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これはこれで、まぁいいか

掲載日:2026/05/09

15分短編です

 失敗した。

 昔から目覚まし時計を分解したり、親のラジオを分解して怒られていた。そのかいあって、私は、近所の工業高校に入学した。家から近かったし、何より機械いじりをしているのが好きだったから、工業系の学校に進みたいとそう思っていた。それは本心だ。

 でもこんなにも、女子が少ないとは思っていなかった。

 1クラス役40人、1学年3クラス、学校全体で約360人が在籍するこの学校に、女子はたったの4人しかいないという。

 受験の時から薄々気づいてはいたけど、入学してそこまで少ないとは思わなかった。

しかし神は私を見放さなかった。この学校でたった4人だけの女子のうち、2人は先輩で、接点がほとんどない。しかし1年生にはなんと2人も女子がいるのだという。そして嬉しいことに、私を含めた女子が2人が同じクラスにいるというのだから驚きだ。まさに奇跡。

 むさ苦しい男子の中で、ひと際目を引く、可愛い子。目がクリクリとしていて、長い金髪をポニーテールにして、白い肌によく映える。ロシア系を思わせる顔立ちの彼女は、私の列の反対側に座っている。

 今日こそ、彼女と仲良くなりたい。せっかくの女子同士、仲良くなっておいて損はないだろう。しかし彼女は結構サバサバした性格の様で、男子たちと妙に仲が良い。と言っても普段は一人で過ごしていることが多く、私より男子と喋る率が高いという程度だけど。

 入学して、まずはクラスメイトと仲良く!と思っていたのだけど、男子との会話の弾まなさを痛感した。だから、男子と話せている彼女が少し羨ましくはあった。

 中学の頃は共学だったけど、男子との接点なんてほぼなかったし、そもそも私は友達が少ない。だから高校では、みんなと仲良くできたらなんて思っていたのだけれど、男子ばかりの工業高校は、あまりにハードルが高い。

 でも私だって、SNSで見かける他の子みたいに、女友達と制服を着て、学校帰りにカフェに寄ったり、プリクラを撮ったりしてみたい!!

 そんな青春みたいな出来事が私にもあったっていいじゃないか!

 そのためには、私が行動を起こさねば!自分から声をかけよう!

 立ち上がった瞬間、チャイムが鳴った。

 私はいつもこうだ、うだうだ悩んで、諦める理由を探して、自分は間違っていないと思い込みたいだけの、何もできない寂しい人間。

 ・・・私、このままでいいの!?

 いや、そうはいかない!がんばれ私!負けるな私!

 授業が終わって、男子たちは購買へと駆けていく。彼女は教室の片隅で、いつも一人で弁当を開く。チャンス到来!

「・・・ね、ねぇ!」

 声がひっくり返った気がするけど、気にしない!一気に畳みかける!

「一緒にお弁当食べない!?」

「・・・・良いよ」

 ん?声、なんか低い?

「声、低いんだね・・・あ、風邪とか!?」

 前の席の男子の机を勝手に引っ張ってきて、椅子も借りて、彼女の正面に座った。

「んにゃ?地声だけど」

「地・・・声?格好いい声なんだねぇ!」

 ハスキーボイスの女子なんだろうか?

「やっぱ勘違いしてたか~。俺、男だよ」

 低い声、薄い胸、よく見ると逞しい腕・・・・。

「髪の毛も地毛だし、伸ばしてるのは趣味だけど、れっきとした男」

 ケラケラと笑うその顔は女子にしか見えなかった。


 コレが、私の大親友兼、今の旦那との馴れ初めってわけ。


——まさか結婚までする仲になるとは・・・。——

人生何が起こるかわからないもんですなぁ。

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