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閑話その2 ユミール編、わたしの相棒は凶暴です後編

本日2話目です。

次回から第二章にはいります。


評価ありがとうございます。

励みにしてがんばります!

 今回の件の報酬を受け取りにギルドに顔を出したら、わたしたち全員、アカデミーから呼び出しがかかっていた。志姫のおまけなんだろうけど、連帯責任という言葉が頭に浮かんでくる。


 とはいえ、年少組と違ってわたしはアカデミーには通ったことがない。なのでほかのみんなよりはテンションが高かったわ。



 とりあえず、アカデミー長からの報告は問題がある物ではなかった。それどころか、わたしにはいいことづくしだった。みんな揃ってDランク、アカデミーの施設利用許可、年少組の卒業資格取得でパーティー組んでの長期依頼が受けれることになった等々。


 途中、志姫がわたしにこのパーティーのリーダーを押しつけようとしていたけど、冗談じゃない。錯乱するほどに拒絶してしまったわ。



 アカデミー長の話よりも志姫の話の方がはるかに衝撃的だった。


 志姫はわたしたちを強化していくつもりだったらしい。アカデミー長との会話なんてもう耳に入らない、年少組も同じなようで、自分の世界に入っている。アコライトなのにポータルを使ったり基本スペックからしてわたしたちとは大きく違ったりと、どこまでわたしは強くなれるんだろう? うふっ、うふふふふふ・・・


 気がついたらポータルに放り込まれて家に帰ってきていたわ。



 たまり場に帰ってからはみんな志姫に質問攻め、もちろんわたしもである。でも、あまり教えてはくれなかった。現時点ではギルドやアカデミーにも秘匿している情報を知ってしまいうかつに漏らしてしまったらわたしたちがどんな目に遭うか分からないから、と。うっかりとかこのわたしに限ってありえ・・・るわね。うん、ここはおとなしく言うことを聞いておきましょう。


 翌日、全員でアカデミーの資料室に行き情報収集を始める。志姫の強化の秘密は、古代の秘技にあるようだ。なにそれ、ロマンがひろがるわあ。


 志姫は地図を見てうんうんうなっていたけど、おおよそのメモをとって帰宅することに。



 帰宅後に志姫は早速説明に入った。強化するには


 1 強化するためには各地に散らばる古代の都市の遺跡に赴く必要があること


 2 みんな一度に強化される訳じゃなく、順番に強化する方向でいくこと


 3 強化というのは自分を大きく作り替えるために一度スキルレベルがリセットされてしまい、その後は自分の目指す方向性のスキルしか取れなくなること



 3が一度スキルレベルがリセットされるというデメリットに聞こえるけど、わたしのスキル構成から考えて、スキルの取り直しが出来るというのは魅力的だ。しかも、魔法系ならMPが大きくあがるとか。なにそれ、いいじゃないいいじゃない。それだけでも強化する価値大いにありよ!


 その後はだれから強化するのかもめにもめたわ。とはいえ、志姫が既にアカデミーの地図を見て旅のルートを決めていたようなのでそれに従うしかなかったんだけど。ティアミーご愁傷様。そしてわたしおめでとう、なんとわたしの強化予定地のポータルがあるとか。みんなダッシュで支度に行ったわ。



 わたしは遺跡という物をすっかりなめてたわ。


 なによこれ、空に浮かぶ都市ってすごい! 一瞬だけど自分の強化の事なんて頭から飛んでしまったわ。でも、その後絶望が待っていた。転送するための施設がこわれているとか。


 志姫は慌てることもなく遺跡の壁にヒールをかけた。なぜにヒール? とおもっていたら、遺跡が修復されていく!? 見たことのない現象にあごがはずれそうだった。



 志姫に案内されてたどり着いた場所はわたしの背丈ほどの石版が置いてある部屋だった。これからわたしを本物のマジシャンにするという。なにそれ、かっこいい!


 志姫の指示通りに石版に触れると、『転職条件を既に満たしています。クラス冒険者のスキルはリセットされますがマジシャンに転職しますか?』と脳内に響いてきた。驚きはしたけど、本物のマジシャン、本物の響きには勝てるはずがない。もちろんすぐにOKした。


 時間にしてすぐ、体が光ったと思ったらものすごくだるくなった。志姫が言うには自分のHPやMPが上がりすぎて今までの最大値が転職後は消耗している状態になってるという。小ヒールをかけてもらったら、すぐに実感できた。うわ、なにこのあふれる生命力。病気の人が一瞬で全快したかのような感じ。これが強化・・・!


 志姫に言われるがままギルドカードを見てみたら、HPが倍以上、MPに至っては4倍以上に跳ね上がっていた。そしてそして、表示されているクラスは冒険者ではなくてマジシャンに。これが本物のマジシャン! 年少組もわたしの様子を見て自分の強化を夢見てるんだろう。帰宅してからも興奮しっぱなしだ。



 帰宅後すぐに志姫を引っ張って魔物狩りに出かけた。最初魔法が使えなくてどうやってレベル上げしようと悩んでいたけど、志姫が切れ味がいい短剣を持っていると言うからそれを借りて戦うことにした。


「これがパワーレベリングと言うものだね。」


 志姫はそう言いつつ、キラーマンティスとがっぷり絡みついて動きを封じていた。わたしはその無防備な頭を切り落としていくだけの作業を繰り返してどんどんスキルポイントを入手したわ。わたしの力でこれだけすぱすぱ切れるこの短剣、いったいどれだけの価値があるんだろう・・・?



