これはこれで、まぁいいか
15分短編です
失敗した。
昔から目覚まし時計を分解したり、親のラジオを分解して怒られていた。そのかいあって、私は、近所の工業高校に入学した。家から近かったし、何より機械いじりをしているのが好きだったから、工業系の学校に進みたいとそう思っていた。それは本心だ。
でもこんなにも、女子が少ないとは思っていなかった。
1クラス役40人、1学年3クラス、学校全体で約360人が在籍するこの学校に、女子はたったの4人しかいないという。
受験の時から薄々気づいてはいたけど、入学してそこまで少ないとは思わなかった。
しかし神は私を見放さなかった。この学校でたった4人だけの女子のうち、2人は先輩で、接点がほとんどない。しかし1年生にはなんと2人も女子がいるのだという。そして嬉しいことに、私を含めた女子が2人が同じクラスにいるというのだから驚きだ。まさに奇跡。
むさ苦しい男子の中で、ひと際目を引く、可愛い子。目がクリクリとしていて、長い金髪をポニーテールにして、白い肌によく映える。ロシア系を思わせる顔立ちの彼女は、私の列の反対側に座っている。
今日こそ、彼女と仲良くなりたい。せっかくの女子同士、仲良くなっておいて損はないだろう。しかし彼女は結構サバサバした性格の様で、男子たちと妙に仲が良い。と言っても普段は一人で過ごしていることが多く、私より男子と喋る率が高いという程度だけど。
入学して、まずはクラスメイトと仲良く!と思っていたのだけど、男子との会話の弾まなさを痛感した。だから、男子と話せている彼女が少し羨ましくはあった。
中学の頃は共学だったけど、男子との接点なんてほぼなかったし、そもそも私は友達が少ない。だから高校では、みんなと仲良くできたらなんて思っていたのだけれど、男子ばかりの工業高校は、あまりにハードルが高い。
でも私だって、SNSで見かける他の子みたいに、女友達と制服を着て、学校帰りにカフェに寄ったり、プリクラを撮ったりしてみたい!!
そんな青春みたいな出来事が私にもあったっていいじゃないか!
そのためには、私が行動を起こさねば!自分から声をかけよう!
立ち上がった瞬間、チャイムが鳴った。
私はいつもこうだ、うだうだ悩んで、諦める理由を探して、自分は間違っていないと思い込みたいだけの、何もできない寂しい人間。
・・・私、このままでいいの!?
いや、そうはいかない!がんばれ私!負けるな私!
授業が終わって、男子たちは購買へと駆けていく。彼女は教室の片隅で、いつも一人で弁当を開く。チャンス到来!
「・・・ね、ねぇ!」
声がひっくり返った気がするけど、気にしない!一気に畳みかける!
「一緒にお弁当食べない!?」
「・・・・良いよ」
ん?声、なんか低い?
「声、低いんだね・・・あ、風邪とか!?」
前の席の男子の机を勝手に引っ張ってきて、椅子も借りて、彼女の正面に座った。
「んにゃ?地声だけど」
「地・・・声?格好いい声なんだねぇ!」
ハスキーボイスの女子なんだろうか?
「やっぱ勘違いしてたか~。俺、男だよ」
低い声、薄い胸、よく見ると逞しい腕・・・・。
「髪の毛も地毛だし、伸ばしてるのは趣味だけど、れっきとした男」
ケラケラと笑うその顔は女子にしか見えなかった。
コレが、私の大親友兼、今の旦那との馴れ初めってわけ。
——まさか結婚までする仲になるとは・・・。——
人生何が起こるかわからないもんですなぁ。




