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第一章7話  オレ2節 『まじめな話』

一章7話予告編動画

https://youtu.be/WypWGFoB5Ak

 気だるい日中の光が降り注ぎ、生徒たちの何とも言えない空気感が教室を支配している。

 もっとダルそうな子供先生ベルリベッゾが教壇にて溶けるように講義をしていた。


「でぇ~、努力の範囲で通常の人類に使えるのが第六階位までとされているのだぁ~。第七階位以上のというのは魔法という分類を超えてぇ【異能】と呼ばれてるのだぁ~」


 この学園フロディス・ティーリオは魔法使いエリート養成校。

 一年240人、二年120人、三年60人と学年が上がるにつれ人数が半分になっていく。

 ――その理由。

 それは進級試験と退学というシステムだ。進級するにあたって半分の生徒が脱落していく。

 さらに、学園に退学という概念があり、不祥事を起こした生徒は学園から排除される。

 後者については一般的なものだと思われがちだが、それは違う。


 この学園は、卒業後に向けて成績も重視されるが、政治的な手腕や立ち回りも評価された。

 つまりは弱肉強食の世界である。

 生徒たちは成績も含め、コミュニティや友好関係、誰と付き合って、誰と付き合わないかが求められるのだ。

 いわゆる派閥である、当然学年が上がれば上がるほどその実態は浮き彫りになり、成績優秀者でも浮いてしまえば学園から切り捨てられてしまうのである。


 そしてその生徒たちの頂点に立つ存在があった。

 ――生徒会である。

 その特別の中でも生徒会長は更に別格で、事実上全ての学園組織やルールに口出しができ、全てを知ることができる。

 学園の支配者といっても過言ではない。

 更に、どこにいるかもわからない学園長とも面会が許されているのだという。

 現生徒会長のルーカス。通称【七色の光冠(ジ・オーレオール)】。

 彼は卓越した個の能力と、強烈な指導力をもってしてこの学園を瞬く間に支配した。

 その手腕は強硬策をも厭わない苛烈なもので、当然反発も多かったがそれら全てを退け生徒会長に成り上がったのだ。

 強烈な政治により学園が一定の秩序を持っていたのも事実であるが、急速な変革は歪を産み、退学者が多く出る結末となった。

 つまり退学というのは学園側のシステムではなく、生徒側のシステムでもあったのだ。



………

……



 「ふざけるな! エタンセルをよこせだと?」


 生徒会室にて直訴している男子生徒――ガスパルが騒いでいた。


 無表情で指を組み対面に座るのは、ルーカス生徒会長その人である。

 アスリートのように鍛え上げられた筋肉が、制服の中ではちきれんばかりに主張していた。

 ブロンド碧眼、その精鍛な顔つきは、本来美青年と言っても過言ではないはずだが彼の苛烈な人生経験の賜物なのか、厳しさや威厳というものが存分に刻み付けられている。


「あれは俺が二年間貯めた全財産で買ったんだぞ! 俺の人生の全てなのに!」


「まさに豚に真珠というもの、君のような凡夫には手に余るものだ」


 必死な弁明も無下にするかのように、ルーカスは無慈悲に返答する。

 その無表情の中に感情は見えない。


「これは君にとってもチャンスなのだよ。あれを生徒会に売る事で、君の成績不振には目をつぶろうというのだからな」


 ルーカスが席を立ちあがり、表情を緩める。


「悪い話ではないだろう、な?」


 不気味に微笑むその顔には、通常の人間のそれではない何か薄暗いものが灯っていた。

 ガスパルは一瞬恐怖を覚えながらもなんとか反抗する。


「悪い話って、評価額の半額じゃねーか!」


 ルーカスは静かに表情を元の無表情に戻すと、腕を後ろに組んだ。

 ガスパルに背を向け、窓の外を見つめる。


「では何かね、なりたいのか。退学に」


「退学には……なりたくはない……」


 退学という言葉が出た瞬間、ガスパルの勢いは衰える。

