ユーベルトの困惑01
ユーベルトは城門を守る門番である。
軍の中では華やかさに欠ける役職だが、ユーベルトはそれで良いと思っている。もともとユーベルトの生家であるキャラディック子爵家は内務文官系の家で、ユーベルトは家の立場のために軍人になれと言われてこの職についたのだ。外で剣を振り回し他国や魔物と戦うよりも、門で目を光らせ、書類仕事を捌く方が性に合っている。
門の脇にある詰所の扉から交代の兵士が出てきた。もうそんな時間なのかと思いながら、目の前に立った兵士と交代の儀を行って速やかに詰所へと足を運ぶ。ユーベルトと同じ勤務だった同僚たちも詰所に入ってきて、鎧を脱いでいく。ユーベルトもそれに倣おうとしていたら、慌てたように詰所に入ってきた上官が大声で指示を出した。
「お前たち、交代直後ですまないが凱旋の報告が入った!もう一度鎧を着て凱旋の警備をしてくれ!」
ブーイングにも近いざわつきは、超過勤務分の給料は出すからと言う鶴の一声で収まった。現金なものだが、兵士の中では薄給と言われる門番勤務兵にとって残業代は背に腹を変えられぬ物なのである。
「ユーベルト班長、今回の凱旋って先日調査に出たやつっすよね?」
「それ以外に出征は無いから、それで間違いないと思うよ」
「班長が言うなら間違い無いだろ。主に女性の動向に気をつけて警備だな」
「それにしたって、せめて数日前に連絡入れて欲しいっすよね」
「無理言うなよ、お前だって仕事が終わったらさっさと帰りたくなるだろ」
仕事中は無言で勤務に忠実だが、詰所では気安いものである。これも軍の上層部や騎士団からは顔を顰められるだろうが、ユーベルトはこの気安さが気に入っている。常に気を張る必要のある兵士だが、家以外にも気を緩める場所があってもいいというのがユーベルトの考えだからだ。
実際はどう思っているか知らないが、この雰囲気を見逃してくれている上官のことも、ユーベルトは有難い存在だと思っている。
軍部には無駄な部署など存在しないが、門番という部署は軍の中でも閑職と呼ばれ下に見られている。というのも、平民出身者が配属されやすいからだ。国を運営するにあたって重要な部署になればなるほど、構成員は貴族階級が多くなっていく。
今現在この部署には、この門にいるユーベルトと上官、あとは他の門に片手で足りるほどしか貴族が配属されていない。上官こそ騎士を輩出するような軍人家系の人だが、ユーベルトを含む他はそうでは無い家系出身者で、他部署では実力不足と言われて門番に配属されている。
……ガラは悪いかもしれないが、貴族間の腹の探り合いに比べたら居心地は断然こちらの方がいいと思うけどなあ。
貴族であり、国立学園の騎士科を卒業しているというだけで配属日から班長を任されているユーベルトにも彼らは良くしてくれているのだ。叩き上げの彼らの方が余程場に慣れているだろうに。
「班長、何故女性が要注意なのですか?」
そう尋ねてきたのは、先日入ったばかりの新兵だった。前回の出征警備の時にはまだ配属されていなかったので情報がないのだろう。知らずに凱旋警備に出ては大変なことになるなとユーベルトは苦笑した。
「今回の遠征には女性たちが熱を上げている騎士様たちが多いからだよ」
「騎士様?」
「新入り、そんなことも知らんのか?」
周りから揶揄う声が集まってくる。しかしその実、彼らは丁寧に新兵へ事情を説明し始めた。
この国の軍部は大きく分けて近衛騎士、精鋭騎士、騎士、魔術士の四つの師団に分けられる。ちなみにユーベルト達門番は騎士部の兵士課に属される。
