Beziehung(ベツィーウング)「関係」
帝国との会戦は間近に迫っていた。
そんな中、お互いの関係に答えを求める者達、見出す者達、様々に居た。
今、其処では何が行われ様としているのか…。
(注意!関係を描写する上で今回はかなりH描写が入ります。苦手な方は注意して下さい。)
小説 風の吹くままに
第十八章 Beziehung「関係」
レミアルト王国国王レミアルト二十四世は現在56歳、壮年期に入り国王として更に箔が付く歳に入っていた。しかし、今日、王の間で前にしている出来事はやや事情が異なっていた。隣には妻が腰を掛けている。此れは何時もと大差は無い。しかし、彼女も動揺している様だ。そう、目に前に並ぶ者が問題なのである。いや、それぞれは問題では無い。問題は其の「関係」であった。
「セレナ、本当にお前は其れで良いと言うのか?」
国王は自分の娘にそう尋ねた。そう、セレナは今、自分の素直な気持ちを父親に述べた所なのである。惺と共に歩んで行きたいと。父に尋ねられてセレナは顔を上げて答えて言った。
「はい、父上。私は、惺様に永遠に付いて行きたいと、そう思っております。」
確信に満ちた言葉でセレナはそう言っていた。しかし、言っている内容が問題なのである。彼女が、一青年に対してそう語っているのであれば二つ返事程度で了承出来たかも知れない。しかし、相手が…女性なのだ。しかも「神」の。内容が突拍子も無いので暫く国王は何も言えずにいた。
「あの…父上?」
セレナは不安げにそう言う。国王ははたと気づき、軽く咳払いをした後こう言った。
「お前の気持ちは良く分かった。まず、それは置いておくとして、惺殿、そなたにも伺いたい。そなたはセレナをどう思っているのだろうか?」
そう言われて、惺は顔を上げて答えて言った。
「俺は、セレナが非常に大切な存在だと思っている。だが、それが、具体的にどのようなものか上手く表現出来る程、俺は言葉が巧みではない。ただ言えるのはセレナが俺を永遠に離したくないと言っている様に俺もセレナに対してそう思っていると言う事だ。其れだけは間違い無い。断言できる。」
そう言われて、国王はまた一つ溜息を深くついた。そして言う、
「やれやれ、アーレフの事がやっと片が付いたと思えば、今度はセレナか。しかし、二人の思いは分かったが基本的に此れは余り公に出来る事では無いな。無論、時間と共に広まる事ではあろうが、式を挙げたり出来るような事柄ではない。一応二人共が女性だからな。故に、式関連は一切行わない。が、私としてはお互いの気持ちが其処まである以上、わざわざ二人の仲を引き裂こうとは思わない。であるから、二人の関係は認める事とする。以上だ。」
王妃は何か言いたげではあったが国王がそう裁断した以上、口を挟むことは出来なかった。恭しくセレナと惺は国王に頭を下げた。
二人が下がった後で国王がぼやきつつ言った。
「アーレフもそうだが、セレナも神殿達の影響でまるっきり変わってしまった様だ。しかし、悪く変わった訳ではない、これがどう言う事になり我々の、延いては人の為に為るのか楽しみな事だ。」
国王はそう言って遠くを見ていた。そう、遥か未来に期待を込めて。
「此れで良かったのか?セレナ。」
セレナと二人で歩きながら惺はそう言った。セレナは頷いて答える。
「はい。有難う御座います。惺様。」
惺はふと立ち止まった。セレナはそれが理解できず惺に向いて言う。
「どうかなさいましたか?惺様。」
ふと考えてから惺が答えて言った。
「そう、それだ。其の言い方だよ。セレナ。」
「はい?」
「何故、俺のことを惺様と言うのだ?」
「え…」
