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あなたがくれた夢

作者: ミリ島諭し

ある時夢をみた。


暑さが残る9月半ば、僕は公園の椅子に座ってた。

なにかをするでもなく、なにかを考えるわけでもない、

ただただ空気を眺めてる。

もう少しで空気になれそうだな、そう思った瞬間、

ソッと撫でるように脇腹を擦られ、

なぜかお母さんのような暖かみを感じた。

そして、振り返るとそこにいたのは、

中学卒業以来会っていない、ほのかだ。

クスッと笑って控えめな声で

「久しぶり」と言われた。


そう、いつも笑顔で、運動もでき、男子に意見もいえるクラスの人気者、それが彼女に対するイメージだ。周りからの評価を気にして、中間の立場を維持してる僕とは違う。

そんな人気者からの不意の挨拶に

一瞬可愛いと思ったが、それは顔にださず、

自然な感じで、「おぉ、久しぶり」といった。

そしたらまた、ニコっと笑い返してきたので僕も笑い返した。


少し気まずい空気が流れ、

僕は断ちきるように

「まだ剣道やってるの?」ときいたら、

「もうやめたよ、」となにか気まずそうな

感じで言い返してきた。

僕もなんといっていいのかわからず、ただ

「そっか、」

と、つぶやいた。

そしたら、気を遣ってくれたのか、

「他にやりたいことが見つかったの」と

無理に笑って言ってくる。

そんなわけない、と心のなかで思ったが

それは言わなかった。

今度はあっちから、

「水泳続けてるんでしょ!」

と気さくな感じでいわれたので、

「続けてるよ」と明るく返したら、

今までにない満面の笑みで

「すごいね!頑張れ!」と、ガッツポーズをしてきた。

またそこで可愛いと思ったけど、顔にだすのはしゃくなので、「うん」とうなずいた。すると、


「ほのかー! はやく遊ぼー! 先行くよー!」

と呼ぶ声が聞こえた。一緒に来てた友達のようだ。

彼女は急ぎながら「じゃぁ、またね」と軽く笑っていった。僕も軽く「バイバイ」といった。

けど、もっと喋りたかった。


そんな彼女はもういない。公園にも。この世にも。

気づいた僕は、一人朝のベッドのなかで枕を濡らした。





最後まで読んでくれたそこのあなた!

コメント聞かせて欲しいです。

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