始まりの丘
新たな世界へと旅立つ神。彼女が見る先には何があるのか・・・。
小説 風の吹くままに
第二章 始まりの丘
そこにあたしは立っていた。
荒涼とした丘にあたしは立っていた。
「ここは・・・どこだろう?」
初めての場所で、どこかわからない。どうしようかと悩んでいたら、頭に声が聞こえてきた。
「ご自分の力を使ってください。あなたはこの世界では「神」なのですから。」
あ、なるほど。今自分がわからないのは自分の今までの能力だけで理解しようとしていたからなんだ。自分に与えられた新しい力のことを念頭に入れていなかった。それに気づいてあたしは新たな力を使うことにした。
「力」を使い、一つのものを作り上げた。
「人間」である。ただしただの人間ではない。「使い魔」を創り出したのだ。
「呼ばれて飛び出て・・・」
「べたな台詞はやめなさい!」
くだらない台詞を言いそうになったので、あたしは「彼女」の台詞を遮った。
「う~、せっかくのチャンスだったのに~。」
彼女は残念そうに言った。それに答えてあたしは言った。
「まだチャンスはいくらでもあるわよ。それよりもミル、あたしがあなたを創った理由は分かっているわね。」
「分かってますよ。マスター。まずは、この世界からですね。えーっと・・・。」
そう言い出してミルは説明を始めた。
この世界は「ノンテーサンザード」という名前で、大きな大陸が4つ、ほかに大小の島々がある一般的な(?)世界だそうである。現在、あたしたちが立っている場所は「レイグラード」と呼ばれる大陸で中規模な大陸で比較的温暖な所らしい。大体の内容をあたしは「理解」した。
「なるほどね。じゃあ、ここはあたしにとって「始まりの丘」ってところね。」
「そうですね、さすがはマスター。」
「褒めても何もでないわよ。」
あたしがそう言うと、ミルは少々はぶててしまった。
「まぁ、それはともかく、これからどうするかよねぇ。」
あたしはどうするか、迷っていた。ミルは、それに答えて言った。
「とりあえず、麓の村にでも行くのはどうでしょう?」
「まぁ、無難な選択かな。そうしましょうか。」
あたしはそう言って、麓の村に向けて歩き出した。ミルもそれについて行った。ちなみに、ミルは、大柄な女性で、非常に体格が良い。しかし、可愛い女性で、非常に魅力的である。特に性格は。(笑)
もちろん、彼女は「使い魔」なので普通の人間とは異なる。能力も極めて秀でている。
あたしたちは、麓の村に向かうことにした。
次回「一陣の風」。旅を始めることになった神達。彼女達は吹き行く風として如何に行動するのか?お楽しみに。