さて、その四つの部門それぞれに注目されている人物がいるのである。近衛騎士に所属する双子のオーギュストとジークフリート、精鋭騎士のアレキサンドラ、騎士のエイデン、魔術士のヘリオロス。
実力主義の軍部において、若手ながらそれぞれが功績を立てており、まだ先のことだろうが時期師団長になるだろうと目されている人物達だ。そしてその誰もが未婚であり、女性たちの憧れなのである。
「あれ?でもアレキサンドラ様は女性ですよね?女性が女性に熱を上げるんですか?」
「ん?あれ?言われてみれば……」
皆が首を傾げる様が面白く、ユーベルトは込み上げてくる笑いを咳払いで抑えて説明する。
「我々貴族は男女関係なく長子が後継になるから、後継争いのないように家に残ると決まった次子以降の者たちは独身を貫くか同性婚しか認められていないんだよ。個人に大きな功績があって爵位を賜ることが出来たら新しい家を興して異性婚することもできるんだけどね」
「はあー、だから貴族様方には独身者が多いんですねえ」
長年の疑問が解けましたと言うのは、今年で四十を迎えるベテラン兵士だ。先日孫が生まれたと言っていた筈である。平民は貴族と違い、好きな相手と結婚して家庭を作るらしい。自分の心のまま生きていけると言うのは羨ましい限りだとユーベルトは微笑んだ。
「凱旋のためにこんだけの人が集まるんすか」
凱旋のために城下の町民が大通りに集まっている様子に、新兵が驚きの声を上げる。これからこの人集りを捌かなければならないんだぞと年配の兵士たちが揶揄うが、ユーベルトはそれよりも気になった事があった。
「兵士になる前にも見たことくらいあるだろう?」
「いえ、あの、俺全然興味なくて。兵士目指したのも給金がいいからだったんで」
申し訳なさそうに言う新兵に、ユーベルトは気にしなくていいよと笑い飛ばした。貴族では薄給と言われる門番も、平民からすれば高級取りの部類に入ることは知っている。日々生きていくためにも金は物入りだ。新兵の言い分は間違ってはいない。
「それなら君にとっては初めて見る凱旋なんだな。帰りに予定がなければ食事をご馳走しようか」
「本当ですか!」
「班長!新入りばっかり贔屓しないでくださいよ」
「分かったわかった。班の皆で行くとしよう」
全員ご馳走すると言えば、ユーベルトが受け持つ班の兵士たちは満面の笑みで配置に付いていく。こんなに喜ぶなら家族へのお土産も持たせた方がいいかもしれないなと思う。他の班長に白い目で見られたが、それはそれだ。そもそもユーベルトの班は超過勤務なのである。例えその分の給料が上乗せされると言っても、これくらいの褒美がなければ彼らも彼らの家族も可哀想だろう。これは必要経費なのである。
「あれ、先頭じゃない?」
ユーベルトの背後から興奮した声が上がる。凱旋の触れが回ってすぐにきたのだろう、最前列で待ち構えていた町娘の口から出てきた声のようだ。その声に他の者たちも次々と首を伸ばしてどうにか狭い隙間から顔を覗かせようとする。
「気になるだろうが押さないように!すぐに目の前に凱旋の隊列が進んでくるから。我々より前に出た瞬間不敬罪として連行されることを念頭に置いてくれ」
落ち着いて、けれど張るように声を出せばユーベルトが任されている区画だけではなく別区画もどことなく落ち着きを見せた。向かい側の区画の班長からありがとうとハンドサインが送られてくる。どうも、とサインを送り返して少しした頃に、隊列の先頭がユーベルトの区画へと入ってきた。
隊列は近衞騎士から始まり、その中央には王子が馬上から手を振っている。この王子が今回の出征の責任者であり指揮をとっていた。王子の後ろには真っ白な馬車が続いている。
「聖女さまだわ!」
「あの馬車の中に聖女さまが乗っていらっしゃるのか!」