 その言葉を聞いたルーカスが振り返り、今まで見せていなかった強硬な感情をむき出しにした。


「そうだろう。であれば、私に服従してもらうぞ!」


「くそっ……くそ……俺に力があれば……」


 ガスパルは己の立場を理解し、ただうなだれるしかなかった。


「ちっぽけなお前に力などない。だから、そこにぃ! 地べたにぃ! 私にぃ! ひれ伏しているんだ!!」


 顔を激情に歪め、ルーカスがガスパルに近づいてくる。


「お前は……いやこの学園の生徒はな。全員私の……奴隷なんだよ」


 最後は耳元でささやくように、強烈な殺し文句を呟く。


 どうにもできない、どうにもならない、どうしようもないこの現実に男子生徒はめそめそなきながら書類にサインをしていく。

 その様子をルーカスはただ無表情で見下ろしていた。






                ◇◆◇◆◇◆◇






 青々とした空が澄み渡っている、木々も枯れ始め。冷たく清爽な空気が冬の訪れを告げていた。


 バカップル男ことジンク、バカップル女ことキリエ。

 この二人はあの後無事逃げおおせ、キリエの親友退学事件の背景を洗っていた。

 もみ消されたと思われた事件だったがその中で一人、当日の警備をしていた男子生徒が何かを見ていたという情報を元にここまでやってきたのである。


 学園の中でも外れにあたる休憩所、自販機が並ぶそこに一人の男子生徒が立っていた。

 この世界の生活水準に対して自販機のような機械はあきらかにイレギュラーであり、技術水準が高すぎる。

 オレは学園にやってきた当初、強い危機感を抱いたものだ。早く何とかしなくては。


 オールバックで目つきが悪い、いかにもな男はじっと自分の財布の中を見つめていた。


「あの、すみません。ルゥガ先輩ですよね?」


 キリエが遠慮気味に声をかける。

 見るからに問題児が相手だ、今後どうなるかはわからない。

 少なくともはいこうですよと、優しく教えてくれるわけはないのは想像がついた。


「あ、なんだよ。誰だよ。お前たち。最近気温が低くて寒い寒い。俺は財布が寒い寒い。Yeah!」


 突然のラップ調に戸惑うキリエだったが、彼女がラップという文化の存在を知る由もない。

 少したじろぎながらも返答する。


「……私たちはもみ消された生徒の退学事件を追っているのです。否定しないということはルゥガ先輩で合ってるんですね」


「おうおうおう。俺の事を誰から聞いたわからんが、俺はただのルゥガ先輩わからんか? そこん所ろしくゥ!」


 ノリのいいリズムで決め顔になり、両手を使い見下ろすようにキリエを指さす。

 そのふざけた様子にキリエは苛立ちを感じ、青筋を立てながら固く話した。


「あの、そのダジャレみたいな話し方辞めてもらっていいですか? こっちはまじめな話をしているんです」


 オレは思案する。

 明らかに軟派な態度のこいつは、真面目なキリエとどう考えても相性が悪い。

 今後の交渉に余計な争いは不要なのだが、既に火がついてしまっている。

 どうしたものか。


「はぁ~~、なんだよつまんねーじゃんか。お前らもそうなのか? これはな、ダジャレじゃないの、ラップって言って男の魂のリズムなンだYO!」


 下調べした所、ルゥガは学園の中でも曲者で名を馳せている。過去に不祥事を起し、風紀委員長を解任されられたという経歴を持つ男であった。


「もうどうでもいいですから、兎に角話を聞いて下さい」


 キリエが目をつむり、半ば呆れた様子で声を声を上げる。


 ――まずい。

 オレはルゥガの不穏な気配を感じ取り、間に入った。


「キリエ、気持ちはわかるが……」


 しかしオレの言葉を遮り、ルゥガが声色を変える。どうやらルゥガの逆鱗に触れてしまったようだ。


 「さっきからなんなん? バカップル女。大体よぉ……そっちの男、なんでカウンター魔法起動してンの? それが人に物を頼む態度なの? マジリスペクトないんじゃないですかね?」


