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第8話「見えない気持ち」

生徒会が終わり、帰り道。

 麻友と夕陽は一緒に、行動していた。

 優芽はというと、麻友たちの前にいて。


「こんなことしたらダメだよ、夕陽」


「いいのよ、だって、優芽が一人で帰るなんて初めてなんだから。何処に行くのか知っておく必要があるわ」


 これではまるでストーカーだ。

 あまりいい気分のようなものじゃないので、私は、止めたくてしかたなかった。

 止めればすむことなのだが、またもや、夕陽に逆らうことができずで、一緒に行動していた。


「一体、何処に行こうとしてるんだろ」


「それが分かれば苦労はしないわ。さぁ、行くわよ」


 嫌々、私は優芽を尾行する。

 どうやら、食材の買い物ではないみたいだ。

 だんだんと都会の街に向かい、女の子が喜びそうな、雑貨店とかを見て回ってる。


「誰かのプレゼントかな? それとも自分の為にとか」


「プレゼントですって!? あの優芽が、他の誰かに――」


 夕陽は血相を変えた。

 もしかして、妬いてるのかなと思ったが、どうなんだろう。


「あ、移動したよ。行こう」


 もう、こうなったら、最後まで付き合うしかない。

 私は覚悟を決めた。

 夕陽と一緒に移動すると、またもや、お店の前で止まった。

 どうやら、アクセサリーショップのようだ。


「あのようだと、やっぱり誰かにプレゼントだね」


「はぁ、もういいわ。帰りましょう」


 どういう展開か、夕陽は最後まで見ようとせず、帰ろうとした。


「え、最後まで見るんじゃ」


「気が変わったのよ、別に、誰にプレゼントしようが気にしてないわ。ふふ」


 これは気にしてるなと思った。

 案外、可愛いところもあるんだな。

 恐らく、これを言ったら、夕陽に縛られるだろう。

 なので、心の中にそっとしまっておいた。


「そういうなら帰ろうか」


 麻友も夕陽も帰ろうとしたその時、誰かが、優芽の前に現れた。

 それと同時に、帰ろうとしていた、麻友と夕陽はまた同じ体勢に戻った。


「あれは――」


「確か、純光女学院の麗華とか言ってたわね」


 私より先に夕陽が答えた。

 

「あぁ、ツインテールの」


 ツインテール、私は、横にいる夕陽を見た。


「何かしら」


 とげとげしい目で私を見た。

 彼女もツインテールなのだ。

 だが、麗華と色が違う。

 彼女のは赤で、麗華は黄だ。


「いや、何でも」


「あなた、あの子と同じツインテールがいて、どうしてそんなにいいのか思ったわよね」


 ギクッ、図星だ。


「そうじゃなくて、ええと、はい――」


「ふっ、無理ないわ。同じ髪型の子が二人もいては」


 お、珍しく、お仕置きはないのかと安心してると、夕陽はその場から飛び出していた。


「え、待ってよ」


 私は慌てて追いかけた。


「あなた確か、高持女子高の生徒会にいた子ね。名前はええと」


 黄色いツインテールをした麗華は、考える。

 名前を思い出してるようだ。


「青空優芽よ、覚えておきなさい、麗華。それとあなたの名前を覚えておいたことに感謝しなさい」


 いきなり、そう夕陽は言った。

 どんな時でも、夕陽は、Sだ。

 そして、麗華の後ろに、優芽は、止めて欲しい表情になっていた。


「あなたたちは!? 生徒会のメンバーが揃ったのね。卑怯者、私を人質にして純光の弱点を知るなんて、百年早いわよ!」


 ビシッと、人差し指を私たちに向けた。

 どうやら、こんな場所でも、ライバルだと思ってるらしい。


「何を勘違いしてるのか分からないけど、そう思ってないから」


「うるさい、私は負けないんだから」


 私が説明をすると、麗華は熱く燃えていた。

 すると、そこに優芽は止めに入った。


「みんな止めて! 違うの!」


 大きい声を出したので、私たちは話し合いを止め、優芽に注目した。

 涙目になり、ものすごく何かを伝えたい感じをしていた。


「優芽――」


 夕陽は名前を優しく呼んだ。


「夕陽、違うの、これは。私、たまたま麗華ちゃんと合って、相談に聞いてもらってたの」


 優芽のその言葉に、私と夕陽は、確認するため麗華を見た。


「な、何よ」


「それ本当なのかしら? 麗華」


 夕陽は真剣に聞いた。


「ま、まぁね、あまり答えになってあげられなかったけど」


 事実を確認すると、夕陽は、優芽を見た。


「でも、相談なら私にすればよかったでしょ? どうして麗華なんかに」


 なんか、と言われたのが気にさわったのか、微妙に表情が強張った。


「それは――夕陽に相談できないことだったから」


「私に相談できないこと? 私じゃ頼りにならないってことね」


 このままでは喧嘩になる、何とか止めないとと思ったが、時は遅く。

 夕陽はその場を走り出してしまった。


「あ、夕陽!」


 私は強く名前を呼んだが、夕陽は振り向きもせず、行ってしまった。

 残された優芽は、泣きそうな顔をしていた。


「何だかすごいことになったわね、ごめんなさい。私は行くわ」


 麗華は謝ると、夕陽と違う方向に行ってしまった。

 とりあえず、私は優芽を落ち着かせようと、近くの公園のベンチに座らせた。


「大丈夫?」


「うん――」


 ハンカチを優芽に貸してあげた。


「夕陽も夕陽だよね、あまり話を聞かないで行っちゃうなんて」


「ごめんね、迷惑かけちゃって」


 謝ってきた。

 私は迷惑とか思ってなかった。

 