セレナは惺に急にそう質問されて言葉に詰まってしまった。どう答えて良いのか分からなくなったのだ。
「あの…其の…惺様は素敵で、敬愛すべき方ですし、やはりそうであるなら「様」と付けて言上すべきと思いましたので…。」
セレナは考えつつそう言った。惺はセレナの両肩を捕まえて言った。
「セレナ、君は俺と一緒に為りたいと言わなかったか?」
そう言われ、行動されて、セレナは赤面した。そして答えて言う。
「は…はい。父上にもそう申し上げた通り私の気持ちは変わりません。惺様と御一緒に為りたいと思っております。」
溜息を一つ吐いて惺が言う。
「セレナ、言わせて貰うが、此の侭では一緒に為れない。無論、さっき国王の前で言った事は偽りでは無い。しかし、君がその様な考えでは俺との「関係」は正しいとは思わないぞ。」
惺にそう言われてセレナは戸惑った。顔がやや青ざめながら言う。
「あ、あの!私何か惺様に悪い事をしているのでしょうか?何かあれば言って下さい。私、出来る事であれば何でも致しますから。」
惺は苦笑しながら答えて言った。
「セレナ、君は俺との「関係」はどんなものの様にしたいと、先日部屋で俺に言ったか覚えているか?」
そう言われて、しばし考えた後でセレナは答えて言った。
「はい、覚えております。志郎様や神さんの様な関係に為りたいと…。違ったでしょうか?」
「いや、合っている。では、父上に対し母上は「様」を付けて呼んでいるだろうか?逆に母上に対して父上はそう呼んでいるだろうか?」
「い、いえ、お二人とも名前で呼び合ってて、非常に微笑ましい間柄ですわ。」
「では、何故セレナ、君は俺を「様」付けで呼ぶんだ?そんな他人行儀な仕方で、しかも対等に見ない仕方をして父上や母上のような関係に為れると本気で思っているのか?」
惺にそう言われて、セレナはやっと気が付いた。能力が高く「神」である惺と一緒に為りたいが故、敬語で言うべきと思い込んでいたが逆にそれが、本来自分が求めて行くべき所とは別の所へと誘っていたのである。しばし俯いた後でセレナは答えて言った。
「お恥ずかしいですわ。惺にそう言われるまで気づきませんでした。そうですわね。本当に二人の「関係」が正しくある為にはそうでなくては為りませんよね。」
惺と言われて、惺は笑顔を見せながら答えて言った。
「そう!其れで良いんだ、セレナ。俺たちは一緒に為るんだ。であるなら、能力に差があろうとも、二人は一緒だ。分けるべきじゃないんだよ。」
そう言われてセレナは惺に抱きついて答えた。
「はい。セレナ、此れから頑張りますわ。」
惺はそう答えたセレナをしっかりと抱きとめていた。
レオンハルトは苦笑していた。自宅に久々に帰ると状況が一転していた為である。どういう事かと言うと簡単に言えば、今後自分は独り身だということであった。家は、引越し騒ぎと化していた。エミリアが自分の持ち物をあれこれと整理していたのである。
「おいおい、エミリア、此れは何の騒ぎだ?」
あえてレオンハルトはそう言う。ガイストからの報告で事情は知っているがあえてそう言ってみたのだ。エミリアは意気揚々に答えて言った。
「あ、お父様、お帰りなさいませ。私は此れから玲御姉様について行く為の仕度をしていますの。最低限の物だけ揃えて来いと仰られたのでどれにするか迷っている所ですわ。」
苦笑しつつレオンハルトが答えて言った。
「ついて行くって、お前、父親の了承は無しかよ。」
そう言われて、エミリアは即答して言った。
「ええ、勿論。私が決めた事ですわ。父上にも色々思われる事は御有りでしょうが私の意思は変わりませんのよ。ですから今、仕度をしていますの。」
呆れつつレオンハルトは言う。
