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『龍霊雨器 ― 脅迫から始まる両片想いの後宮事件録 ―』 〜女装して後宮に潜入したら、正体を見抜いた俺様文官(次期皇帝候補)に囲われました〜  作者: 麻倉ロゼ
第一章 「嘘と脅迫から始まる俺様文官との最悪で最低な始まり」

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第四話 「運命の取引 〜命令?協力?同居?〜」

ご覧いただきありがとうございます。


本作は

「中華風後宮ファンタジー」

「年上攻め×主人公受け」

を詰め込んだBL作品です。


シリアスになりすぎず、基本はコメディ寄りで進みます。

どうぞ肩の力を抜いてお楽しみください。

「は……?」


状況が掴めず、オレの口から乾いた声が漏れた。


玄曜げんようはフッと鼻で笑い、そのまま部屋の奥へ進む。

オレは呆気に取られながらも、仕方なく後に続いた。


チラリと辺りを見渡す。

家の中は必要最低限の家具や装飾品が置かれ、落ち着いた色合いに統一されていた。


「今、ちょうどいい手駒を探していたんだ」


「手駒……?」


――それって、オレのこと……?


ドキリ、と心臓が跳ねる。

手汗を衣で拭う。背中にしっとりと汗がにじみ、気持ちが悪い。


玄曜は厨房で湯を沸かし、茶器を並べ出す。

お茶の葉の香りを確かめ、慎重に湯を注いだ。


目線で座れと指図される。

オレは近くの椅子に腰掛け、緊張を必死に抑えた。


「オレは訳あって、この後宮内で問題を起こす工芸品の仲介と管理をしている」

玄曜は話ながら、茶杯を差し出す。

フワリと香る茶の香りと味に、喉の渇きが癒やされ、少しだけ緊張が緩む。


「後宮内は男子禁制の場所が多いだろう?

今までは下女たちに内部に侵入してもらっていたが、どうにも限界がある」


玄曜は一服し、静かに息を吐いた。


「倉庫に配属される下女は――どうしても問題児あいつらのイタズラで辞めていく。

しかも今、後宮は下女の人手不足だ」


「問題児……」


さっきも言っていた、工芸品のことか。


「その点、オマエはとても良い。“見た目”は下女そのもの。それに……」


「オマエの力……運命だとは思わないか?」


「う……運命……?」


急に、大それた話になってしまった。


「オマエ、オレの管轄ものになって、今日からここに住め」


「ぶふっ! はあっ!?」

思わずお茶を吹き出すオレ。


「汚ねぇな」

苦々しい顔で、容赦なく言う玄曜。


「ちょっ! ちょっと待って! 大体――!」

オレは真っ直ぐ玄曜を見て、大声をあげた。

「あんた、キャラ変わりすぎだろ……!!」

ああ、スッキリした。

一番言いたかったことを、ようやく言えた気がする。


「オマエだってそうだろ」

玄曜の瞳に、鋭い光が宿る。

何を言っているのか睨まれると、オレの心臓はギュッと締めつけられた。


「さっきまで爽やか文官だったのに…!」

思わず口から漏れる。

なんで、こんなに口の悪い意地悪キャラになるんだよ!


「うるせーな。オレは元々こうなんだよ!

さっきも言ったが、後宮内は女しか入れない場所ばかりだ。

 女の協力がいる。女ウケを利用して何が悪い?」


挑発するような笑み。顔がいいだけに、腹立たしさ倍増だ…。


「ここはオレの離れだ。他は誰も来ないし入れない」


「なんで、ただの文官がこんな所に住んでるんだよ」


「オマエには関係ない」


玄曜に言われ、オレはしゅん、と小さくなる。

そんなオレを見て、玄曜は少し気まずそうに口を開く。


「…オレは末端だからな」


「末端……?」


「いいんだよ、そんなことは。住むなら倉庫内より、ここが快適だ。

 男の姿になっても、他の奴にバレることはない」


確かに……。

後宮に入って初日で、玄曜にバレたぐらいだ。

危険は避けたい。

でも……。


「あんたの管轄ものになるって……それって……」


「オレに忠誠を誓い、命に従え」

玄曜はイスにふんぞり返り、意地悪く笑った。


「なんでオレが」思わず声が出る。


「バラすぞ」


「うっ!」


「後宮内に許可なく男子が入ったら……当然、死罪だろうな」


「!」一瞬で背筋が冷たくなる。


「家族もただじゃ済まないだろうな」


「……!!」オレの目が不安で揺れる。


玄曜はそんなオレを見つめ、ゆっくりと言った。


「取引してやる。

オマエが男だとバレたくなければ、オレに協力しろ」


天青色の瞳が、楽しそうに揺らめく。


「協力するなら、オマエの安全は保証する。

たとえ他の奴にバレたとしても、守ってやる」


「………」


断れるはずがない。

オレは俯き、視線を彷徨わせる。

なんでこんなことに……。


いや、オレが自分で決めてここにきたんだ!

こいつの言うことを聞いていれば助かるなら……!


オレは迷いも恐れも振り払い、真っ直ぐ玄曜を見つめた。


「わかった。協力する」


「それは良かった」


玄曜は満足そうに呟く。まるで、ずっと欲しかった

おもちゃを手に入れた子供のようだ。


「オマエ、名前は?」


「知ってるだろ。星鈴せいりんだよ」


「違う。本当の名前だ」


本当の……?

男のオレの名前か。


流星りゅうせい白流星はくりゅうせいだよ」


「流星……流れ星か。面白い」

玄曜は笑った。

文官モードの笑顔とは違い、少し無邪気で子供みたいな表情。

そのギャップに、オレは少しドキッとした。


こうして、オレ――白流星――と玄曜の、秘密を共有する

奇妙な同居生活が始まったのだった。

※作者より

ここから、後宮での生活がさらに賑やかになり、

二人のやり取りも増えていきます。


第一章は毎日更新します。

ご都合のいいタイミングで、気軽にお付き合いいただけたら嬉しいです。

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