「聖女さま!」
「聖女さま!」
聖女を讃える声が鳴り響く。この国では百年周期で魔物が大量発生する時期があり、それと同じくして聖女が現れるという。聖女の出現方法はその時々で違い、今世の聖女は数百年ぶりに異世界からの召喚されたと言う噂だった。
異世界からの聖女が召喚される時は決まって魔物の出現が他の時より多くなる。ここ数年の出征回数が多いのもそれに伴ってのことだ。
「今回も聖女さまのお姿は結局見れずじまいかあ」
「凱旋の度に並んでるけど、一度も馬車のカーテンを開けてくださらないのだもの」
馬車が過ぎ去るとともに気落ちする声がそこかしこからざわめきとなって押し寄せてくる。確かに、とユーベルトは過去の凱旋の時を思い返す。これだけ話題になっているのに、噂の聖女様は姿を隠したままだ。
……事実魔物が出現しているのだから、聖女がいないわけでは無いと思うが……。
何となく現実味がないのも確かだと思っていると、先程とは比べ物にならないほどの歓声が湧き上がった。
「近衛の殿にオーギュスト様とジークフリート様がいらっしゃるわ!」
「精鋭騎士のアレキサンドラ様が続いてらっしゃるわよ!」
きゃあきゃあと黄色い歓声がはち切れんばかりに渦巻いた。思わず耳を塞ぎたくなったが、今は警備中である。持ち上がりかけた手を両脇におさめて、観客たちに先ほどと同じ注意を促した。それでも勢いはおさまらず、飛び出しかける人々を抑え込むことに集中しなければならなくなってきた。そうすると、あちらこちらから兵士たちの落ち着けと言う怒鳴り声が混ざるようになる。
……兵士の怒鳴り声も、ある意味凱旋の風物詩かもしれない。
自分も怒鳴りたくなる衝動に駆られながら、それでも貴族という立場を考えてなるべく柔らかい言葉で市民たちを宥め続ける。そうして後は凱旋が終わるのを根気強く待つのだ。
「落ち着いて。罪に問われたくなければ前には出ず、その場で声援を送るように」
「分かってるけど落ち着いてられないの!」
「兵士だからって命令するんじゃねえ!」
貴族として命令してやろうかと悪い考えも過るが、それでは本当に命令になってしまう。貴族と平民の関わりが易いからといって、そこにある違いは天と地ほどの差があるのだから。
「うちの班長に怒鳴ったやつはどいつだ?!」
ユーベルトの班で一番血の気の強い青年が怒鳴り声を上げる。するとたちまち歓声以外の声は引っ込んでいった。彼は平民でも名の知れた商家の出で顔も売れている。喧嘩っ早いからと家の仕事から引き離されて兵士になったと言うが、こう言う時はとても助かるのだ。
青年に礼を言って、ユーベルトは再び凱旋の隊列に目を向けた。
……ヘリオロス様だ。
腰まで伸ばした銀の髪に、宝石のような緑の目。魔術士でありながらユーベルトよりも上背と厚みのある身体を持っているのは彼しかいない。
ユーベルトの背後から、ヘリオロスを讃える歓声が広がっていく。その歓声に応えるようにかれはこちらを見て微笑んだ。
「っ……!」
自分に向けられたわけでは無いのに、ユーベルトは自分の顔が紅潮するのが分かった。
背後からはヘリオロスがこちらを見たと、女性達から割れんばかりの喜声が上がる。キンキンとした声を聞いて我に返ったユーベルトは、慌てて視線をずらして凱旋の隊列の後方を見やる。魔術士の次に医療隊が続き、そのさらに奥に見える騎士の隊列が最後尾だ。そこが過ぎ去った場所から市民達が帰っていく姿が見える。ユーベルト達が受け持っている区画もそう遅くないうちに解散できるはずだ。
視線を正面に戻して、魔術士たちを見送る。
ヘリオロスの姿が見えなくなったことに安堵しながら、少しばかり虚しさを感じていた。