「やれやれ、シャリーと同じか。母娘揃って同じだなお前達は…。」
「え?お母様も?」
「ああ、シャリーも俺がいいと言う前に既に結婚する気だったからな。本当にお前達は似てるよ。」
感慨深くレオンハルトは答えた。エミリアはそれに答えて唐突に言う。
「では、お父様。母上も私も居なくなるのですから、今度はライザさんでもお招きしたら良いのですわ。」
突然、ライザが話題に上がりレオンハルトは焦って答える。
「ちょっと待て。何故其処にライザが出て来るんだ。いや、そりゃあいつは副官として有能だが…。」
今度はエミリアが苦笑しつつ答えて言う。
「お父様。母上が亡くなられた事は哀しい事ですわ。でも、母上は、そして私も、お父様が幸せに為られた方が良いと思っていますわ。勿論、今でもそうでしょうけれど、其処に何時も一緒に仕事を為さっているライザさんが入る余裕はあるのではありませんかしら?」
そう言われて、レオンハルトはやれやれと両手を広げつつ答えて言った。
「本当に、お前達母娘はそっくりだよ。分かった、其の件は考慮するさ。しかし、本当にお前はそれで良いんだな?」
そう言われて、エミリアは顔を赤らめつつ答えて言った。
「はい。私、玲御姉様に「愛され」ました。この上なく幸せです。この「関係」は失いたくは無いのです。ですから一緒に行くと決めましたの。」
軽く溜息を吐きつつレオンハルトは言った。
「そうか。なら俺からはもう何も言うことは無いさ。お前の人生だ、ただ、選んだ以上後悔だけはするな。」
「はい。」
エミリアはそう答えてレオンハルトの胸に飛び込んでいた。レオンハルトは苦笑しつつ言った。
「嫁に出す気分だな此れは。」
「そう、上手く言えたのね。可愛いわ、エミリア。」
玲はガイストの報告を聞きながらそう言っていた。そう、エミリアを心配してガイストの一人をエミリアに付けていたのであった。そして、定時の報告を受け取っていたのである。彼女はいまだに書庫で本を読んでいる所であった。ガイストのアインが近づいて言う。
「マスター。とりあえず、この書庫内の基本的な書物は明日中には全て終えれると思われます。」
「そう。よくやったわね。恐らく、母上の感じから行くと、明日か明後日には戦が始まりそうだから、今晩で終わる事に致しましょう。」
「はっ。戦に関しては神様からご指示が?」
「そうね、基本的に高みの見物で良いそうよ。ただ、それだと私も面白くないわね。エミリアを連れてどう遊べるか考えましょうか。」
「畏まりました。」
アインはそう返事をして、元の仕事に戻っていった。玲は不敵に笑みを湛えながら言う。
「母上も楽しまれそうだしね。私達も存分に楽しみましょう。」
書庫では妖しい笑い声が響いていた。
サディルウム帝国帝都のある酒場其処にセイルは居た。其処に来ている老婆と話す為である。
「あんたがセイルかい?」
セイルにそう話しかけてくる者が居た。老婆であった。セイルが答えて言う。
「ああ、俺だ。貴女がシェレーヌ殿か?」
そう言われて、老婆はセイルの傍に腰を掛けた。そして答える。
「ああ、あたしがシェレーヌさ。で、ジェネットから何処まで話は聞いたんだい?」
「ほぼ全部だろうな。」
「そうかい、なら、あんたの意思は決まったと思って良いんだね?」
「まあ、決まると言うか、必然だな。部下を無下に死なす愚を犯す位なら一時的に反逆者と言われ様と国に楯突いた方がましと言うものだ。」
セイルがそう答えたのを聞いてシェレーヌは笑い出した。暫く笑ってから話し始める。
「ああ、済まないね。かなり腐ってた帝国でもここまでまともな台詞が聞けるなんてね。嬉しいじゃないか。今後の新国家樹立が楽しみだね。」