 オレはすなおに感心する。

 カウンター魔法にはももちろん阻害魔法をかけてある。

 よくよく観察しなければ気づけないレベルになっているはずだ。

 学園にやってきてこれに気が付いているそぶりをしたのは、ベルリベッゾとかいうチビ先生と何人かの有力な生徒達のみ。

 ――この男油断できないな。


「話を聞いてくれ先輩。オレたちはただ退学事件の話を聞きたいだけで、他意があるわけではないんだ」


 オレは無理やり会話の軌道修正を試みる。


「あーはいはい、アレね。あれ……あれの話かよ!!」


 男は突然烈火の如くに怒り出す。

 この男のツボがどうにもわからない、曲者と聞いてはいたがまさかこれほどまでとは。

 流れを完全にリードされ、オレは今後の展開を掴みきれない。


「思い出したらムカムカしてきた! さっきまでムカついてたけど! もっとだ!」


 意外な着火にキリエは狼狽している。


「お、落ち着いてください先輩……!」


 ルゥガの軟派な態度にキリエがイラついたのは事実だが、このような会話の流れになるとは想像もしていなかった。

 彼女の中にある対人パターンから大きく逸脱した彼に、どうしていいか判断がつかないようだ。


「じゃあよ。それならよ。俺らぁ、ぷんぷん丸だからよ。やつあたりさせてもらうぜ? 俺がその気になったら事件でもなんでも話してやらぁ……!」


 突如としてルゥガは魔力を高ぶらせる。

 戦闘態勢を取り、闘気と共にそれを二人に向けたのだった。

 鋭いそれは、冗談のそれではなく暴力と危険に満ちており二人は驚きながらも身構えざるを得なかった。

 ――この男やる気だ。


「だっしゃぁッ!」


 景気よくルゥガが突進してくる。


『唸れ俺の拳ィ!』


 その強化魔法を見て、オレはカウンター阻害魔法を解除し魔力を防御に充てる。


『我を守れ。』

『魔力の盾よ。』


 単純明快な第二階位魔法ダブルアクション、シンプルがゆえに強靭だ。

 構えた盾にそのまま愚直に突っ込んできたルゥガは、魔力を乗せた拳で盾を殴りつける。

 衝撃。


「軽い!」


 受けた衝撃は明らかに弱く、これが布石だという事を即時に理解する。

 ――どう来る?


「きゃぁ!」


 横から聞こえたのは、魔法による衝撃音とキリエが吹き飛んだ音。

 何かの魔法を詠唱していたキリエは、何故かルゥガからの魔法を受け吹き飛ばされていた。

 そもそも今現在ルゥガはジンクを殴りつけていたはずである。


 何をしたんだこの男、あまりにも次の魔法発動までが早すぎるぞ。

 いやそれよりも、そもそもこのまま殺し合いにでもなったら元の木阿弥だ。

 冷静に一度深呼吸をすると、オレは思案する。


「(このタイプは上下関係やスジを重視するタイプだと見た)」


 直後オレは覚悟を決めると、盾を解除してまっすぐにルゥガを見つめた。

 ここはオレの誠意で収めて見せる。


「なんだぁ? 何をする気なんだ? 遅いけどなァ!」


 魔力による身体ブースト込みでルゥガが突っ込んできた。

 オレはしっかりそれを見据え、そしてそのまま……殴られる。


 バギィ!


 おいおいおい、いいの決めさせてくれるじゃねーの。これは頬骨はいったぜ。

 内心冷静に観察しながらも、ルゥガは手を休めない。

 殴り抜けた後そのまま体を切り返し、密着した状態からジンクの肩をつかみ、腹に膝蹴りを入れる。


 ドグゥ!


 もちろん魔力込みである。

 ――これはガチだぜ。

 せき込んでゲロ吐いて、内臓がびびってしばらく動けねぇぞ。

 ルゥガは勝ちを確信し、先ほどの苛立ちが引いていくのを感じ始めていた。

 しかし倒れたバカップル男はまるで攻撃など意に返さないように、ゆっくりと立ち上がる。


「おいお前不死身かよ、間違いなくダメージは入ってンぜ?」


「お願いします。オレたちの話を聞いて下さい」


 実直にルゥガの目を見つめ、ジンクは頭を下げる。

 その様子を見たルゥガは関心し、既にすっかり怒りが収まっているのを自覚していた。

 今や冷静に、このケンカの落としどころを探していたのである。


「はぁーお前そりゃないだろここまで来て話を聞けって、それじゃあよ」


 ニヤついたルゥガが、魔法陣を展開する。


「これをお前が耐えたらいいぜ? こっちを舐めたそのノーガード、いつまで続けられるかなァ!?」


 魔法陣に強大な魔力が込められていく。

 オラ、殺傷用のガチ魔法だぜ。これ食らったらお前死ぬよ?

 オラガードしろよ、ビビれよ。ビビれ!


 それは膨れ上がり、誰が見てもそれは致命的な威力を放つという事はあきらかだ。

 例え魔法と言う概念を知らない者が見たとしても、その強烈なものに死を感じただろう。

 魔力は増大し、増える増える増える、そして溢れ……!


 ギィン!


