第十二話 「倉庫に眠るもの」
ご覧いただきありがとうございます。
本作は
「中華風後宮ファンタジー」
「年上攻め×主人公受け」
を詰め込んだBL作品です。
シリアスになりすぎず、基本はコメディ寄りで進みます。
どうぞ肩の力を抜いてお楽しみください。
その後、オレは龍霊雨器が収められている倉庫に、
香炉をひとつ追加した。
「青白釉刻紋待梅香炉、“香梅”」
そう目録に記し、棚の一角へ、そっと配置する。
「ここで……ゆっくり休んでね」
小さく囁き、香炉を優しく撫でた、その時。
――ザワリ。
倉庫を包む空気が、変わった。
足元から冷気が駆け上がり、背筋を一気に貫く。
ツン……と、澄みきった冷たい空気。
一瞬で、この場所が――
人の領域ではない、神域に変わったような感覚だった。
けれど、不思議と怖くはない。
「……っ」
思わず息を呑む。
この倉庫の、ずっと奥。
ずっと下に――
とんでもない龍霊雨器が、いる。
そう、直感が告げていた。
でも――
身体が、動かない。
振り返ろうとしても、自分の意思では叶わなかった。
オレはそのまま、ゆっくりと目を閉じ、
小さく息を吸う。
すると――
空気が、ふっと緩んだ。
金縛りが解けたような感覚。
重く張りついていた気配が、すっと遠ざかる。
あたりの空気は、いつもの倉庫へ戻っていた。
「……はぁ」
思わず、息を吐く。
(……どんな龍霊雨器なんだろう)
胸の奥が、ざわりとする。
けれど――
今はまだ。
会ってはいけない。
理由はわからない。
ただ、そう思った。
※作者より
第一章、最後までお読みいただきありがとうございました。
ここまでで一区切りとなりますが、
後宮の事件も、玄曜と流星の関係も、ここから
さらに動き出します。
第二章からは【火・木・土】の週3更新になります。
引き続き、お付き合いいただけたら嬉しいです。




