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第6話 志姫、BL神に感謝の祈りを捧げる。

本日2度目の投稿です。

短い話なのでさくっと読んでください。

 大自然の中、心地よい風に吹かれながら私はまどろんでいた。


 すっかり日が昇っているのであろう。まぶしい光を浴びながらも私は睡眠という欲求から逃れられないでいた。


 ふと、私のにおいをかいでる動物のような気配がする。放っておいたらぺろぺろなめたり甘がみまでして私を起こそうとしているようだ。だが、私は今は眠い、眠いのだ。強引にその動物らしきものを抱きかかえて、もふもふとした感触に気をよくしながらまた深い眠りに落ちていった。



 目が覚めると、そこには銀色の世界があった。


 寝ぼけ眼をこすると、それはどうやら動物の毛のようで、私はその動物らしきものを抱きかかえて寝ていたようだ。


 拘束を解いた私は起きあがり、その動物をよく観察してみると、銀色の毛並みの大型犬のようだ。ん?もしかしてこれは狼なのだろうか。衰弱していたのか、既に事切れていた。


 

 事切れる前に最期の時を聖女である私の元で迎えようとしていたのであろうか。動物の中にも信心深いものがいたものである。私がその信心深き狼の処分について悩んでいると、背後から大きな声が聞こえてきた。


「危ないから離れなさい、そいつは危険なモンスターよ!」


 思わず振り返ってみると、そこには年の頃は私より少し年下であろうか? と思われる少女が立っていた。 いかにも魔女と言った感じの紫のとんがり帽子に野暮ったい引きずるほどに長い灰色のマント、服装に関してはマントに隠れていてよく分からなかった。老婆の魔女の格好をしたコスプレだろうか。


「いや、問題ない。この信仰厚き狼はすでに事切れているよ。」


「な、なんですって・・・ひょっとして、貴方がそのシルバーウルフを退治したの!?」


「いや、この狼は衰弱して己の死期を悟り、最期は聖職者である私の元を訪れ、そのまま眠りについたんだよ。」


「でも、衰弱してるにしては毛並みがつやつやしてるし、首とか変な方向に曲がってるけど?」


「ああ、きっと骨が衰弱してたのかな。」


「そんなわけあるかーーーーー!!」


 何となくそんな気がしてはいたが、どうやら寝ぼけて襲ってきたこのシルバーウルフとやらを絞め殺してしまったらしい。この力だと寝るとき一人じゃないと絶対にまずそうだ。それはともかく、この少女はいい。ユリアと同じツッコミ系のにおいがする。ここはあれだな。


「まあ、どのみち危険なモンスターでもすでに死んでいるなら問題なかろう。君も一杯どうだい? 私の故郷特産の泡の出る飲み物だよ。」


「へえ、そんな珍しい飲み物なんかあるのね。いただくわ。」


 さあ、Bitchに対する反応やいかに!? 様子をみていると、一口飲んだあと初めて飲む炭酸の刺激に驚きつつも、そのまま最後まで飲み干してしまった。


「冷たい、シュワシュワする!」


「ほう、この飲み物の味が分かるのか、君はなかなか素晴らしいではないか。」


「ふっふ~ん、わたし位の優秀なマジシャンだと味覚もキレッキレなにょ。」


「噛んだか。」


「噛んでないわ。」


「まあいいか、これで君もこの飲み物の愛好家ということでいいかな?」


「ええ、いいわよ。それでこれってなんて名前なの?」


「Bitchだ。これで君もBitch愛好家だ。」


「なんてもの飲ませてるのよ!!」


 少女は渡したコップを思いっきり地面にたたきつけた。



 自分で言ってたとおり、キレッキレの少女は落ち着くまで30分の時を要した。やはりユリアレベルはありそうだな。


「ふう、落ち着いたところで自己紹介といこうではないか。私の名前は志姫、遺跡巡りをしている旅の神官さ。」


「はぁ・・・私の名前はユミール。ユミール=ディ=パリィよ。」


「長い名前だね、君は貴族か何かかい?」


「ええ、まあ私はよくある継承権のない末っ子だから食い扶持を自分で稼ぐために冒険者になってるんだけどね。」


 話によれば、ユミールはこの近くにある街から依頼を受けてこのシルバーウルフを退治しに来たらしい。このとっても動きにくそうなマント着けてソロでモンスター討伐とか良くできるものである。もしかしてとっても高レベルなんだろうか?


「一人でこれを退治しにくるなんてユミールはひょっとしてとってもLv高いのかい?」


「ふっふ~ん、単体の地を這う魔物なんて私の敵じゃないわ。泥沼で足を止めての雷魔法のコンボに隙なんて無いわ!」


「あ~、うん。泥沼ってクァグマイアだよね。あれで泥にまみれた状態だと雷系の魔法は通りが悪くなったと思うんだけど。」


「え!?ほんとに? じゃあ今までわたしの雷魔法の威力が人より劣ってるような気がしたのって・・・」


「魔法のコンボの相性だろうね。」


「ぎゃあああああああああっ」


 とっても良いリアクションをしてくれる子だ。ここで休ませてはいけない。もっと追い込まなければ。ラッシュラッシュ!


「ちなみに、クァグマイアとの相性なら火炎系、雷系を効果的にするなら氷結魔法での足止めからのコンボが有効だね。」


「火炎系も水系魔法も取ってないわよ!」


「大丈夫。人生なんていくらでもやり直せるさ。諦めることはない。」


「Nooooooooooooo!!」



 ああ、BL神よ、今日のこの素晴らしき出会いに感謝します。




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