第78話「妹」
それから麻友のお父さんが大事な話をするという当日になった。
麻友は会長の家から足を重くさせしぶしぶと歩き自分の家の前に立っていた。
またお父さんからぶつぶつ文句を言われるのか、嫌だなという気持ちを持ち仕方なく玄関を開ける。
「お父さん来たよ」
そう挨拶をし自分の家の中に入る。
だが、返事はない。
「お父さん?」
心配の声で家の中に呼び掛ける。
すると、お父さんの声ではなく、聞いたことのない女の子の声が聞こえた。
「誰?」
女の子はリビングのドアを開けた。
するとそこには麻友が見たことない女の子が出てきてお互い見つめ合った。
「あなたは?」
女の子がそう麻友に聞いた。
「え、あなたこそ誰?それよりお父さんは?」
「お父さん?お父さんならさっきお昼ご飯買いにコンビニへ出かけたけど」
自分の親のことをお父さんと言ってる女の子に麻友は不思議に思った。
一体誰、しかも、親戚の子でもないし見たことがない。
麻友は早くお父さんが帰ってくることを望んだ。
それから10分後。
麻友と女の子はリビングでお互い距離を取って座っていた。
誰なのだろうとお互い考え込んでるところに麻友のお父さんは帰ってきた。
「遅くなってしまった、ごめんごめん。お、麻友も来てたのか」
「お父さんが家に来てって誘ったんでしょ」
「すまない、ちょっとなお昼ご飯の弁当を温めてもらうのに時間がかかってしまって」
お父さんは麻友や女の子の分のお弁当を机の上に出した。
「電子レンジはどうしたの?」
「この前壊れてしまったんだ、買い直すのにもちょっと費用がな」
お父さんと離れて暮らしてから1か月。
細かいところで苦労してるんだなと麻友は思った。
「それで、大事な話って何?」
改めて麻友はお父さんに聞いた。
「実はなこの子のことなんだが」
やはりそうきたかと麻友は思った。
「その子がどうかしたの?」
「すまない、ずっと隠してたんだがこの子は麻友の妹なんだ」
「えっ!?」
妹と言われ麻友はとても驚いた。
今まで知らなかった、しかも、ずっと隠されていたことに麻友は驚きと怒りを覚えた。
「ちゃんと説明して」
「今までお母さんの所で育てられてきたんだ、俺は何度も麻友に話しておいたほうがいいんじゃないかと言ってたんだがお母さんが聞かなくてな」
「…そっか、お母さん私のこと嫌ってたんでしょ、だから教えてくれなかったんだよね」
「でもな、こうしてお父さんが教えに呼んだんだ。もしお母さんが麻友のこと嫌ってたとしたら今回の話もなかったかもしれないぞ」
「無理しなくていいよ、気持ちはちゃんと伝わったから。それより」
ずっと話を聞いてくれてる妹はお父さんと麻友を見つめていた。
「この子どうするの?誰が育てるの?」
「お母さんにそのまま頼もうかと考えていたんだが、どうやら、警察の仕事のほうが忙しいみたいでなもう無理と言ってるんだ。だから俺が育ててやろうと思ったんだがさすがにこっちも仕事で忙しくてな」
そうお父さんは言うと麻友に心の中で考えてる気持ちを理解してもらおうと見つめる。
そのことに麻友は気づいた。
「もしかして、私に任せようとしてる?」
「今は美沙さんの家に暮らして部屋もたくさんあるんだろ?ここよりは快適なはずだ」
「でも、会長の意見も聞かないとだし、そう簡単に都合よく了解してもらえるかどうか」
「お前は美沙さんと結婚するって決めたんだろ?なら、妹の面倒を見るくらい余裕なはずだ」
「勝手に決めないでよ、元はと言えばお母さんとお父さんが警察官の仕事をしてるのが悪いんじゃん」
「仕方ないだろ、お母さんもお父さんも人の命を守るというこの仕事が大好きなんだ。そう簡単に辞めることはできない」
「他人の命を守るのもいいけど家族である命も守ったほうがいいんじゃないの」
麻友は小さい声で言った。
「何か言ったか?」
「別に。とにかく会長に聞いてみるよ、話はそれからってことで」
そう麻友は言うとリビングから出て帰ろうとした。
玄関まで行き靴を履こうとすると妹は麻友を見つめていた。
「ごめんね、何とかしてあなたの居場所を確保するから」
「…お姉ちゃん、無理しないでね」
お姉ちゃんと言われ本当の妹なんだなと麻友は実感する。
だが、妹という存在が今までいなかったので、麻友はまだ赤の他人のような気持ちを持っていた。
麻友の妹を作ったほうがいいか、それとも、幼馴染を作ったほうがいいかで悩みました。
生徒会メンバーは誰一人兄弟や姉妹がいないのでせめて麻友だけには作ってあげようかなと。
でも、ここずっと暗いお話や説教話が続いてるのでまた前みたいに楽しい話を作りたいなと思ってます。
それでは。