第77話「頑張りすぎ」
ここはショッピングモール。
麻友と会長は2人で文房具屋さんに買い物をしていた。
「お!この鉛筆良さそうですよ」
「この柄なら林檎さん喜んでくれそうね」
麻友と会長は生徒会で使う物を買い物に来ていた。
「でも、これはさすがに買いすぎじゃないですか?」
麻友の手には買い物かごに大量に入った文具を指していた。
「このくらい大丈夫よ、お金なら私が持ってるし」
「いや、いくらお金持ちでもさすがにこれは」
文房具屋さんの店員がレジをし商品をもう1つのカゴに入れ清算していく。
店内ではピッピッと音が響き麻友たちのいるレジの後ろには他のお客さんがずらりと並んでいた。
「これ生徒会室まで2人で運べる量じゃないと思うんですけど」
「困ったわね」
「さすがに車がないと厳しそうですね」
レジでの清算を終え商品を袋に入れたり空き箱のダンボールなどに入れていく。
「とりあえず2往復するしかないですね、学校まで徒歩で15分。私がこれ持ちますから会長がこっち持ってください」
「分かったわ。でも、残りの荷物はどうするの?」
「店員さんにレジで預かってもらいましょう。私が説明してきますよ」
麻友は大量の荷物を抱えながら先程のレジの店員に残りの荷物を預かってもらうようにお願いしに行った。
説明が終わり店員に了解の返事をもらうとまた会長の傍に寄る。
「行きましょう」
会長と麻友は文房具屋さんから出てショッピングモールの中を歩く。
「歩いてる途中に林檎さんや夕陽さんと出会えたらいいのだけれど」
「2人はさすがに難しいと思いますよ、林檎は面白いネタがないか1人で散策するって言ってましたし、夕陽は今日記念日だから優芽とデートだって喜んでましたから」
「みんな忙しいのね」
「あ、でも忙しくなさそうな人を思い出しました」
「誰なの?」
「さつきですよ、友達の」
「途中で会えたらいいわね」
そう会長は言うと麻友は頷いた。
太陽の炎天下の中、麻友と会長はショッピングモールから出ようとしていた。
ここを抜ければ厳しい暑さが待っている。
ショッピングモールにいればエアコンが効いていて涼しいのになと考えるがそんな甘いこと言ってられないと麻友は気持ちを強く持つ。
「麻友、少し休んだほうが」
「大丈夫ですよ、私は元気だけが取り柄なんですから」
会長は麻友の顔色が悪いことに気づき心配をした。
「じゃあ開けますよ」
ショッピングモールの扉を開けると外からの熱風が体にまとわりつく。
「うわっ、暑い」
そう麻友は呟くと手に持ってた荷物が自分から離れたことに気づきそのまま倒れた。
近くでは会長の声だけが微かに聞こえるのであった。
その後、麻友は懐かしい匂いを感じ取っていた。
声も聞き覚えのある声だけが響いてる。
「まったく、自立して家を出て行ったと思ったらすぐ親に迷惑をかける。いつまで経っても子供のままだな」
「でも、近くにお父さんがいて助かりました。多分この前の旅行で疲れが残ってたんだと思います」
「自分の体調管理も出来ないとは。やはり美沙さんの家に住まわせたのが良くなかったんじゃないのか」
「それは…」
聞き覚えのある声、それは麻友のお父さんであった。
麻友は少しずつ目を覚ましていく。
「…おとう…さん」
「麻友!気が付いたのね」
会長は横になって休んでる麻友に寄り添った。
「ここは?」
「麻友の家よ、ショッピングモールで倒れて偶然麻友のお父さんが近くにいて助けてもらったの」
「そうだったんだ。ありがとう、お父さん」
背中をこちらに向けてるお父さんに麻友はお礼を言った。
「元気になったのなら早く出て行け」
「はい…」
「あ、それとお前に大事な話がある。明日の昼間家に来るんだぞ」
麻友は話を聞くと返事をした。
その近くでは会長が心配の目で親子2人を見つめているのであった。
前回に続き倒れるネタですみません、本当は風邪ネタにしようかなと考えてたのですがあまり話が浮かばずこのお話になってしまいました。
でも、次回かその次で良い展開というか麻友にとって嬉しいことなら良いなと。
今回も次回も楽しんでいただけたら嬉しいです。
それでは。