シェレーヌが新国家と言っているのを聞きセイルが驚きながら言う。
「新国家だと?!帝国打倒まで考えているのか、お前の依頼主とやらは。」
セイルの反応に気をよくしてシェレーヌは微笑を湛えながら言った。
「そうさね。多分、あんたでも驚愕する様な方だからね。その方が来た時は恐らく度肝を抜かれるだろうさ。まあ、時間も無いことだ、其の件は会戦が済んでから本人から聞くがいいさ。了承したと言うことで良いのなら、帝都中枢部内の速やかな鎮圧の件よろしく頼むよ。」
そう言われてセイルは答えて言った。
「ああ、任せておいてくれ。帝国軍の「切り込みのグラハム」とまで言われた俺だ。帝国内部ですら切り込んでやるさ。」
それを聞きシェレーヌは満足そうに答えて言った。
「それは有り難いね。依頼主も喜ぶだろうさ。あたしも嬉しいよ。あんたの様な良い奴がまだ残ってるなんてね。んじゃ、あたしはこれで。また今度会うとしましょうかね。」
そう言ってシェレーヌは立ち去っていった。セイルが呟きながら言う。
「賽は投げられた、か。」
そう、一世一代の大博打が、彼にとっては始まったのである。帝国に反旗を翻すと言う、大博打が。
「ただいまですわ!」
書庫に入るなりエミリアはそう言っていた。そこはエミリアの家でもなければ部屋でもなかった。しかし、今の彼女にとっては「帰る場所」なのであった。其の姿を見て玲が答えて言う。
「あら、お帰りなさいエミリア。父上にはきちんと言えたのかしら?」
「はい。了承も頂きましたわ。」
「そう。それはいいことね。では御褒美に今晩は可愛がって上げますわね。」
玲がそう言うとエミリアは赤面しつつ玲に抱きついた。そして言う。
「嬉しいですわ。私、沢山甘えさせて頂きますわ。」
そんなエミリアを見つつ玲は答えて言った。
「まあまあ、はしゃぐのは宜しいけれど、今は駄目ですよ。私もここの本を出来るだけ読まないといけませんからね。」
そう言われて、エミリアははたと気づいて玲から離れつつ答えて言った。
「あ、申し訳ありませんわ。玲御姉様、直ぐに御茶を淹れて参りますわね。」
そう言って、すたすたと走っていった。其の様子を微笑みながら玲は見ていた。
「さて、仕度はこれでいいかしらね。」
神はそう言っていた。ここは、レミアルト王都から少し離れた平野の一部、開拓もされていない一面原っぱな場所であった。神はそこで戦のために役立つ仕掛けを仕掛けていたのである。勿論ここだけではない。可能性のある場所で沢山。神ズとなって数々の仕掛けを作っていったのだった。溜息を一つ吐きつつ神は言った。
「やれやれ、ここまで面倒な事をわざわざするなんてあたしも物好きよねぇ。」
神がそう言っていると後ろから声が聞こえてきた。
「お前は優しいからそうなるのさ。」
神は其の声に振り向く。志郎だった。
「な…なんで志郎、ここに?」
神が尋ねる。志郎は苦笑しつつ言う。
「旦那が妻の元に居ちゃいけないのかな?」
そう言われて神は首を振る。そう、当然の事だ。しかし、気づかない内に後ろに立っていると言う事が驚いた原因だった。苦笑しながら志郎が続けて言う。
「相変わらずだな、お前は。俺が近くまで来たのに作業に一生懸命で気が付かなかっただろう?」
そう言われて神は赤面した。つまり、言ってる事は正しいと言う様なものである。
「あの…つまり…。」
神は何か言おうと戸惑ってしまう。苦笑して志郎は言った。
「別に、何も言わなくていいさ。神は神だ。それを俺は知っている。其れで十分さ。」
そう言って志郎は神を抱き寄せる。神は其の感覚に満足していた。
「どういうことだ?セレナ。」
