の2人に生きていくための金を稼ぐ真っ当な手段はなかった。あるのは違法な手段だけだった。


 一緒に逃げ出した少女は、施設の裏稼業で売春をしていた。お得意様も何人かいるらしい。その中から俺にも仕事を宛がってもらった。


 30過ぎのショタコンの女性の相手だった。小柄で童顔だった俺はどストライクだったらしい。そのまま一夜どころか3日も相手をさせられてしまった。


 初めて見るほどの大金(とはいえ3万円ほどだ。)を手に少女との落ち合い場所に行くと少女は既に待っていた。俺は食糧を買いに行ってくるという彼女にお金を預けて待っていた。


 結局彼女は戻って来なかった。裏切られたのか捕まったのか分からないが、またしても無一文で一人になってしまった。


 金がなければ生きていけない日本という国にあって、俺に取れる手段は一つしかなかった。


 俺は今朝まで相手をしていたショタコン姉さんに頭を下げ、養ってもらうことになった。毎日相手をしないといけないから大変だったが、衣食住に困らないこの時はマシだったと思う。


 ここでの3年間で体力と精力、テクニックを鍛える事ができた。ショタコン姉さんとの暮らしも楽しかったが唐突に終わりが来た。


 俺が成長してしまったのだ。18になって栄養状態が改善されたからかもしれないが、180cm近い身長に細身ながら筋肉がついた身体。ショタコン好きのお姉さんの趣味から外れてしまったのだ。情が移ったのかお姉さんは居てもいいと言ってくれたのだが、いつまでもお世話になりっぱなしじゃ悪いと辞退。最後に濃厚な夜の相手をしてから出ていった。


 お姉さんの家を出た後は、昼間は国立の大図書館に入り浸り、夜は警備などの仕事をして金を稼いだ。仕事に就けるようになって金を稼げる事で苦しいながらもなんとか生きていけるようになっていた。


 22歳の時、初めて彼女ができた。お金持ちのお嬢様だったが気さくで優しい彼女とは両想いだった。順調にいっていると思っていた。だが、俺の不幸体質は突如として牙を剥いてきたのだ。


 彼女との仲は良好だったのだが、実家のほうとは折り合いが悪かった。俺の過去の素性まで調べ上げた事で、彼女にはふさわしくないと認めなかった。2人が別れる気はないと言っても耳をかさず、挙句の果てには俺を強姦犯に仕立て上げて刑務所にぶち込みやがった。


 はらわたが煮えくり返るような怒りを覚えたが、彼女がいつまでも待ちますと言ってくれこまめに手紙をくれることが救いだった。


 27歳の時、模範囚としての釈放を翌日に控えた日の夕食を食べている時に俺は死んだ。俺の食事に青酸カリが混入していたらしい。


 俺は、獄中での病死という扱いで、この腐った世の中から退場となってしまったのだった。



宜しくお願いします。

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