表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/73

番外編「お仕置き」

6話の後日談です。

あの後のことを書いてみました。


夕陽が熱を出して、二日後。

 生徒会室に向かってみると、中に、元気な姿をした夕陽がいた。


「お邪魔します」


 まだ生徒会室に入ることに慣れてない私は、ぎこちなく挨拶をした。


「あ」


 夕陽と目が合う。

 熱を出す前は、あのことでお説教とかされるところだったので、何となく気まずい。


「麻友」


 歩を進める夕陽。

 そして、私の前へと来た。


「え、えっと、熱下がったんだね。よかった」


「ええ、おかげさまで。これも、看病してくれた両親のおかげね」


 とても感謝してるようだ。


「とりあえず、治ってよかったよ。これで一緒に生徒会ができるね」


「――そうね、そう」


 夕陽は何かを思い出したかのように、嬉しそうな、待ってましたというような表情で目をつぶった。

 そして、目を開き、私に言う。


「これからお仕置きができるわね」


 やっぱり思い出したかと、私は少し後ずさりをした。


「ええと、まだ前のこと根に持ってる?」


 おそるおそる、聞いてみた。


「ええ、お仕置きをしないと、気が済まないわ」


 本当に何かしないと、夕陽は許してもらえないようだ。

 私は痛いのは嫌なので、するなら、簡単なものならと思っていた。


「分かった。するから、痛いのは止めて」


「どうしようかしら」


 お願いだから、悩まないでと強く思った。


「お願い、簡単なもので」


 すると、私の願いが届いたのか、夕陽はニヤリと笑み答えた。


「分かったわ、なら、私にこう言って指に口づけをしなさい」


 それなら簡単で、痛くないと心の中で舞い上がった。


「うん、それで何て言えばいいの?」


「そうね、『夕陽様の下僕です、世界で一番美しいのはあなた』と」


 下僕という言葉が出てきて、戸惑った。

 でも、これを言って、手に口づけをしないと許してもらえない。


「あの、下僕ってこれからもずっとって意味じゃないよね?」


「ええ、もちろんよ」


 それなら、と思い、安心した。

 もし、ずっと下僕という関係なら、私は耐えられない。


「分かった、じゃあ、するね」


 本当は下僕という言葉を言うのは嫌だが、これも、許してもらうため仕方がなかった。

 今、生徒会室には二人きりだ。


『夕陽様の下僕です、世界で一番美しいのはあなた』

 

 私は夕陽の前でしゃがみ込んで、そういった。

 そして、手に口づけをした。

 少し顔を上げる。


「ふふ、お利口ね。なんて可愛いのかしら」


 これは心の底から喜んでるなと感じた。

 お仕置きも終わったので、私は立ち上がると、生徒会室の扉が開いた。

 すると、会長とはと、そして、優芽がいた。


「ごめんなさい、見てしまったわ」


「まさか、麻友ちゃんにこんな趣味があったなんて」


「夕陽――」


 会長、はと、優芽と私たちのことを見つめていた。

 

「ち、違うんです、これは誤解で」


「分かってるわ、内緒にしておくわね」


 一番誤解してるのは会長のようだ。


「違うんですよ、会長」


 その後、会長だけ、嬉しそうにニコニコとして過ごしたのであった。 

 一方、麻友は、どうやって誤解を解こうか悩むのだった。





評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