 その瞬間激しく鋭い音が響き渡る。

 これは魔法と魔法がぶつかり合った音だ。


 キリエが飛び蹴りをルゥガの頭に放ったのだった。

 しっかりと足には第二階位の魔法が付与されており、魔力の刃となった蹴りは殺意の込められたそれである。

 本来であれば、既に魔法陣を展開していたルゥガがそれを防ぐことはできない。

 しかしまたもや、展開された魔法――新たな障壁魔法により防がれたのだった。

 激しい魔力のぶつかり合い、その飛び散った魔法の残滓が周囲を照らす。


「きゃぁあぁぁッ!?」


 ――爆発。

 丁々発止と火花を散らす二人だったが、攻撃を受け止めていた魔法陣が爆発しキリエが再び吹き飛ばされる。


「ひ、ひっひっひ。あーはっはははは! 面白れぇ! 久々に死ぬかと思たぜ!」


 ルゥガは額に手を当てて大笑いしている。何が面白かったのかどうやら矛を収める気になったようだった。

 笑い声と共にルゥガの魔法陣から魔力と殺気が抜けてゆく……。


「おいスカシ野郎! ノーガードで誠意を見せたつもりか? 殴られても倒れず、最後の最後までビビらなかったなオマエ。そして女ァ! 俺様じゃなかったら死んじゃうだろあれ! でもまァ殺す気でってのは悪くねぇ……悪くねぇぞ!」


 このタイプは、格付け付けしたがる典型的な俺様リーダータイプ。勝っても負けてもだめだ、ほどよく戦って負けなくては。その上で認めさせなくては。

 オレはルゥガの戦意がない事を確認し、安堵するといつものように首を鳴らした。


「ぁあ、まぁふぅん……まあ合格だ! 面白れぇ!」


 楽しそうに味わうように、目をつぶったジンクは笑顔をかみしめている。

 そしておもむろに二人を指刺した。


「Yeah! お前ら、なかなか不遜なやつらだぜ だけどなかなか非凡な奴らだぜ なんかひと悶着 なんとかひと段落 話を聞いて、やろうじゃねーの 相談乗って、やろうじゃねーの」


「そのラップ。本気で不快なんですけど……」


 吹き飛ばされたゴミ箱群の中で、頭からゴミを被ったキリエがうめき声を上げていた。



………

……



「改めて言うが、オレたちは退学者事件のもみ消しを探っている。あんたが当時警備をしてたという事もわかってるんだ」


 散らかした休憩所を三人で片づけた後、そのままベンチに座り込み話をしていた。

 オレだけは一人立ちながら二人を見つめている。


「そうだな、正直教えられないってのが本音の所だ。俺は学園側からだいぶきつい戒厳令食らっちまってるからな」


 ルゥガは顎に手を当て渋い顔をしている。

 すかさずキリエが声を上げた。


「待ってよ! さっきは話を聞いてやるって……!」


 その言葉を遮るようにルゥガが手を伸ばし制止する。


「そっちこそ待てよ、物事には順番がある。もちろん相談にのってやってもいいぜ。ただし条件が二つある。」


 二本指をたてながら、ルゥガはニッとニヒルな横顔で笑う。


「条件として、まず俺様を生徒会長にしろ。具体的には俺の応援会に入れ」


「なんですって? ちょっと話が広がりすぎてるわ。応援会って選挙が終わるまで先輩をサポートするってことじゃないの!」


 キリエは声を荒げベンチから立ち上がり、抗議するように拳を握っている。


「おいおい、だから話は最後まで聞けって。せっかちガールちゃんよ。まじめな話(・ ・ ・ ・ ・)なんだろ?」


 この女はさっきの事を繰り返す気か?

 直情的ですなおなのは美徳だが、柔軟さや相手に寄り添った思考にかけるな。

 オレはキリエを制した。


「キリエ、まずは先輩の話を最後まで聞こう」


「うぐ……わかったわよ」


 オレの言から自身の発言が幼稚だった事を自覚したのだろう。

 キリエは肘に手をまわし腕を組み、少し拗ねたように顔を赤らめた。


 親友の退学という事件にいてもらってもいられず、その答えが今目の前にあるというのにすぐ得られない。

 そのような状況に勇み立ったらしい、思春期特有の不安定だろうか、正直理解に苦しむ。


「さて、今の生徒会の現状と今後を説明しよう。我らが完全無欠の生徒会長ルーカス様は知ってるな?」


 ルゥガが指をならし、空気を切り替える。


「ああ」


「そうね」


 現ルーカス生徒会長といえば超強硬策で有名だ。退学という手段でライバルを蹴落とし、学園との対立も辞さずに確固たる地位を築いた本物の実力者。

 この学園をルーカス一色にしたエリート中のエリート様、その統制された学園はほとんど派閥争いも起きないようなルーカス一強の時代となっている。


「奴は二連続当選を狙っているんだ。それを俺は止めたい」


 ルゥガは苦虫を嚙み潰したかのような顔をする。


「どういうことだ、生徒会長の任期は一年。というようりも会長は三年生だ、今年度で卒業だろう」


「いい疑問だ、やっこさんは二人乗り(タンデム)政権狙いなのさ。会長様の息のかかったというか、最早口の中にはいってるなありゃ。まぁとにかくコガミって野郎が次の会長選挙にでるのさ」