 今回はスキル構成を失敗しないぞ!


 師匠が水系統の魔法を得意としていたので、わたしは火で攻めてみることにした。クァグマイアはわたしのお気に入りだし、相性のいい火を取るのはまあ、当然ね。


 ショックな出来事が。クァグマイアは覚えることが出来ない!? あれは上位のスキルで、マジシャンの上位クラスのウィッチにならないと覚えることが出来ないと言う。


 衝撃に固まるわたしに志姫が説明してくる。上位のクラスにつくとクラスレベルが1にリセットされるが、マジシャンの時に取得したスキルはそのまま使えるという。レベル1に下がると言うことはスキルポイントの取得速度も早いと言うこと。最終的には冒険者なんかよりも遙かにたくさんのスキルを得ることが出来ると言われ、舞い上がってしまった。


 上位職のウィッチになるにはある程度クラスレベルをあげて別の石版に触れるとなれるそうだけど、どうせならめいっぱいスキルを取っておきたい。その時まで修行だ!


 帰宅後、年少組に今日のことを話したらすごくうらやましがられた。ふふふんっ今のわたしは人生の絶頂期よ。当分は希望しか見えてこないわ!



 翌日、目の前には絶望があった。


 まいどまいどわたしに遭うたびに求婚してくるバカ貴公子ことマッシュが現れ、わたしたちの旅を妨害するかのようなことを言い出してきた。志姫に頼んで逃げてもらったけど、いつものバカをやっていたらすぐに追いつかれてしまった。ああああ、志姫はマッシュに関しての説明を聞いた後爆笑しすぎて身動きが取れなくなっているし、どうしようどうしよう。


 その後復活した志姫にわらにもすがる思いで全てを任せることにしたけど、そこはさすがの志姫。勝負して勝てば二度とマッシュが関わってこない、負けたら結婚することに。


 ・・・結婚? だれが? わたしとマッシュ・・・!? ぎゃあああああああああああああああああああああああっ


 止めるまもなく決闘が開始された。対戦相手は・・・トロール、しかも3M級! 決闘場は阿鼻叫喚になってるし、どうすんのよこれ!?



 結論から言うと、志姫は圧倒的だった。


 あのトロールの攻撃を無防備に受けても平然として、逆にトロールの方がダメージを受ける始末。しかも無造作に手足をへし折って火壁の魔法で焼き尽くしてしまった。・・・火壁って、なんであんたが使えるのよ!! しかもわたしよりも遙かに威力が高い。おおのおおおれえええええ!!


 志姫に聞いたら装備している派手なエフェクトの出る杖の固有能力という。魔石を消費するため連発は出来ないとか言って杖からはずした魔石を握りつぶして粉にしていたけど、すぐ近くにいたわたしにはごりごりと嫌な音が聞こえていた。ま、まあ、とりあえず納得はしておきましょう。



 バカ貴公子はやっぱりバカだった。


 志姫の策略にはまって魔法契約にサインを入れたにもかかわらず、因縁をつけようとしてダメージを受けていた。しかも懲りる様子がないみたいで使用人に無理矢理連れて行かれてしまった。


 ・・・もし、志姫がこれやってくれなかったらいつまでもどこまでもバカ貴公子が迫ってきていたという事実に背筋が凍り付いた。し、志姫に全てまかせておいてほんっとうによかった・・・・!



 このふかしやろうどうしてくれようか!


 あれだけ大勢の前で堂々とうそをついた志姫に文句を言ってはみたが、志姫が言うには、今志姫のもつ情報をうかつに流して安全の確認も取れていない遺跡に人が押し寄せて無駄に人死にを出させるわけにはいかない、と。


 そのために、志姫は旅をして遺跡にある石版の周辺の調査と安全確認をとり、ポータルの確保。最終的にはアカデミー長に話を最初に持ちかけて転職方法を周囲に広めていくつもりなのだと。


 そんなこと言われたら何も言えないじゃない。でも、それならそうともっと早く言っておいたほしかったと拗ねていたら、ライテックにいる間は誰に聞かれるか分からないから、旅に出た後すぐに話すつもりだったという。うぐぐぐぐぐっ


 位階についてはもう諦めたわ。上位職の更に上にある最上位職を極めてようやくなれるとか言われても、ムリに決まってるし。そう思っていたら、志姫が「いや、いずれ君達にも位階を重ねてもらうつもりだよ」と言われた。


 特定の行動を起こすんじゃなくてひたすらレベル上げをさせられると言うことだ。みんなの冷や汗が止まらない。


 それでも、この時代の先駆者になれるといわれて悪い気がするはずもなく、次の目的地、砂漠越えの準備を進めることにした。



 わたしのため


 年少組のため


 親友の旅の目的のため


 修行でも砂漠越えでもやってやろうじゃない!!



 

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