バイクで事故った話 ~なんともなかったのは本当にただの偶然~
皆さん、事故を経験したことがあるでしょうか。
私はあります。
今回はバイクで事故った時の話。
つっても、さして悲惨な事にはなっておらず、入院もしてないし骨折もしておりません。
ただし偶然が重なった結果だったので、もしかしたら私はこの世にいなかった可能性もあります。
警鐘をならすため……なんて大層な目的はございませんが、最後までお付き合いいただければ幸いです。
私がバイクに乗り始めたのは21歳のころ。
友人の影響でした。
かっこいいバイクの後ろに乗せてもらった経験から、私も彼のようにバイクを乗り回してみたいと思い、勢いで教習所へ申し込みに行きました。
休みの日に教習所へ行って乗り方の練習をしていたわけですが……全然、上達しない。何度も落としてしまいました。
スラロームが特に苦手で、試験前にお金を払ってそこだけ練習させてもらいました。
んで、何とか免許を取得したわけですが……。
残念なことに初めて買ったバイクは車との接触事故が原因で廃車。
ぶっちゃけ、この事故については、廃車にはなったものの私は無傷で済んだので、さして話すこともないんです。保険の関係では結構もめましたが。
廃車になったのはネイキッドタイプのバイクでしたが、正直私は持て余していました。
休日に乗ると言ってもチキンなのでさほど遠出はせず、近所を乗り回すだけ。保険料も高く、維持費に見合うほど乗れていたかと言うと微妙。
基本的に通勤で使うだけでした。
なので、次は原付でいいやと言うことで、原付二種のスクーターを購入。
荷物も多めに積めるので便利で重宝していました。
で……問題の事故の話なわけですが。
今回は前のバイクを廃車にした事故ではなく、このスクーターで事故った時の話をしたいと思います。
とある朝、私は通勤のためにバイクを走らせていました。
現場は見通しの良いまっすぐな道路。
時速60キロ(原付二種は60キロまでオーケー)で走行していると、前の車が急にブレーキを踏んだんですね。
車間距離は20メートルほど空いていたと思います。
すぐに反応すれば十分に止まれる距離でした。
ですが……当時の私は疲れていて、さらにはまっすぐな道路だったこともあり、完全に気を抜いて運転していました。
決してよそ見をしていたわけではなかったのですが……。
ブレーキが間に合わず、そのまま転倒。気づいたら歩道に倒れていました。
「きみ! 大丈夫⁉」
前を走っていたドライバーは親切にも私を気遣い、助けに来てくれました。
割と普通のおじさんだったと思います。
前の車がブレーキを踏んだのは、道路沿いにある会社に入るため。そこの社員さんだったようです。私が倒れているのを見て、会社から社員の方がゾロゾロと現れ、大事になってしまったと気が動転。
バカなことに、私は大丈夫だと言ってその場を離れることにしました。
……突っ込みどころが多すぎますね。
時速60キロって言ったらよっぽどの速度ですので、何かに衝突すればタダではすみません。即死もあり得る。
しかし、私は何にもぶつからなかった。
偶然ですが、障害物になるようなものが何もなかったんですね。
その道路にはガードレールがなく、電柱が等間隔で立っているだけ。歩道も広くてまっ平。
転倒した私は何かに衝突することなく、そのまま歩道へと投げ出され、スーパーマンのような態勢でスライディングする形で着地したのです。
受け身を取ったわけではないのですが、着地の衝撃は大したことがなく、衝撃のほとんどを受け流すことが出来ました。
これは私が特殊な訓練を積んでいたとかではなく、ほぼ偶然です。
さらに運が良かったのは、歩道には誰もおらず、後ろから車も来ておらず、私が飛び出した方向に電柱も標識もなく、歩道に何も落ちておらず、怪我をするような要因がほとんどなかったことです。
加えて、当時冬だったこともあり、しっかりと着こんでいたので、直接地面と肌が接触することはありませんでした。着用していたヘルメットもフルフェイスだったので顔や頭へのダメージもなし。
あまりに幸運が重なりすぎて怖いくらいです。
身体を起こした私は、右腕が痛むものの、足と左腕は普通に動かせた上に、大した出血もしていないと分かって安心してしまいました。
また、問題なくバイクのエンジンがかかったので、私は自力で起こして、そのまま会社へ向かって走り出してしまいました。
……馬鹿だなって思います、本当に。
そのまま出社したわけですが……大遅刻になってしまい、怒られると思いました。
ところが会社の人たちは私の姿を見て真っ青になり、何があったのかと問いただしました。
もちろん、正直に言いました。
通勤途中でこけたと。
滅茶苦茶怒られました。
そして、すぐに病院へ連れていかれました。
診断の結果、右腕に全治2週間の打撲。
あと擦り傷が数か所。
あれだけの事故だったのに、この程度の怪我で済んだのは奇跡としか言いようがない。
にもかかわらず、当時の私はさして深刻には考えておらず、次の日も、その次の日も、痛む右手をかばいながらバイクで出社しました。
……一週間くらい休めよ。
右腕はしばらく痛み、2週間ほど包帯を巻いていました。今思うとあまり不自由してなかったと思います。割とすぐに痛みも引いたので、すぐに包帯を外して元の生活に戻りました。
さすがに、それからしばらくは慎重に運転をしていたのですが、トラックに巻き込まれたり、砂利で滑ってこけたりと、何回か危ない目に合いました。
それでも私は元気です。
……本当にタダの偶然ですね。
今回の話で、特に意味のある考察などはないのですが……。
とにかく安全運転を心がけようって話です。
当時の私は経験不足でしたが、んなもん言い訳になりません。
もしあの時、電柱や標識にぶつかっていたら……命はなかったでしょう。
助かったとしても後遺症が残ったはずです。
事故は怖い。
でも、怖いのは車でも、バイクでも、障害物でもなく……。
無知だった私自身なのだと思います。