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第4話 志姫、火吹き聖女になる!と第2の覚醒の2本立てでお送りします

本日2回目の投稿です。

気が向きましたら感想をもらえるとモチベーションに直結しそうです。

 深夜、鬱蒼と生い茂る森林の中、男達と一人の少女の声がこだまする。


「うおおおお、すげえ、ドワーフ愛用の火酒を一気飲みしやがった!」


「いやザック、飲みっぷりより用意してくれたこのつまみだ、これうめえ、塩っ気が利いてるぞ!」


「・・・・・・・」


『さすがです、姐さん!』


「う゛ぉおおおおおおおおおおおっ」


 最後のが私である。戦闘の後、意気投合した私たちはザックをリーダーとするこの集団(そういえば彼らが何者か聞いてなかった気がするが、まあいいか。)に、ねぐらとしている場所に案内され、こうして酒宴を開いているところだ。


 差し出されたお酒を飲み対抗して一気飲みした男が一人早々に酔いつぶれたり、お返しに期間限定イベントで買い込んだけどその後数年たっても使い道が無かった清めの塩でおつまみを用意し、酒宴に割り込む無粋なはぐれゾンビにたき火から火を拝借し、口に含んだ火酒を噴霧しつつ火をかざすことにより火吹き聖女となった私がゾンビを焼き尽くす光景を見て男達がさらに歓声を上げ、かなりカオスな状況である。


 どうやら私はアルコールの耐性がかなり強いようで、全く酔っぱらっていない。火吹き聖女となったのはただの芸人根性である。この世界の人類とのファーストコンタクトに成功した私は、この機会に情報の収集につとめることにする。


「ところで聞きたいことがあるんだが、ラーメンとかカレーって聞いたことがあるかい?」


「ラーメンですかい?山降りて街道沿いになんかした街のラーメン屋はオークの骨砕いて煮込んだ絶品スープのラーメンが食える店ありやすぜ。カレーってのはあっしはしりやせん。」


「カレーってあれだろ、辛かったりいろんな味が混ざってるやつ。王都で聞いたことあるな。」


 おお、どうやら両方ともあるようだ、しかもラーメンは豚骨っぽいものらしい。博多出身の私としてははずせないものがあることに安堵した。これで私はこの世界で生きていける。


「そうかそうか。私は聖地巡礼というか、各地の都市遺跡を巡っているところでね。旅先で故郷と同じ食べ物があるとほっとするものだよ。」


「なるほど・・・プリライトの遺跡にわざわざ来たってことは巡礼中の神官かと思ってたんですが、やっぱりそうでしたか。」


 ザックと呼ばれたリーダー格のおっさんが訳知り顔で頷く。彼の話によると彼らは冒険者ギルドから依頼されたパーティーのようで、遺跡荒らしの討伐や巡礼中の神官の驚異を減らすためのモンスターの討伐を期間限定で請け負っているらしい。


 まれに高位の神官の護衛をして遺跡まで案内することはあるが、基本は危険なモンスターの間引きだけで後は修行名目の放置とのことだ。一度滅びかけて再興した人類だ、さすがに聖職者でもたくましい。


「モンスターは遺跡の中にまで現れるのかい?」


「いえ、昔この都市が滅んだときは魔物であふれかえっていたそうですが、今は一度討伐し尽くした後結界を張り直したそうで遺跡の中にはいませんね。」


「そうか、それを聞いて安心した。やはり聖地に魔物がいるのは嫌なものだからね。」


 うんうんと同意する男達を後目にしつつ、思案する。モンスターがいないなら転職石まではすぐにたどり着けるであろうから、明日の午前中にはアコライトの位階を解放できそうだ。彼らがねぐらにしている家は、ここも冒険者の居住地として結界が張られているようなので、安心して休ませてもらうことにした。



 翌日、名残惜しそうにしていた男達と別れー案内をしたがっていたが修行名目で断って置いたー遺跡めがけて出発する。一晩たってモンスターとの戦闘にも慣れてきた私はさほど苦労もなく遺跡にたどり着くことが出来た。最初の戦闘が動きののろいアンデッドだったのは良かったかもしれないな。


 遺跡に入って町並みを見渡すと、空中都市ジーズと同じく朽ちてはいるが見覚えのある風景だった。ザックの言ったとおり、モンスターはいなさそうなので記憶をたどって転職石の設置してある場所に向かう。


 目的地の神殿までたどり着いた私は、早速中に入り転職石の置いてある隠し部屋の入り口を開ける。ゲーム中はながながと説法を聞かされた後でなければ部屋の入り口が開かず、辟易としたものだ。