惺はセレナがしようとしている事が理解できずにそう言っていた。今二人はベットにいる。セレナは薄着を纏って惺の隣に居た。
「どういう事って…。せっかく父上からもお許しを頂きましたもの。セレナも惺と愛し合いたいですわ。」
顔を赤くしながらセレナはそう答えていた。惺は答えて言う。
「済まない、セレナ。君の言う愛し合うという事が何を指すのか俺には理解出来ないんだが。」
そう言われてセレナはくすくす笑いながら答えて言った。
「では私が教えてあげますわ。惺、こうするのですよ!」
そう言ってセレナはベットに惺を押し倒した。突然の事で惺は吃驚する。
「な、何をするセレナ。う…。」
惺はそう言いかけて口を塞がれた。そう、セレナの唇によって。暫く二人はそうした後、口を離して大きく息を吐いた。そして見つめ合いながらセレナが言う。
「私が惺に教えて差し上げますわ。」
そう言ってセレナは惺の身体を弄り始めるのであった。惺が答えて言う。
「こ、此れは…待ってくれセレナ、あ…待って…うあ…。」
「うふ、何時もと違って可愛いですわ、惺。」
惺が悶える様子を見てセレナは興奮しつつそう言っていた。惺は顔どころか全身がやや赤くなりつつあった。
「あ…は…やめて…く…駄目…。」
初めて感じる感覚に身悶えしながら惺は訴えた。しかし、セレナは止めずに答えて言う。
「うふ、惺に勝てる唯一の方法を見つけましたわ。これだけはセレナが主導権を握りますわよ。」
そう言ってセレナは妖しい笑みを浮かべて惺の身体を更に弄り始めた。セレナの手が胸から次第に下に下りていく。
「ちょ…ちょっと待って、セレナ、駄目だ…そこは…ひゃん!。」
惺の反応を見てセレナは興奮していた。そして言う。
「か、可愛いですわ、惺。此れから永遠に貴女は私のもの。そして私は貴女のもの。気持ち良くなって下さいな!」
そう言ってセレナは更に惺を弄っていった。惺が叫びながら答える。
「や…やだ…何か来る。止め…あ…ああ!ああ~~!!」
全身を強張らせながら惺は快感に身を委ねてベットに沈み込んだ。それを見てセレナが言う。
「惺、可愛いですわ。其のうちこれを覚えてセレナにもして下さいませ。」
セレナはそう言って気を失っている惺に優しく接吻をしていた。
セイルは先ほどの酒場を出て何時ものメンバーが居る場所に戻って来ていた。メンバーを見渡してから言う。
「さて、ジェネットの報告した者と交渉して来た。」
セイルがそう言ったので全員は真剣にそれを聞いていた。セイルが続けて言う。
「俺は、向こうの意見を受け入れ帝国に反旗を翻すことにした。」
そう言われて、全員が喚声を上げた。暫く騒いでいたがセイルが制したので更に続きを聞くことになる。
「でだ。近日中に軍は動き出す。其の侭だと我々はまた遊撃隊として切り込み役をやらされる羽目になるだろう。しかし、今回は切り込む対象を変える。そう、帝国帝都中枢部を狙う。」
「セイル殿、方針は良いとして具体的にどうされますか?」
大柄な男が具体策を求めて具申した。セイルが頷いて答える。
「ローギュンターの言う事は尤もだ。まずは聞いてもらおうか。」
セイルはそう言って自分が立案する考えを言い始めた。其処では、活発な話し合いが行われようとしていた。
「あの…玲御姉様。此れは一体どういう事なのでしょうか?」
エミリアは事態が掴めずに居た。無理も無い、今は二人で与えられた部屋に居るのだが、エミリアは裸の状態でガイスト達に身体を捕らえられている状態だからである。
「ふふふ、可愛いわ。何が起きるか分からない恐怖に歪んでいる貴女の顔が。」