「ううん、迷惑じゃないよ」


「本当に?」


「うん、ほんと」


 安心できるように、私は、優芽に優しく微笑んだ。

 すると、その行動に安心してくれたのか、優芽も落ち着いてきた。


「よかった。私ね、夕陽にプレゼントしようと思って、今日見てたの」


 落ち着いてくると、優芽は、今日あったことを話してくれた。


「プレゼント? もしかして、誕生日?」


「うん、明後日、夕陽の誕生日で。それで見てたんだけど、どうやら、自分の誕生日のことを忘れてるみたいね」


 確かに、夕陽は忘れてるみたいだ。

 そんな感じがしていた。


「そうみたい」


「ねぇ、プレゼントは買えたの?」


「まだなの、買う前にあんなことになっちゃって」


 ひどく落ち込んでるようだ。

 慰めてあげたいが、私がしても、優芽は百パーセント元気になってくれないだろう。

 やはり、夕陽がしてあげないと。


「よし! なら、私も協力するよ」


「え、協力?」


 協力といっても、一緒にプレゼントを考えることだけ。

 できるのであれば、仲直りもさせてあげたいが、それは私にすることではなかった。


「そう、一緒にプレゼントを考えてあげようと思って。あ、でも、仲直りは優芽が自分でしないとダメだよ」


「分かってるわ、優しいのね、麻友」


 私は少し照れた。

 

「友達で同じ生徒会の仲間だからね、当たり前のことだよ」


「ありがとう。私、絶対に夕陽と仲直りするわ」


 真っ赤な夕陽に照らされながら、優芽は、心に強くそう決めた。

 

「頑張って、応援してるよ」


 私にできることは応援し、温かく見守ること。

 あとは、プレゼントを一緒に考えてあげることだった。

 

 私たちは、公園で話し終わると、夕陽と喧嘩したあの場所に戻ってきた。

 どうやら、優芽はあのお店が気になってたようだった。

 お店の中には、可愛いキーホルダーや、ペン、ノートなど女の子が使いそうな物が置かれていた。


「それにするの?」


 優芽がある一つの商品の前に止まり、見つめていたので、声をかけた。


「分からないの――」


 見つめていた商品から少し視線を落とす。


「私、夕陽と仲良くなって、二か月経って。今でも、あの子がどんなものが欲しいのか、何が好きなのか、分からないの」


「え、聞いてみたりしたの?」


「もちろん、でも、夕陽は教えてくれなかった。私が聞いても、いじわるばかりされて」


 あの夕陽のことだ、もしかして、焦らしてるんだろうと思ってみたが、何か理由でもあるのだろうか。


「そうなんだ」


 このまま悩んでいては前に進めない。


「ねぇ、きっと、何を買っても喜んでくれるよ」


「本当に?」


「うん、私が保証する」


 笑顔で答えた。

 そして、優芽が見つめていた商品を手に持ち、それを渡した。


「だから、頑張ろう。ねっ」


「――そうね、麻友の言うとおり」


 優芽も微笑んだ。

 商品をレジで計算し、買い物が終わると、お互い別れた。


 そして、夕陽の誕生日の日。

 最初は来ないと強く意地を夕陽は張っていたが、何とか、説得をし来てくれた。

 私はそっと、木の裏に隠れて、様子を見守った。


「――それで話って何かしら?」


 夕陽は赤い夕陽に照らされながら、強気で聞いた。


「あの、前のことはごめんなさい。どうしても夕陽には言えないことだったの」


「誰にでも言えないことがあると思うわ、でも――私は少しでも優芽の力になりたかった」


 切なそうな、そんな感じを、夕陽は見せた。

 あの悪魔でSな夕陽がこんな表情を見せるのは、初めてなことだ。


「ごめんなさい、でも、今なら言える。今日がこの日だから」


 優芽は気持ちを落ち着かせて、後ろに隠し持っていたプレゼントをぎゅっと握りしめた。

 そして――。


「お誕生日、おめでとう。夕陽」


 そういい、プレゼントを夕陽に渡した。

 渡された夕陽は、きょとんというような、顔をしてる。


「これって」


「誕生日プレゼント。この前、夕陽に渡すプレゼントで麗華ちゃんに相談していたの」


 本当のことを聞かされた夕陽は、納得した。


「そうだったのね――」


「もしかして、プレゼント嫌だった?」


「いえ、とても嬉しいわ。ありがとう、優芽」


 お礼を言われると、優芽はとびっきりの笑顔になった。

 やっぱり、私ではこんな笑顔を導き出せない。

 夕陽でないと。


「よかった」


「ねぇ、開けてもいいかしら?」


「え、は、恥ずかしいよ」


 少し赤く頬を染める優芽。

 それは夕陽のせいなのか、区別がつかない。


「優芽がくれた物は全て見たいのよ」


「うっ、す、少しだけだよ」


 恥らっていう優芽に、夕陽はつぶやいた。


「ええ」


 そして、プレゼントを少しずつ開けていく。

 すると、中には、ネックレスが入っていた。

 チャラと、ネックレスを手に持つ。


「気に入ってくれたかな? 私、夕陽が好きそうな物分からなくて。それで――」


「ふふ、ええ、ものすごく気に入ったわ。宝物にするわね」


 また、喜ぶ優芽。

 

「うん!」


 二人の仲直りと誕生日は無事に終わり、私は、そっと二人を見守った。

 いい気分となったので、帰ろうとしたところ、夕陽に見つかり後でまたおしおきという結果になったことは秘密にしておこう。

 


今回はちょっと自分から見て微妙だったと思います。

内容はまぁ、いいとして、文章力ですね。

もっと頑張ります。

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