隊列の最後尾を見送り、町民達がぞろぞろと帰っていく。いつもなら一人か二人ほど隊列に駆け込む命知らずがいたりするのだが、今回はそういう事もなく凱旋警備は恙無く終わったと言って良い。ユーベルトの班が受け持った区画の町民達が全員帰ったことを確認して、隊列の最後尾に続くようにして詰所に戻る。鎧を脱いでも興奮冷めやらぬといった新兵を促して、詰所と程近い場所にある居酒屋へと連れ立った。
「オレ、めちゃくちゃ驚きましたよ!凱旋ってあんなに感動するもんなんすね!しかも四人ともめっちゃ美形だし!」
乾杯して開口一番がこれかとユーベルトを含めた皆が苦笑する。それでも新兵の口は止まらない。どんなに厳つい容姿なのかと思ったのに皆美しかったと賞賛から始まり、酒が進むと強くてかっこいいだなんて不公平だと愚痴がこぼれ始める。賞賛には苦笑していた皆も愚痴には賛同し始めた。
「うちの嫁さんもあの四人に熱をあげちまって凱旋のたびに浮き足立ってるからなあ」
「あれ面白くないよな、目の前にお前の旦那がいるんだぞ!って思っちまう」
「けど俺よりかっこいいのは否定できんしなあ」
「次元が違うからそこは別に嫉妬せん」
「嫁さんが俺以外のことに夢中になってんのが嫌なんだよ」
わかるわかるとテーブルを囲む班員達から同意の声が上がる。貴族と違って下町の住人は好き合って結婚すると言うから、こういう感情が当たり前なのだろう。羨ましくもあり、少しだけ妬ましくも思える。湧き上がった感情に思わず苦笑しているユーベルトを他所に、話題は四人の中で誰を推すかと言う話に切り替わっていた。推すという表現に首を傾げていると、新兵が真っ赤な顔をユーベルトに向けて手を挙げた。
「はい!」
「……どうした?」
「班長はあの四人の中で誰を推しますか!」
「え?一番?推す?」
突然話題を振られて戸惑うユーベルトに、新兵はニカッと笑って付け足した。
「一番かっこいいから、一番強いから、一番気になるから。理由なんて何でも良いっす!応援したい〜!って思うのは誰っすか?」
推すとはそう言う感情を表す言葉なのか。
なるほどなあと思いながら、ユーベルトは四人の中でと言われた途端に浮かんだ人物を口にしようとして、すんでのところで押し止まった。何処で誰の耳が聞いてるかも分からないこんな場所で素直に口に出すことではない。
「一番はいないかな。四人の誰もが国に貢献しているのだから、私は全員を応援してるよ」
模範回答と言っても良い返答に、皆がつまらなさそうな顔をする。そう言う反応は返ってくるだろうと思っていたが流石にここまで気落ちされるなんてと戸惑うユーベルトに、年配兵が気にしないで下さいと手を振った。
「班長は貴族でしょ。自分たちの知らない評価が出てくるんじゃないかって期待してただけですよ」
「……皆、ずいぶん酒が回っているんじゃないか?」
仕事終わりとはいえまだ日が沈みきっていないと言うのに、既にユーベルトに対する遠慮が薄くなっている。そうして心配すると、年配兵もそうですねえと頷いたので、ユーベルトはその場で手を叩いた。
「今日はここで解散にしよう。キリのいいところで手を止めなさい」
手に持っていたジョッキにもそんなに酒は残っていなかったのだろう。皆が皆最後の一口だと酒を煽って店を出ることになった。
会計を済ませて外に出ると、店先で班員達がユーベルトを待っていた。まだ元気そうな者たちは飲み直しするらしい。
「飲み直しても良いけれど、明日が休みだからと羽目を外さないように」
「分かってますよ。班長も土産までありがとうございます」