玲はそう言って妖しい笑みを浮かべる。エミリアは、何が起きるか分からず恐怖していた。そして言う。
「あ、あの…玲御姉様、一体何を…?」
くすくす笑いながら玲が答えて言う。
「さあ?何をしてあげましょうか?私は貴女を可愛がると言いましたよ。だからうんと可愛がってあげるわ。」
そう言って、玲はエミリアにまず接吻をした。甘く濃厚な接吻を。それが終わるとエミリアは目が虚ろに為っていた。
「あらあら、お楽しみは此れからだと言うのに、もうそんなに為っては早すぎますわね。」
そう言いながら今度は玲がエミリアの胸を弄り始める。其の気持ちの良い感覚にエミリアは悶えつつ言った。
「あ…ああ…い、いいですわ…玲御姉様…。」
「うふ、可愛いわエミリア。」
玲はそう言いながら手を次第に下に持っていく。エミリアは快感に身を委ねながら答えるように言う。
「は、はい…エミリアは気持ちいいのです。玲御姉様に可愛がられて…ああ…そ、其処…いい…。」
エミリアが快感に浸っていると玲は突然エミリアを弄るのを止めた。何が起きたか理解できずにエミリアはキョトンとする。そして言った。
「玲御姉様?どうしたのですか?エミリアを、エミリアを可愛がって下さいませ。」
そう哀願するエミリアを見ながら妖しい笑みを浮かべて玲は答えて言った。
「如何し様かしらね。簡単に悶えては楽しくないから少しお預けしようかしら?」
折角の御褒美が貰えなく為りそうになりエミリアは更に哀願してこう言った。
「そ、そんな…エミリアは玲御姉様が欲しくて堪らなくなっております。御願いです。玲御姉様、貴女の其の優しい手を、そして貴女全てを欲しいのです。」
エミリアは涙を流しつつ、そして快感を飢えている下の方もいやらしい液を垂らしつつ哀願していた。玲はくすくすと笑いながら答えて言った。
「やれやれ、だらしが無いですわね。床がびしょびしょに為ってますわよ。エミリアは甘えん坊ですわね。まあ、此の侭放って置くと狂いかねませんわ、お相手してあげましょうか。」
そう言ってガイストから開放させたエミリアを抱き寄せてからベットに引き込んだ。そして二人は愛し合うのであった。
「そうか。明日未明には開戦となるか。」
レミアルト国王は神の報告を聞きながらそう言った。神が答えて言う。
「ええ、ほぼ明日中に開戦となるでしょうね。既にレオンハルトが手配済みなので迎撃は問題ないわ。あたしが会戦地となる場所に全て「仕込み」もしたからね。」
そう言われて、国王は苦笑しながら答えて言った。
「相変わらずだな、アーレフが言っていた通り神殿は優しすぎるようだ。」
優しいといわれて神は顔を赤くして答えて言った。
「な!…ったくもう。お節介が多いわね。と、とにかく。侵攻作戦の為にも会戦地に帝国軍の大半を引き付けておく必要があるからあなたからもきちんと言い添えておいてね。」
「ああ、レオンハルトから報告を受けているからな。明日の出陣式の時に特にきつく命じておこう。」
国王は微笑みながらそう答えた。神がそれに答えて言う。
「有難う。ならあたしはこれで下がらせて貰うわ。これでも忙しいのでね。」
「そうだな。志郎殿によろしくな。」
国王がそう言う。神は顔を真っ赤にしつつ其処から下がって行った。其の様子を見ながら国王が言った。
「わざわざ、自ら面倒を負い、自ら手を下すか。我々の傍に来た「神」は物好きだな。」
そう言いつつ国王は笑っていた。
城の外では次に来る嵐を前に静かに風が舞っていた。
お互いの関係を確かめ合う者達、様々な思いが交錯しつつ会戦のときは近づいていた。
この戦いの行く末はどのようなものとなるのか…。
次回「Krieg「戦争」第一部」
貴方にも良い風が吹きますように。