「現会長の思想を継いでいるって事かしら?」


「いや、そうじゃねえ。次の生徒会役員選挙管理委員会の会長を知ってるか? ルーカスとズブズブの奴がやるそうだ。つまりだ、奴は自分の息のかかった二番君を、次の生徒会長にするために、自らが選挙を管理するっていう話だよ」


 その説明を聞き、再びキリエが荒ぶる。


「ちょっと待っておかしいでしょう! なんで次世代の生徒会長選抜に、現生徒会長が介入できるのよ!?」


「お前、俺をどんだけ待たせたいんだよ……」


 ルゥガが呆れたかのように苦笑する。


「まぁそりゃ無敵のルーカス様だからな。奴は自分の権威の為なら平気でそういう事をする男なのさ。結論としてはやつは卒業後もこの学園を外から操りてーって話だ」


「つまりそれを阻止するため、先輩は生徒会長になる。そのための支援をオレたちにやらせたいわけだな」


「そーゆー事。時期は公開演説まででいい、俺にはとにかく人手が足りねぇんだよ」


「数ヵ月あなたと一緒に過ごす事になるって訳ね……」


 キリエは不承不承といった声色で、腕を組むと現状の流れを今一度整理吟味している。


「俺だって、秘匿情報をお前らに教えるってのは退学レベルの危ない橋なんだ。お友達について知りたいんだろ? だったら俺様の下につきやがれ!」


 ルゥガはニヒルな笑いと共に、オレ達を両指差する。


「……やるしかないようだな」


「ちょっと! あなた勝手に決めないで」


 オレの即断にキリエが止めに入る。

 今後の学園生活に大きくかかわるような選択だ、無理もない。


「これしか情報の筋がない、だったらやるしかないだろ」


 オレはキリエの肩に手を置き、“その気”にさせる。あの晩のように。

 どうせ本人の中では決まっているのだ、その結論を出すのにさっきのやり取りがプライドとして邪魔をしているだけだというのをオレは看破していた。


「っは! 見た目はスカし野郎なのに、かなか男気あるじゃねーのよ。ますます気に入ったぜ」


「はぁ……わかったわよ、やるしかない。やるしかないのよキリエ」


 どうやら効果ありのようだ。

 諦めたかのようにため息をつき、キリエは自分に言い聞かせている。


 それに事件を追うだけではおそらくオレに必要な情報は手に入らない。

 まずルゥガを生徒会長する、そして――。


「ところで、条件は二つって言ってなかったかしら?」


 キリエの発言に俺の思考は止められた。


「おお、流石よく覚えてたな。俺よぉ今月金ないんだわ悪いけど、コーヒー奢ってくれたらうれヒー……なんちゃって」


 ルゥガは謎の茶目っ気を出し、ぺろりと舌を出す。


「後輩にタカる、生徒会長立候補者って……」


 キリエは呆れたようにため息交じりに目をつぶり、がま口を開いた。






■魔力の階位について。

・第1位階位 

指向性を持った魔法行使が可能だが、ほとんど実用レベルではない。魔法以外の手段で簡単に実現可能なレベル。


・第2位階位 

実用レベルの魔力行使が可能。インスタントなものが多く需要が高い。


・第3位階位 

詠唱魔法においてのレギュラー。消費、威力、範囲、汎用性。全てにおいて王道とされる。


・第4位階位 

より強力で広範囲もしくは特化した魔法が行使可能。非常に高いコストをかければ魔法なしでギリギリ再現可能レベル。


・第5位階位 

常人の努力による限界点。魔法以外では再現不可能な術を行使できる。


・第6位階位 

通常魔法における頂点、秀才天才のみ獲得可能な超強力魔法。


・第7位階位 

個人のパーソナリティに依存した他人には再現不可能なもの、通称異能力と呼ばれる。絶対数が少ないため、一般的にこれ以上は明確化されていない。

読んでくれてありがとうゴブ!

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反応があると、とってもうれしーゴブ!


生徒会役員選挙管理委員会の会長!

生徒会役員選挙管理委員会の会長!

生徒会役員選挙管理委員会の会長ゴブよぉ!

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― 新着の感想 ―
[良い点] ルゥガさんも、とても魅力的で個性的な良い登場人物でした。キリエちゃんの空回りも可愛いもので、ジンクやルゥガにあしらわれているようにも見えましたが、面白かったです。 [一言] 学園と生徒会選…
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