この後すぐに帰宅するつもりなのだろう。年配の兵士と、今年結婚した新婚の兵士がユーベルトが用意した土産を持ってほくほくとした顔をしている。丁度今は夕飯時だ、酒の匂いをさせていても夕飯の一品になるものを持ち帰れば心象も悪くないだろう。
彼らの肩には飲むペースを間違えた新兵の腕がかかっている。両脇を支えてもらって何とか立っている状態だが、それでも口から出ているのは例の四人についてだ。よほど彼の印象に残ったのだろう。
「彼のことを任せてしまってすまないな」
「良いんですよ、どうせ家に届ければこいつの可愛い恋人が受け取ってくれるんで」
「そうか、それなら心配しなくてもいいかな……では皆も気をつけて」
少し危ない足取りでゾロゾロと下町に歩いて行くみんなの背を見えなくなるまで見送り、ユーベルトは別の店へと足を運ぶ。情報収集のためだと銘打っているが、なんとなく酒を飲まないとやってられない気分だった。
「ん……」
意識が浮上する。
目を開けて見慣れた天井を眺めながら、いつの間に帰ってきたのだろうと記憶を辿る。
班のみんなを見送って、情報収集がてら町の声を聞いていくかと別の店でもう一杯引っ掛けたことは覚えている。一人だったからカウンター席を薦められて、確信は持てないが誰かに声をかけられて、それで……それからの記憶がない。
ずきずきと痛みを訴える頭を抱えながら、どれだけ深酒をしたんだとユーベルトは昨夜の自分を恨んだ。記憶をなくすなんて今までになかった。初めて酒を口にした時から自分があまり酒に強くないことを自覚して、飲み会でもなるべく酒を飲まないように調整してきたのに。
喉が乾きすぎて張り付くような感覚がある。とにかく水を飲もうとキッチンへ足を運ぶ途中、姿見に何か不穏なものが映った気がした。気のせいだと自分に言い聞かせて保冷庫から水を取り出し、コップに注いだそれで喉を潤す。何度か煽って、それでもやはり先ほど目の端に映ったものを否定しきれない。
意を決して姿見の前に躍り出た。
「……っ、うわっ、え?はぁ?!なんだこれ!」
言葉遣いを忘れるくらいには衝撃的な光景だった。首筋にこれでもかというほど鬱血痕が付いている。どう考えたって事後である。まさかと思って寝巻きを捲って腹には赤い痕がない事に安堵した直後、脇腹にも鬱血痕を見つけてしまった。
「まさか……」
捲るだけでは確認しずらいからと寝巻きを脱ぎ捨てて背中を鏡に映す。思った通り、背中にもいくつか鬱血痕が残されていた。
明らかに自分が抱かれている方だと確信してがくりと項垂れる。しかし腰に変な痛みはないので最後までしたわけではなさそうだ。何とか持ち直して顔を上げたユーベルトだったが、それまで気付かなかった物を目にしてしまった。ザッと血の気が引くのを感じる。
「嘘だろ。嘘だって言ってくれ、これは流石に冗談じゃすまないだろ……」
この国では自分の目の色の宝飾具を直接誰かに付けるというのは求婚の証だ。
基本的に婚姻は家同士の繋がりで家長たちが決めるので婚姻式に指輪やネックレスを用意するのだが、それよりも先に自分で想う者がいたり、家に残ると決めた次子以降の子が想い合う異性と独身を誓い合うーー俗に実らぬ花と称される約束を契る時は必ずピアスを送る。
それは「この色を持った者がその身を貫いている」として婚前交渉を揶揄する為だ。実際に行為があったかどうかが問題ではなく、ピアスがつけられていると言う事実が重要で、例え家長が別に婚姻相手を探していたとしてもピアスが付けられた時点で本人同士の婚姻が成立してしまうのである。
あまりのことに足から力が抜けてへたり込んでしまった。
ユーベルトの右耳。緑に輝くエメラルドをあしらったピアスが、そこに鎮座していた。