 どうやら隠し部屋は人の出入りが全くなかったようで埃がひどかった。遺跡とは言え転職石の周りがここまでひどいと罰当たりに感じてしまうので、転職前に掃除をすることにする。モンスターテイムアイテムのこのほうきが使えるだろうか、うん、普通に使えた。


 掃除好きの私はつい夢中になって3時間もかけて掃除を終わらせ、何が起こるか分からないので念のために隠し扉を閉め、備え付けの魔力を流して明かりをともす魔力灯で部屋を明るくした後、転職石に触れる。その瞬間、ユリアが行った接続・統合の儀と同じような現象が起こり、やはり私は気絶してしまった。



 目を覚ましたとき、部屋の魔力灯はついたままであった。あれは確か一度魔力を注いだら6時間は保つので、それほど長時間経過したわけではないようだ。こんな場所でまた千年も気絶してたらさすがに死んでいたであろう。


 安堵しつつ、全身に強烈な違和感を感じて驚いた。何これ、私の体ではないみたいだ。位階を重ねたと言ったところでここまで大きく変わるものなのであろうか?私は慌ててステータスをチェックしてみることに。


名前:志姫

種族:人族

クラス:アコライト

クラス・位階:マーチャント アコライトx15

Lv:54

HP:988(+879+14820) 装備補正+800

MP:492(+169+7380) 装備補正+400

Str:10+1(+53+150)

Agi:10+1(+52+150)

Vit:10+2(+4+150)

Int:76+1(+2+1140)

Dex:10+1(+23+150)

Luk:1+2(+2+15)


装備・武器

非破壊の鋼鉄製サーベルオブクイッケン

装備・防具

非破壊のミスリル製ブレストプレート

ビギナーズリング(Lv59以下に限りHP+400、MP+200)

ビギナーズリング(Lv59以下に限りHP+400、MP+200)

非破壊のオーガ製レザーブーツ

装備・衣装

アコライト基本僧服


スキル

固有スキル:聖女の光

旅人スキル:方向感覚Lv10(Ex1) 生存術Lv10(Ex1) 応急手当Lv2(Ex1) 素材はぎ取りLv10(Ex1) 野外調理Lv6(Ex1) 騎乗Lv10(Ex1)

アコライトスキル:スタミナトランスファーLv11(Ex10) 小ヒールLv138(Ex15) クリエイトフードLv11(Ex10) ブレッシングLv160(Ex15) ウィンドウォークLv160(Ex15) ホーリーライトLv127(Ex13) キュアーポイズンLv10(Ex10) 聖水作成Lv10(Ex10)

マーチャントスキル:所持重量限界値上昇Lv10 アイテムボックスLv10 売買交渉Lv10 露店開設許可Lv9

ヴィエル教スキル:コーリングゴッドLv1



 なんだこれは。


 位階による補正が尋常ではなくあがっている。よく見るとクラス・位階の欄がアコライトx10となっている。位階を10回重ねたと言うことだろうか? よもやの事態に呆然とし、やがて一つの可能性に思い当たる。



 私こと志姫は終末郷オンラインの廃ゲーマーだ。


 βテストには参加してこそいなかったがほぼ初期からのメンバーでプレイ時間も結構取っていたにもかかわらず、Lvをカンストしたキャラクターを持っていない理由。それは、私一人で5アカウント60キャラ+倉庫用アカウント2キャラを育てていたからである。


 もともと製造支援系の環境を一人で整えようとしてPC5台用意し、それぞれのアカウントに目的のキャラを作成。1つのアカウントに12キャラ作成できるため、あまったキャラクタースロットに適当にキャラを作成して育成しているうちに器用貧乏というか、万遍なく育ってしまった。とはいえ、そこは廃ゲーマーの私。60キャラ全部が3次職まで育てているため、カンストこそしていないものの全キャラのLvは100を越えていた。


 どうやらユリアのしたことは全アカウントの全キャラを取り込んでいたようで、アコライトから派生する職業全ての位階が重なってしまったようだ。1次職のアコライトだけでこの数値の上昇って、他の職業までやってしまったとんでもないことになりそうなんだけど。


 ステータスの位階の補正値がよくわからなかったが、どうやらすでに上級職まで育てていた分に関してはとりあえず一つの位階を重ねるたびに倍にしていくようだ。とりあえずというのは、マーチャントの位階は元のキャラの数値をそのまま上乗せしていたからだ。



 あまりにあまりな現実にショックを受けたが基本脳天気な私はすぐ立ち直り、能力の検証をしていくことに決めた。ステータスはゲーム時代で上限がJOBLvによる補正値無しで120まで、INT以外は人の限界を少し超えた程度。


 まだだ、まだ慌てるような段階ではない。




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